ドッグレベラーとは?10分で解説

2025.10.22

物流センターや工場での積み降ろし作業では、建物の床面とトラックの荷台との間に段差や高さの違いが生じます。わずか数センチの差でも、作業効率の低下や事故につながることがあります。

そこで役立つのが「ドックレベラー」です。
荷台とプラットフォームを橋渡しし、スムーズで安全な荷役を支える装置です。

本記事では、ドックレベラーの仕組みや必要性、種類、さらに近年の物流現場での活用例までを解説します。
現場を知る第一歩として、ぜひ押さえておきましょう。

📌 ポイントはここ
  • ドッグレベラーは、建物とトラック荷台の段差を解消し、積み降ろし作業を効率化する装置
  • 作業者の安全確保や荷物の破損防止につながる重要な役割を持つ
  • 物流業界では省人化・効率化を背景に、自動化・電動化されたタイプのドックレベラーの導入が増えている

ドッグレベラーの基本的な仕組み

ドッグレベラーは、プラットフォームとトラック荷台の間に設置される可動式の板です。
油圧や電動モーターを用いて高さを調整し、両者の段差を埋めます。
作業員やフォークリフトがスムーズに行き来できる状態を作ることで、手間やリスクを大幅に減らします。単純な設備に見えますが、物流業務の安全と効率に欠かせない存在です。

実際の運用方法は以下の通りです。

1.建物側(プラットフォーム)

倉庫や工場の搬入口の床に「ドックレベラー」が埋め込まれています。
普段は床と一体化していますが、操作するとレベラーが持ち上がり、前方に倒れてトラック荷台に橋をかけます。

2.入口まわり(壁面)

プラットフォームの正面、トラックがバックで接車する位置に「ドックシェルター」が取り付けられています。
トラックがぴたりとつくと、シェルターのゴム製・布製のフレームが荷台の外周を覆い、雨風や外気の侵入を防ぎます。

3.トラックが接車したときの流れ
  • トラック後部がシェルターに密着し、外気が遮断されます。
  • 同時に、床のドックレベラーがせり出して荷台との間に橋をかけます。
  • その結果、「段差解消+気密確保」が同時に実現され、フォークリフトや台車が安全に荷役できます。

ドックレベラーを設置する効果とは?

ドックレベラーがあることで、物流現場ではどのような効果が発揮できるのでしょうか?
ここでは3つの理由について解説します。

作業効率を大幅に向上させる

荷台と床の高さが合わないままでは、積み降ろしに余計な時間がかかります。
ドッグレベラーがあることで、フォークリフトがそのまま荷台に乗り入れられるため、荷役時間が短縮されます。

作業時間がスムーズに進むことで、トラックの待機時間の減少につながり、トラックの回転率が上がります。そのため、1日に処理できる出荷・入荷量を増やす効果も期待されます。

荷物の破損を防ぐ

段差を無理に越えると、荷物が傾いたり落下したりする恐れがあります。
しかし、ドックレベラーが橋のような役割をもつため、安定した荷役が可能になります。

精密機器や食品といったデリケートな荷物では、わずかな衝撃でも品質に影響します。
段差をなくすことは、品質維持に直結する大きな利点にもなるのです。

安全性の確保

人力で段差を解消しようとすると、腰痛や転倒といった事故につながる恐れがあります。
ドックレベラーを設置することで安全性が高まり、作業者の身体的負担も軽減されます。

加えて、足元の安定性が確保されることで効率も上がり、安心して荷役作業に取り組めるようになります。

ドッグレベラーの種類

ドックレベラーにはさまざまな種類が存在します。ここでは3種類のドックレベラーについて解説します。

・油圧式

油圧の力でスムーズに上下動するタイプです。耐久性が高く、大型トラックの荷役にも対応できます。 多くの物流センターで導入されている主流タイプです。

・機械式

スプリングの力を使って操作するタイプで、比較的コストが抑えられます。 導入コストは低いですが、操作性やメンテナンス性では油圧式に劣る場合があります。

・電動式

近年増えているのが電動モーターで制御するタイプです。ボタン一つで高さ調整ができ、 省人化・効率化が求められる現場で採用が進んでいます。

昨今の物流業界での活用

Eコマースの拡大や24時間稼働の物流センターでは、入出荷作業のスピードがこれまで以上に重視されています。そのため、自動化やIoT連携が進み、ドックレベラーにもセンサー制御や安全アラート機能を搭載した高性能モデルが導入され始めています。

また、複数車種や荷台の高さに柔軟に対応できるよう、調整幅の広いタイプが選ばれる傾向があります。さらに、省人化を背景に、フォークリフトやAGVと組み合わせて使うケースも現場で広がりつつあります。

ドックレベラー導入時の注意点

ドックレベラーを導入する際は、設置環境や利用するトラックの種類に合わせて仕様を検討することが大切です。特にプラットフォームの高さや車両の荷台寸法に合わないと、せっかくの設備が十分に機能しません。

さらに、油圧や電動部品は定期点検が欠かせず、故障時には物流全体の流れが止まるリスクもあります。耐久性やメンテナンス体制、保守コストまで含めて検討することが重要です。

加えて、作業者が安全に操作できるよう、操作手順の教育や注意喚起の掲示を行っておくと、トラブル防止につながります。

まとめ

ドックレベラーは、物流センターや工場の積み降ろし作業に欠かせない装置です。段差を解消するだけでなく、作業の効率化・安全性向上・荷物保護といった役割を担っています。近年では、自動化や電動化が進み、入出庫作業をよりスピーディーかつ安定的に運営するための重要な設備となっています。
実は入出庫作業の効率化に貢献する「縁の下の力持ち」のような存在なのです。

ドッグレベラーに関するよくある質問とその答え

Q1. ドッグレベラーとドッグシェルターの違いは何ですか?
A. ドックレベラーは段差を解消するための装置で、荷役を安全にする役割を持ちます。
 一方、ドックシェルターは搬入口とトラックの間を覆って雨風を防ぐ設備です。
 両者は役割が異なるものの、セットで利用されることが多いです。

Q2. 導入コストはどのくらいかかりますか?
A. 機械式は比較的安価ですが、油圧式や電動式は数百万円規模になることもあります。
 扱う荷物量や作業環境に応じて選ぶことが大切です。

Q3. 故障した場合、荷役作業は止まってしまいますか?
A. 基本的には使用できなくなるため、作業が止まる可能性があります。
 そのため、予備のレベラーを設けたり、定期点検を徹底することが望ましいです。

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