3類倉庫とは?10分で解説

物流業界において「倉庫」と一口に言っても、実は保管対象や建物の性能によっていくつかの種類に分かれています。その中で「3類倉庫」は、比較的シンプルな設備構造で運用される倉庫であり、湿気や火に強い貨物を保管するのに適した施設です。近年では、保管コストの見直しやスペースの有効活用といったニーズから、3類倉庫の活用が再評価されています。

本記事では、3類倉庫の特徴や、他の倉庫との違い、保管対象となる貨物の具体例、さらには倉庫選定のポイントまでをわかりやすく解説します。

倉庫には「種類」がある?

一般的に「倉庫」と聞くと、大きな建物の中に商品や資材を一時的に保管する場所、というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実際には、倉庫はその保管対象物や建物構造、用途などによって分類されており、法律上も「1類」「2類」「3類」などのように区分されています。

この分類は、主に「倉庫業法」に基づいており、それぞれの倉庫がどのような性能や機能を持っているかによって区別されます。つまり、すべての倉庫が同じ性能を持っているわけではなく、保管するモノの性質に応じて適切な種類の倉庫が選ばれているのです。

3類倉庫の基本的な特徴

3類倉庫は、倉庫業法に基づいて定められた「営業倉庫」の一つで、「防火・耐火性能」や「防湿性能」について、特段の設備を求められていないという特徴を持っています。

これを言い換えると、「燃えにくく、湿気に強い」モノを保管するのに適している倉庫です。たとえば、金属製品やセメント、レンガなど、湿気や火に対して強い性質を持つ貨物は、こうした特別な設備を備えていない3類倉庫でも十分に対応可能です。

逆に言えば、湿気に弱い紙製品や繊維製品、火気に敏感な化学薬品などは、より高い防湿・防火性能を持つ1類倉庫や2類倉庫での保管が適しているということになります。

他の倉庫との違い

では、3類倉庫は他の倉庫と比べてどのような違いがあるのでしょうか。簡単に整理すると以下のようになります。

倉庫の種類特徴主な保管対象
1類倉庫防火・耐火・防湿などの高度な性能が必要書籍、食品、繊維など湿気や火に弱いもの
2類倉庫1類ほどの性能は不要だが、基本的な防湿・防塵・簡易温度管理設備が必要家具や機械類など
3類倉庫特別な防火・防湿設備は不要金属、石材、セメントなど湿気や火に強いもの

つまり、3類倉庫は建築コストや運用コストの面で比較的安価で済み、しかも頑丈な貨物を保管するには合理的な選択肢といえます。

どんな貨物が保管されているのか?

実際に3類倉庫で扱われている代表的な貨物には、以下のようなものがあります。

  • 鋼材や金属製品(部品や資材など)
  • コンクリート製品、セメント
  • レンガやタイルなどの建材
  • 工事現場で使用される足場資材
  • 屋外作業用の器具・機械類

これらはいずれも、湿気や熱に強く、温度管理や湿度管理が不要であることが共通点です。そのため、3類倉庫のように特別な管理を必要としない倉庫での保管に適しています。

3類倉庫を選ぶ際の注意点と判断基準

コスト効率のよさが魅力の3類倉庫ですが、安易に選んでしまうと貨物の劣化やトラブルにつながる可能性もあります。ここでは、選定時に確認しておきたいポイントを紹介します。

1. 貨物の材質・性質を正確に見極める

もっとも重要なのは、保管対象の貨物が3類倉庫の条件に適合しているかどうかを見極めることです。金属や石材のように、湿気や火に強いものは問題ありませんが、同じ「部品」でもプラスチックや木材などを含む場合は注意が必要です。部分的に湿気に弱い素材が混在していれば、より高性能な倉庫を選ぶべきケースもあります。

2. 保管期間と物流頻度とのバランス

長期保管を想定している場合には、3類倉庫でも対応可能なケースが多いです。ただし、出荷頻度が高く、倉庫内の動線やオペレーション効率が重要となるような業態では、建物の構造や付帯設備(フォークリフトの導線、ラックの配置など)も判断材料になります。

3. 立地や気候条件に応じた設備補完の検討

たとえ貨物が湿気に強くても、海沿いや高湿度地域では、予想以上の腐食や錆のリスクがある場合もあります。屋根付きであっても、雨風の吹き込みを防ぐ構造であるか、換気や排水の仕組みが整っているかなど、立地条件に合わせた環境確認も必要です。

3類倉庫の効率的な活用方法

近年、物流業界では「倉庫の用途分担」が進んでおり、1類〜3類までの倉庫を適切に組み合わせて運用する動きが強まっています。特に、保管対象が多様化しているメーカーや商社では、「湿気や火に強い貨物だけを3類倉庫にまとめて収める」という運用が一般的になってきました。

このように保管エリアを分類し、1類倉庫や2類倉庫を本当に必要な貨物にのみ使用することで、無駄なエネルギー消費やスペースの浪費を抑え、トータルでのコスト削減・効率化が期待できます。

まとめ

3類倉庫は、防火・防湿性能を特別に求められないぶん、コストパフォーマンスに優れた倉庫形態として、近年再び注目を集めています。保管対象となる貨物の性質を正しく把握し、それに適した倉庫を選定することが、物流の最適化には欠かせません。

物流や製造の現場で「湿気にも火にも強いモノを保管したい」「でもコストは抑えたい」というニーズがある場合、3類倉庫は非常に合理的な選択肢となります。倉庫選びにおける一つの判断軸として、ぜひ理解を深めておきたい施設といえるでしょう。

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