アソートとは?10分で解説

2025.08.12

商品の保管や配送の工程には、さまざまな作業や工夫が詰まっています。そのなかでも、「アソート」は物流現場で頻繁に登場する重要なプロセスのひとつです。普段は聞き慣れないかもしれませんが、多品種の商品を扱う企業では、業務効率や顧客満足度に直結する存在として欠かせません。

この記事では、「アソート」とは何かを丁寧に解説しながら、実際の活用例や導入のポイント、さらには今後の物流トレンドとの関係までをわかりやすく紹介していきます。

アソートとは何か?

アソートとは、複数種類の商品をひとつにまとめて梱包する作業を指します。ピッキングで集めた商品を、注文単位や納品先ごとのセットとしてまとめる工程です。物流業界では「取りまとめ梱包」とも呼ばれることがあります。

たとえば、ある小売店から「A商品2点・B商品1点・C商品3点」という注文が入ったとしましょう。倉庫ではまずそれぞれの商品をピッキングして集め、その後、これらをひとつの箱や袋などにまとめて梱包します。これがアソートの典型的な例です。受注内容に応じたオーダーメイド型の梱包ともいえます。

この工程を正確かつ効率的に行うことで、誤出荷の防止や顧客満足の向上につながります。

アソートが求められる背景

現代の流通・小売業では、少量多品種の傾向が年々強まっています。一括で同じ商品を大量に納品するというよりも、店舗やエンドユーザーごとに細かく商品を組み合わせて出荷する機会が増えています。

そのため、一件一件の注文に対応する柔軟な梱包対応が欠かせなくなりました。アソート作業は、こうした多様なニーズに対応するために不可欠な業務です。

とくに以下のような業種では、アソートの頻度や重要性が高まっています。

  • ドラッグストアやスーパーなどの店舗向け納品
  • ネット通販(EC)の個人向け出荷
  • ギフト・ノベルティ商品の発送

アソートによって得られる主なメリット

アソート作業を適切に行うことで、物流全体に大きなメリットが生まれます。

1. 誤出荷の防止

アソート工程では、注文内容と実際の商品を突き合わせて確認するため、出荷直前の品質チェックが可能です。商品をピッキングしただけでは気づきにくい数量ミスや型番違いなども、この段階で発見しやすくなります。

特に品目が多い業種では誤出荷が顧客からのクレームに直結するため、アソートの丁寧なチェックが企業の信頼維持に大きく貢献します。

2. 作業効率の向上

アソート作業は、標準化することで作業者のスキル差を抑え、誰でも一定の品質で業務をこなせるようになります。作業マニュアルや視覚的な指示(カラーラベル、棚番号表示など)を活用すれば、未経験者でも短時間で戦力化することが可能です。

また、GTP(Goods to Person)方式などの物流テクノロジーと組み合わせることで、作業者の移動や探す手間を省き、作業スピードをさらに高めることも可能です。これにより、繁忙期やキャンペーン時の大量出荷にも柔軟に対応できます。

3. 顧客満足度の向上

エンドユーザーや取引先にとって、「正しい商品が、きれいな状態で、約束どおりに届くこと」は基本であり、同時に大きな信頼要因です。アソートの精度と丁寧さがそのまま顧客体験に直結します。

特にECサイトの場合、アソートの品質がレビュー評価やSNSでの口コミに反映されることもあります。「丁寧な梱包で安心した」「頼んだ通りに届いた」という評価は、リピート率やブランドイメージにも好影響を与えます。

アソート作業の活用事例

アソート作業は、以下のような物流現場で実際に活用されています。

EC通販センター

ネット通販では、個人ごとの注文に対して異なる商品構成で出荷する必要があるため、アソートは毎日膨大な数行われています。EC物流センターでは、ピッキング済みの商品をアソート専用の作業エリアに集め、システムに表示される出荷内容に従って作業者が個別に仕分け・梱包します。最近では、タブレット端末やLED表示付きのアソート棚などが導入され、視覚的な指示で誤出荷を防止する取り組みが進んでいます。

また、ギフトラッピング対応や納品書の同封などのオプションもアソート工程に組み込まれることが多くなっています。

コンビニ・小売店向け納品

全国展開の小売チェーンやコンビニエンスストアに商品を納品する場合、店舗ごとに品揃えや棚割が異なるため、それに合わせて商品を組み合わせて出荷する必要があります。アソートは、こうした個別対応を可能にする重要な工程です。

物流センターでは「店舗ごとの納品箱を1梱包で完結させる」ことを意識し、品目の並べ方やラベル貼付も工夫されています。

医療・介護業界向け物流

医療現場への物品供給においてもアソートは重要です。たとえば、介護施設や病院に定期納品される衛生用品、薬品、消耗品などは、施設ごと・用途ごとに組み合わせて出荷する必要があります。

この分野では、数量の誤差が安全性に直結するため、アソート工程では特に厳密なチェック体制が敷かれています。二重検品や、バーコード照合による確認プロセスが標準化されており、「間違いが許されない物流」として高い精度が求められます。

アソート業務の効率化とシステム活用

近年では、アソート業務を支援するさまざまな技術やツールが登場しています。

  • ハンディ端末による検品支援
  • アソート専用ワークステーションの導入
  • WMS(倉庫管理システム)との連携
  • デジタルピッキング表示で作業指示

これらの仕組みを活用することで、誰でもミスなく作業できる環境を整えることができます。また、繁忙期にはパート・アルバイトの増員が必要になることも多いため、教育のしやすさという面でもシステム化は有効です。

アソート導入時の注意点

アソート業務を自社で取り入れる場合には、いくつか注意が必要です。

作業スペースの確保

アソート作業は、複数の商品を広げて確認しながら梱包するため、十分な作業スペースが不可欠です。作業台の数が足りなかったり、スペースが狭すぎたりすると、作業者同士が干渉し、ミスや非効率につながります。

また、ピッキングエリアからアソートエリア、出荷エリアへの動線設計も重要です。物流現場では、作業者の「歩く距離」を削減することが効率化につながります。アソート導入時には、レイアウトの見直しや作業エリアの再配置の検討が必要です。

マニュアルと標準作業手順の整備

アソート作業は、細かい確認と丁寧な梱包が求められる業務です。作業者によって手順や判断基準がバラバラだと、品質にばらつきが出てしまいます。そのため、誰が担当しても同じ品質で作業できるよう、標準化された手順書やマニュアルを整備することが重要です。

可能であれば、写真や図を使ったビジュアルマニュアルを用意すると、パートや短期スタッフでも理解しやすくなります。また、シーズンや商品の特性によってマニュアルを都度アップデートする仕組みもあると安心です。

システムとの連携確認

アソート作業は、WMS(倉庫管理システム)や受注管理システムとの連携が重要です。受注情報の取り込み、商品構成の照合、アソート進捗の管理など、システム間でデータが正確に連携していないと、現場に混乱を招く原因になります。

導入時には、必ずテスト運用やトライアル期間を設け、現場の実態とシステム仕様にギャップがないかを確認しましょう。また、業務変更にともなう現場作業者の混乱を防ぐために、システム導入前後のサポート体制も忘れずに構築しておきたいポイントです。

今後の展望とアソートの進化

物流の自動化や省人化が進むなかで、アソートの現場にも新たな変化が訪れています。これからのアソートに求められている3つの主な要素を紹介します。

1.ロボットによる自動アソート

先進的な物流センターでは、ロボットとAIを組み合わせた自動アソートシステムが導入されています。ピッキングや仕分けを自動化することで、作業時間の短縮や人手不足への対応が可能に。

AIが注文内容に応じて最適な組み合わせや梱包方法を判断するなど、作業の判断までも自動化されつつあります。


2.マスカスタマイゼーション対応

EC市場やD2C(Direct to Consumer)モデルの普及により、個人ごとの注文にあわせたカスタマイズ商品が増加しています。1件ごとに異なる内容に対応するため、柔軟なアソート体制とミス防止の仕組みが重要です。

注文情報をリアルタイムで確認できるシステムや、作業の標準化がカギとなります。

3.越境ECとの連動

海外への出荷では、インボイスや多言語ラベルなど、国ごとの要件に合わせたアソート作業が求められます。通関処理をスムーズに進めるため、各国仕様に対応したマニュアルやラベル発行ツールの整備が進んでいます。

グローバル対応力が、物流品質の新たな指標となりつつあります。

まとめ

アソートは、単なる「まとめて梱包」以上に、出荷品質の最終確認という大きな役割を担っています。誤出荷を防ぎ、顧客の満足度を高めるうえで不可欠な作業です。

効率化や自動化が進む現代においても、アソートの重要性は変わりません。むしろ多品種少量・多様化するニーズに対応するため、より高度なアソート力が求められるようになっています。

これからの物流現場では、効率性だけでなく「顧客に届く品質」をどう担保するかが問われます。アソートは、その最前線で品質を支える業務として、今後ますます重要になっていくでしょう。

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