ハイキューブコンテナとは?10分で解説

物流の現場では、輸送効率を最大化するためにさまざまな工夫がなされています。

その一つが、輸送コンテナのサイズです。今回ご紹介する「ハイキューブコンテナ(High Cube Container)」は、海上輸送や倉庫保管において非常に重要な役割を果たしています。標準的なコンテナと比べて高さがあるこのコンテナは、どのような特徴を持ち、どのように活用されているのでしょうか?この記事では、基礎から応用まで、わかりやすく解説します。

ハイキューブコンテナとは?基本のサイズ感

まず、ハイキューブコンテナの「高さ」に注目してみましょう。
ハイキューブコンテナはおよそ30センチ高い設計になっています。このわずか30センチの違いが、物流の現場では大きな意味を持つのです。

コンテナの種類高さ
通常の海上輸送用のコンテナ約2メートル60センチ(8フィート6インチ)
ハイキューブコンテナの高さ約2メートル90センチ(9フィート6インチ)

ハイキューブコンテナの「高さ」が物流にもたらす効果

ここでは、ハイキューブコンテナの高さが物流にもたらす3つの効果について解説します。

1. 積載容量の増加

ハイキューブコンテナは、標準コンテナと同じ長さ・幅でありながら、高さだけが高いため、積載できる体積が大きくなるという特徴があります。たとえば、高さのある製品や段積み可能な荷物にとっては、この30センチが非常に効率的な空間になります。

2. 梱包・パレット積みに柔軟性

日本を含め多くの国で利用されている輸出用パレットは、通常、荷物を積み上げる高さに制限があります。ハイキューブコンテナを使えば、標準サイズのパレットを2段積みにするなど、より柔軟なレイアウトが可能になります。

3. 保管スペースとしての利便性

輸送用途だけでなく、一時保管のためにコンテナを活用するケースも増えています。高さがある分、フォークリフトでの出し入れや整理作業にも余裕が生まれます。

ハイキューブコンテナの主なサイズ(参考)

以下は代表的なハイキューブコンテナのサイズです(メーカーや仕様によって若干異なる場合があります)。

サイズ外寸(長さ×幅×高さ)内容量(㎥)最大積載重量(kg)
40フィート
ハイキューブ
約12.0m × 2.4m × 2.9m約76㎥
約26,000kg
20フィート
ハイキューブ
約6.0m × 2.4m × 2.9m約37㎥
約28,000kg


グローバルな海上輸送で広く活用されているのは40フィートのハイキューブコンテナです。一方、20フィートのハイキューブコンテナは流通量こそ多くありませんが、資材置き場や倉庫など多用途での需要が徐々に増加している傾向が見られます。

どのような貨物に活用されている?

ハイキューブコンテナは、コンテナ内の高さに余裕があるため、さまざまな種類の貨物に活用されています。主に以下のようなケースで利用価値が高まります。

・プラスチック製品や衣類、家電

比較的軽くてかさばる商品には最適です。高さに余裕がある分、空間を無駄なく使えるため、積載効率が向上します。

・高さのある工業部品や機械類

標準のコンテナでは収まりにくい貨物にも対応可能です。こうした貨物を無理に詰め込むと破損や変形のリスクがありますが、ハイキューブコンテナなら安心です。

さらに、パレット貨物を二段積みにしたい場合や、精密機器・建築資材など天井側に空間の余裕が必要なものにも向いています。また、高さ制限のある標準コンテナでは再梱包が必要になる貨物でも、High Cube Containerを使えばその手間を省けることがあります。これにより、作業効率の向上やコスト削減にもつながります。

昨今の物流業界における活用事例

昨今の物流業界で、どのようにハイキューブコンテナが活用されているのでしょうか。ここでは3つの活用例について解説します。

1. EC物流における拡大

コロナ禍以降、EC需要の急増により物流量が増加しました。それに伴い、「できるだけ多くの商品を一度に運びたい」というニーズが強まりました。ハイキューブコンテナは、少ない便数で多くの荷物を運べるという特性があり、EC物流においても重宝されています。

2. 倉庫機能の補完

港湾周辺や輸出入倉庫の現場では、保管スペースの逼迫が課題です。ハイキューブコンテナを一時的な倉庫として使うことで、倉庫機能の外部拡張が可能になります。特に季節需要が集中するアパレル業界や食品業界などで、柔軟に対応できる選択肢として注目されています。

3. SDGs・環境配慮への貢献

輸送効率の向上は、CO₂排出量の削減にもつながります。ハイキューブコンテナを使って輸送回数を減らすことで、環境負荷の低減にも貢献できるため、サステナブルな物流戦略として採用されるケースが増えています。

利用上の注意点

便利なハイキューブコンテナですが、すべてのケースで最適というわけではありません。以下のような点には注意が必要です。

  • 通関上の制限や港湾での制約
    港や道路によっては、高さに制限がある場所もあり、輸送ルートの確認が必要です。
  • 車両への積載制限
    国内輸送(トレーラー輸送など)では、車両高さとの兼ね合いで使用が制限される場合もあります。
  • コンテナ費用が若干高め
    標準コンテナに比べ、レンタル費用や輸送費用がやや高くなる傾向にあります。  ただし、積載効率の向上によって相殺できる場合もあります。

まとめ

ハイキューブコンテナは、標準コンテナより約30センチ高いだけですが、その違いが積載効率の向上や柔軟なパレット積み・保管を可能にし、EC需要や季節変動への対応、輸送回数の削減による環境負荷の軽減にもつながります。こうした特長から、現代の物流ニーズに合った「使えるコンテナ」として多くの企業が採用しています。

輸送や保管の形が多様化する今後、さらに活用の場は広がると考えられます。ハイキューブコンテナが自社の物流に合うかどうか、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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