ドッグシェルターとは?10分で解説

物流センターや工場において、トラックが荷物を搬入・搬出する際には「荷台と建物の間に生じる隙間」が問題になります。
隙間があると外気が入り込み、荷物の品質が保てなかったり、作業員が安全に移動できなかったりといったリスクが発生します。

こうした課題を解決するために設置されるのが「ドッグシェルター」です。
搬入口と荷台を密着させることで、物流現場の安全性や効率性を大きく向上させる装置として、近年の物流業界で広く活用されています。

📌 ポイントはここ
  • 搬入口とトラック荷台の隙間を埋め、安全・効率的な荷役作業を実現する仕組み
  • 外気の侵入を防ぎ、温度管理や衛生管理をサポートする役割
  • 物流現場における導入メリットや利用シーンを理解することで、納品や輸送業務に役立つ

ドッグシェルターの基本的な仕組み

ドッグシェルターは、トラックやコンテナが建物の搬入口に接車した際、その間にできる隙間を覆う装置です。
ゴムやナイロン製のシートで構成され、建物の外壁に取り付けられています。
トラックが後退して搬入口に付けると、その外壁部分が荷台を包み込むように密着し、外部環境を遮断する仕組みです。

これにより雨風やホコリの侵入を防ぎ、荷役作業をスムーズに行える環境が整います。食品や精密機器の取り扱い現場では、特に欠かせない設備の一つといえるでしょう。

ドッグシェルターを活用する効果

実際にドックシェルターを活用すると、どのような効果があるのでしょうか?
ここでは3つの効果について解説します。

荷役作業の安全性向上

荷台と建物の間に隙間があると、作業員が台車やフォークリフトで移動する際につまずいたり、段差で事故が起こることが懸念されます。
そこでドッグシェルターを設置すると、隙間が埋まって作業通路が安定するため、事故リスクを減らすことにつながります。

温度管理と品質保持

冷蔵・冷凍品や医薬品など温度管理が必須の荷物では、外気が侵入すると品質が損なわれる恐れがあります。

シェルターがあることで外気を遮断し、庫内の温度変動を最小限に抑えることができます。
結果として、保管品質が安定しクレーム防止にもつながります。

効率的な物流オペレーション

搬入口の環境が安定することで、荷役作業が途切れずに進められます。
雨天時でも作業が中断されにくく、スケジュール通りに出荷・納品が進むため、全体の効率が向上します。

その結果、作業が滞る場面が減り、人員が無駄に待機する時間も削減されます。

ドックシェルターが活用される場面

ここでは、ドックシェルターがどのような場面で活用されているか紹介します。

食品・飲料業界

特に冷蔵倉庫や冷凍倉庫では必須の設備です。庫内の温度を維持しながら荷役が行えるため、品質保持と省エネ効果の両立につながります。

製造業・部品倉庫

精密部品や電子機器など、湿気やホコリを嫌う商材を扱う現場ではシェルターの導入が進んでいます。輸送途中の外気の侵入を防ぎ、製品の品質を守ります。

EC物流拠点

出荷量の増加でトラックの往来が絶えないEC倉庫では、入出庫作業のスピードが求められます。ドッグシェルターを活用することで荷台との隙間がなくなり、雨風の影響を受けずに作業を続けられます。その結果、荷役が滞りなく進み、スピーディーな入出庫を実現でき、配送の遅延防止にもつながります。

ドックシェルター導入の注意点

ドッグシェルターを導入するにあたり、いくつか注意しなければいけない点があります。
ここでは3つの注意点について紹介します。

初期コストの発生

設置には本体費用や工事費がかかります。
特に複数の搬入口に導入する場合はまとまった投資になるため、長期的なコスト削減効果とあわせて検討することが大切です。

一度に導入が難しい場合は、利用頻度の高い搬入口から段階的に設置する方法も検討されます。

トラックサイズへの適合性

倉庫に出入りする車種が多様な場合、サイズが合わないと密着性が不十分になることがあります。
そのため、可変式や調整可能なタイプを選ぶことが望ましいでしょう。

さらに導入後の不具合を防ぐには、主要取引先のトラックサイズを事前に確認しておくと安心です。
ただし車両仕様は後から変更される可能性もあるため、将来の変化に対応できる柔軟な設計を意識しておくことが重要です。

定期的なメンテナンスの必要性

シートやクッション部分は繰り返し使用することで劣化します。
定期点検や部材交換を怠ると隙間が生じ、外気の侵入や効率低下を引き起こすことに。
長期的に使うためには、計画的なメンテナンスが欠かせません。

メンテナンス記録を残しておくことで、不具合の早期発見や修繕計画の立案にも役立ちます。

まとめ

ドッグシェルターは、物流現場での荷役作業を安全かつ効率的に進めるために欠かせない装置です。外気や雨風の侵入を防ぎ、温度や衛生環境を守ることで、品質保持にも大きく貢献します。

ドッグシェルターの役割やメリット、注意点を理解しておくことが、現場の入出庫をスムーズに進める大きな助けになるはずです。

ドッグシェルターに関するよくある質問とその答え

Q1. ドッグシェルターとドックレベラーの違いは何ですか?
A. ドッグシェルターは隙間を埋める装置で、外気や雨の侵入を防ぐ役割があります。
一方でドックレベラーは段差を解消するための装置です。両方を組み合わせることで、より安全で効率的な荷役環境が整います。

Q2. すべての物流センターに設置されているのですか?
A. 必ずしも全てではありません。特に食品や医薬品を扱うセンターや、温度管理が重要な倉庫で多く導入されています。一般的なセンターでは、必要性やコストを考慮して導入が決まります。

Q3. 導入する際に注意すべき点はありますか?
A. 使用するトラックの種類や頻度を考慮して設計することが重要です。サイズが合わないと密着性が低下し、効果が半減してしまいます。また、耐久性のある素材を選び、定期的な点検・交換を行うことが望まれます。

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