ウェーブピッキングとは?10分で解説

2025.10.02

倉庫や物流センターの現場では、日々大量の商品を「ピッキング」して出荷しています。
ピッキングは効率よく正確に行うため、これまでさまざまな方式が開発されてきました。
その一つが「ウェーブピッキング」と呼ばれる方法です。

この記事では、ウェーブピッキングの基本からメリット、活用されている場面まで、わかりやすく解説していきます。

📌 ポイントはここ
  • ピッキング作業の効率を高めるために生まれた手法の一つがウェーブピッキング
  • 「摘み取り式」と「種まき式」の両方の利点を取り入れた仕組み
  • WMS(倉庫管理システム)の普及とともに物流センターで広く活用されている

ウェーブピッキングとは?

ウェーブピッキングは、複数の注文をまとめて効率よく処理するためのピッキング方式です。
従来は、一つひとつの注文に合わせて棚を回る「摘み取り式」や、商品ごとに大量に集めてから注文に振り分ける「種まき式」が主流でした。

ウェーブピッキングは、複数の注文を一定時間ごとにひとまとまりにして処理する方式です。
以下のような手順で作業が進められます。

ウェーブピッキングの手順

  1. 注文をまとめる
    複数の注文を一定時間ごとにひとまとまり(=ウェーブ)にする
  2. 共通する商品をまとめてピッキング
    同じ商品を一度に取り出し、作業者の移動距離を減らす
  3. 商品を仕分ける
    集めた商品を注文ごとに振り分け、正確にセットする
  4. 出荷準備完了
    仕分け済みの商品を検品・梱包し、出荷につなげる

ウェーブピッキングと種まき式・摘み取り式の違い

ピッキングには大きく分けて「摘み取り式」「種まき式」、そしてその両方の利点を取り入れた「ウェーブピッキング」があります。
それぞれの方式には特徴があり、作業の流れや効率性、仕分けの有無などが異なります。文章だけではイメージしにくい部分もあるため、3つの方式を比較表で整理してみましょう。

摘み取り式・種まき式・ウェーブピッキングの比較
方式 作業の流れ 効率性 仕分けの有無 特徴
摘み取り式 注文ごとに棚を回り商品を取り出す 効率は低い(同じ棚を何度も往復しやすい) 不要(そのまま注文単位で揃う) 理解しやすく単純だが、大量注文には不向き
種まき式 商品ごとにまとめて取り出し、後で注文ごとに振り分け 効率は高い(移動のムダが少ない) 必要(仕分け作業が必須) 移動効率は良いが、仕分け負担が大きい
ウェーブピッキング 複数注文を一定時間ごとにまとめ、共通商品を一括ピッキング → 注文単位に仕分け 中程度〜高い(移動効率と仕分け精度のバランス) 必要(システム指示で効率的に仕分け) 両方式の利点を取り入れ、WMS導入現場で効果大

WMSとウェーブピッキングの関係

ウェーブピッキングは、人の経験や勘だけでは成り立ちにくい方式です。
そこで欠かせないのが「WMS(倉庫管理システム)」です。WMSは倉庫内の在庫情報を管理し、どの棚からどの商品を何個取ればよいかを作業者に指示します。

ウェーブピッキングでは、このWMSが複数の注文を一度に整理し、最適なルートや手順を提示します。結果として作業効率が大幅に向上し、短時間で多くの注文を処理できるようになります。

ウェーブピッキングの活用例

ウェーブピッキングは物流のどのような場面で活用されているのでしょうか?ここでは3つのパターンを紹介します。

EC通販の拡大に伴う需要

インターネット通販が増加し、小口かつ多品種の注文が一気に増えました。この状況では、一つひとつの注文を別々に処理する従来の方式では間に合いません。

ウェーブピッキングを導入すれば、同じ商品をまとめて取り出すことで効率化でき、短納期対応にもつながります。

共同配送センターでの採用

複数のメーカーや小売業が同じ物流センターを使う場合、商品点数が膨大になります。

ウェーブピッキングを活用すると、WMSの管理下でスムーズにピッキングが進み、誤出荷を防ぎつつ効率的に作業を進められます。

季節波動への対応

繁忙期には注文数が急増します。例えば年末やセール時期など、限られた時間で大量の出荷が必要な場面で、ウェーブピッキングは強みを発揮します。

通常期よりも短時間で作業を回せるため、現場の負担軽減にもなります。

ウェーブピッキングのメリットと注意点

ウェーブピッキングは、従来の方式と比べて効率性が高く、現場での作業負担を減らせる手法です。
特に注文数が多い倉庫では、作業者の移動距離を減らし、処理スピードを高められる点が大きな強みです。また、システムを通して作業指示が出るため、誤出荷のリスクも下がります。

一方で、導入には注意も必要です。WMSのようなシステムが前提となるため、初期投資がかかります。また、作業者にとっては新しいフローに慣れるまで時間が必要です。

そして、注文数や取扱いの品目数が多い倉庫では効果を発揮しやすい反面、取扱い量がそこまで多くない小規模倉庫では、期待するほどの効果が得られない場合もあります。

こうした特徴を整理すると、次のようになります。

ウェーブピッキングのメリットと注意点
メリット 注意点
  • 作業者の移動距離を削減できる
  • 注文処理のスピードが向上する
  • システム管理により誤出荷を減らせる
  • WMSなどのシステム導入が前提となり初期投資が必要
  • 作業者が新しい手順に慣れるまで時間がかかる
  • 小規模倉庫では効果が出にくい場合がある

まとめ

ウェーブピッキングは、従来のピッキング方式の欠点を補い、効率的かつ正確に出荷作業を進めるために開発された方法です。WMSの普及とともに広がりを見せ、特にEC通販や共同配送など多品種・大量出荷が求められる現場で活躍しています。

近年の物流現場では、短納期対応や多品種小ロットへの柔軟な対応が欠かせません。
ウェーブピッキングは、そうした時代のニーズに応える実践的な仕組みとして、今後ますます重要性を増していくでしょう。

ウェーブピッキングに関するよくある質問とその答え

Q1. ウェーブピッキングはどんな倉庫でも導入できますか?
A. WMSが導入されていない小規模な倉庫では効果が出にくい場合があります。大量の注文を一度に処理する現場に向いています。

Q2. 作業者にとって難しい方式ではないですか?
A. 最初は戸惑うこともありますが、システムが指示を出すため慣れれば負担は減ります。むしろ移動や仕分けのムダが減るため、体力的な負担は軽くなる傾向があります。

Q3. どんな業種でよく使われていますか?
A. EC通販を扱う物流センターや、大手小売業の共同配送拠点など、多品種・大量の注文を短時間で処理する必要がある現場で採用されることが多いです。

10分でわかりやすく解説の一覧を見る
WBS40社まとめ資料 無料ダウンロード TOP