国際物流において頻繁に登場する指標のひとつが「FEU」です。物流や貿易に携わっていない方にとっては、なじみのない言葉かもしれません。しかし、企業の物流部門や製造現場で輸出入業務に関わる場合、この指標の理解は重要です。

この記事では、FEUとは何か、その意味や用途、そして実際の物流現場でどのように活用されているのかを、わかりやすく解説します。

FEUとは何か?

FEUは、「Forty-foot Equivalent Unit」 の略称です。直訳すると「40フィート換算単位」となります。この単位は、国際的に使われている海上コンテナのうち、40フィートのコンテナサイズを基準にして貨物量を数えるためのものです。

輸出入で使用される海上コンテナには標準サイズがあり、主に20フィートコンテナ40フィートコンテナの2種類が一般的です。これらのコンテナは、長さ以外の寸法や構造が国際的にほぼ統一されており、全世界で広く利用されています。

FEUは、これらのコンテナ個数を共通の単位に置き換えて管理するための指標です。具体的には、40フィートのコンテナ1本を1 FEUとカウントします。

なぜFEUが必要なのか?

国際物流の現場では、貨物の量やコンテナの取扱量を明確に把握する必要があります。しかし、20フィートコンテナと40フィートコンテナが混在していると、単純に「何本分」とカウントするだけでは、実際の輸送量を正確に把握できません。

たとえば、20フィートコンテナを2本使用した場合、それは40フィートコンテナ1本分の長さとほぼ同じになります。このため、

  • 20フィートコンテナ2本 → 1 FEU
  • 40フィートコンテナ1本 → 1 FEU

というように、貨物の取り扱い量を「40フィートコンテナ何本分か?」に統一して数えることで、効率的な管理・分析が可能になります。

TEUとの違い

FEUと似た単位に「TEU(Twenty-foot Equivalent Unit)」があります。これは20フィートコンテナを基準にした換算単位です。つまり、

  • 20フィートコンテナ1本 → 1 TEU
  • 40フィートコンテナ1本 → 2 TEU

となります。

FEU(Forty-foot Equivalent Unit)とTEU(Twenty-foot Equivalent Unit)は、どちらもコンテナの容量や取扱量を示す単位ですが、使い分けには明確な傾向があります。

  • TEUは、20フィートコンテナを基準とした単位で、港湾の取扱量や国際統計、コンテナ船の積載能力など、グローバルな集計や比較、統計データの指標として広く使われています。
  • FEUは、40フィートコンテナを基準とした単位で、実際の物流現場や倉庫業務、貨物の取り扱いや運賃計算など、現場で実際に取り扱うコンテナサイズに近い基準として用いられることが多いです

ただし、実務上はTEUの方が使用頻度が高く、FEUは40フィートコンテナを扱う場合や、より具体的な貨物量・運賃計算時に使われる傾向があります

コンテナのサイズと構造について

ここで、FEUの基準となる40フィートコンテナが、どのようなものか簡単に確認しておきましょう。

40フィートコンテナの主な仕様(ドライコンテナの場合)

項目内容
外寸長さ約12.2m × 幅約2.4m × 高さ約2.6m
内容量約67.7㎥(立方メートル)
最大積載重量約26~30トン(コンテナの種類により異なる)

このサイズを基準としたFEUという単位は、物流会社だけでなく、船会社や荷主、倉庫業者間での共通言語として活用されています。

FEUはどのように活用されているか?

では、実際の物流業界でFEUがどのように使われているのかを見てみましょう。

1. 国際輸送のコスト計算

船会社が提示する輸送費用は、しばしば「1 FEUあたりいくら」といった形で示されます。たとえば、「日本から北米西岸まで1 FEUあたり2000ドル」といった具合です。

このように、輸送の見積もりや契約を行う際、FEUを単位として金額が提示されることが一般的です。

2. コンテナスペースの最適化

物流センターや倉庫では、保管スペースや荷役効率の観点から「1 FEUあたり何パレット積載できるか」「1 FEUでどの程度の貨物量をカバーできるか」といった計算が行われます。これにより、スペースを有効活用し、無駄のない貨物配置が可能になります。

3. サプライチェーンの指標としての利用

企業の物流部門では、出荷実績や輸送実績をFEU単位で集計することがあります。たとえば、ある月に「100 FEU分を北米へ出荷した」といった情報が、業績評価や計画立案に役立てられます

最近の物流動向とFEUの関係

近年、海上輸送における混雑やコンテナ不足が頻繁に発生しており、限られた輸送キャパシティの中で、どのように効率的に貨物を運ぶかが重要になっています。そうした中、FEUは各輸送ルートにおける「取扱い能力の基準」として機能しており、運賃の上昇やリードタイムの把握にも密接に関わっています。

さらに、物流のデジタル化が進むことで、各種の輸送管理システム(TMS:Transportation Management System)や可視化ツールでも、FEUベースのデータ表示が標準となっています。

また、CO2排出量の見える化を進める動きも活発で、「1 FEUあたりの排出量」という指標で、環境負荷を定量的に把握するケースも増えています。

まとめ

FEUは、40フィートコンテナを基準とした換算単位であり、国際物流の現場では貨物の取扱量や輸送コスト、スペース管理など、さまざまな場面で活用されています。20フィートや40フィートといったコンテナの違いを超えて、共通の指標として活用できるのがFEUの利点です。

物流部門の実務や海外との取引を行う製造業において、FEUの理解は欠かせません。今回の記事を通じて、コンテナ単位の考え方やその活用方法についての理解が深まれば幸いです。

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