混載輸送とは?10分で解説

物流の世界では「どうやって荷物を効率よく運ぶか」が常に課題です。
特に、自社だけではトラックやコンテナを満載できない場合、コスト面や環境面での無駄が発生しやすくなります。

そこで利用されるのが「混載輸送」です。複数の荷主の貨物をひとつにまとめて輸送する仕組みで、トラックに限らず、海上輸送や航空輸送、鉄道輸送でも広く活用されています。

📌 ポイントはここ
  • 混載輸送はトラック輸送に限らず、海上・航空・鉄道でも利用される
  • 少量貨物でも効率的に輸送でき、コスト削減と環境負荷低減につながる
  • 物流会社にとっても積載効率を上げる切り札として重要な仕組み

混載輸送の基本的な仕組み

混載輸送とは、物流会社が複数の荷主から集めた貨物を仕分けし、同じ方面へまとめて輸送する方法です。トラック輸送だけでなく、実際には海上輸送や航空輸送、鉄道輸送など 輸送モード全般で使用されている言葉です。

荷主側から見ると、少量でも全国や海外に輸送できる利便性があります。物流会社にとっても、車両やコンテナの稼働率を高められるという大きな利点があります。

輸送モード別に見る混載輸送

混載輸送はさまざまな場面で使われます。それぞれのステージごとの運用について解説します。

トラック輸送での混載

国内物流で最も一般的な形態です。物流会社の営業所やターミナルで荷物を集め、仕分けを行ったうえで、同じ地域に向かう貨物を1台にまとめて配送します。

EC事業者や中小企業にとって「少量でも全国配送できる」という点が大きな魅力です。
さらに、トラック輸送は配送頻度が高いため、柔軟に出荷計画を組みやすいという利点もあります。

海上輸送(LCL)

国際物流では「LCL(Less than Container Load)」という形で混載が行われます。
1社でコンテナを満載できない場合、CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)で複数荷主の貨物をまとめて積み込みます。

輸入・輸出ともに活用されており、グローバルサプライチェーンに欠かせない仕組みです。
特にアジア各国との貿易では利用頻度が高く、安定した輸送手段として重宝されています。

航空輸送(ULD混載)

航空会社やフォワーダーが複数荷主の貨物をULD(航空機用コンテナやパレット)にまとめて輸送します。小口貨物や緊急品でも効率よく運べるため、スピードを求めるビジネスには欠かせません。

国際的なサプライチェーンでは、電子部品や一部の医療品など、納期遵守が厳しい貨物の輸送で広く利用されています。

鉄道輸送(コンテナ混載)

鉄道コンテナ輸送でも混載は可能です。貨物駅で複数荷主の貨物をまとめ、長距離を効率よく運びます。大量輸送に適しつつ、CO₂排出量を抑えられるため、環境負荷を軽減したい企業から注目を集めています。

特に幹線輸送ではトラック輸送を代替する手段として位置づけられ、持続可能な物流の選択肢として期待されています。

混載輸送のメリット・デメリット

混載輸送にはさまざまなメリットがあります。
コスト削減に加え、少量貨物でも広域に輸送できる点や、環境負荷を抑えられる点が注目されているところです。
近年は、企業のサプライチェーン戦略やSDGs対応の一環として導入する動きが目立ちます。
以下では、混載輸送の主なメリットについて整理していきます。


混載輸送のメリット
  • コスト効率の向上:輸送単位をシェアできるため、使ったスペース分だけで費用負担を抑えられます。
  • 少量貨物でも広域輸送:1個口からでも国内外へ出荷しやすく、販路拡大を後押しします。
  • 環境負荷の低減:車両・コンテナの稼働率向上で輸送回数を削減し、CO₂排出量の抑制につながります。
  • リードタイムの安定化:定期便ネットワークを活用すれば、一定の納期水準を維持しやすくなります。
  • 在庫戦略の柔軟化:LCLやULD混載を併用することで欠品リスクの低減や小刻みな補充に対応できます。


混載輸送には上記の通り、多くの利点がありますが、一方で注意すべき点も存在します。
納期の自由度が下がるほか、仕分けや積み替えの過程で荷扱いリスクが高まる恐れもあります。
さらに、貨物の性質によっては混載に適さないケースも少なくありません。
以下では、主な混載輸送のデメリットを整理して解説します。

混載輸送のデメリット
  • 納期調整の制約:複数荷主の貨物をまとめるため、単独輸送よりも柔軟な時間指定が難しい場合があります。
  • 荷扱いリスク:仕分けや積み替えの工程で破損や誤配送のリスクが発生する可能性があります。
  • 対象外となる貨物:医薬品や精密機器など、温度管理やセキュリティが厳格に求められる貨物は混載に不向きです。

最近の物流業界における位置づけ

近年の物流業界では、人手不足や燃料費の高騰といった課題に直面しています。
これらの問題に対応するため、各社は輸送効率をいかに高めるかに注力しており、その解決策の一つとして混載輸送が積極的に取り入れられているのです。

特に国際物流では、海上輸送のLCLや航空輸送におけるULD混載が一般化しており、鉄道貨物の利用拡大も進んでいます。
こうした仕組みを活用することで、少量貨物でも効率よく輸送できる体制が整いつつあります。

さらに、環境対応やカーボンニュートラルを求める時代の流れの中で、混載輸送はCO₂排出削減に直結する方法としても注目されています。
SDGsの観点からも、企業が取り入れやすく、社会的要請に応える物流の形として位置づけられているのです。

まとめ

混載輸送は、複数の荷主の貨物をまとめて効率よく運ぶ仕組みです。
トラックだけでなく、海上・航空・鉄道といった幅広い輸送モードで利用され、コスト削減や環境対応に大きく貢献しています。
物流業界が人手不足や燃料費高騰といった課題に直面するなか、混載輸送はこれらを解決する有力な手段のひとつです。

今後は、持続可能なサプライチェーンを実現するうえで、ますます欠かせない存在となるでしょう。

混載輸送に関するよくある質問とその答え

Q1. 積み合わせ輸送と混載輸送は同じ意味ですか?

A. 似ていますが厳密には異なります。積み合わせ輸送は主に国内のトラック輸送で使われる言葉です。一方、混載輸送はトラックに限らず、海上・航空・鉄道も含む広い概念として使われます。

Q2. 少量の荷物でも混載輸送は利用できますか?

A. はい。混載輸送は少量貨物を効率よく運ぶための仕組みです。1個口から利用できるケースも多く、ECや中小メーカーの利用が増えています。

Q3. 混載輸送を利用すると納期が遅れやすいですか?

A. 単独輸送に比べると調整が必要なため、即日配送や厳密な時間指定は難しい場合があります。
  ただし、物流会社が設定する定期便スケジュールを利用すれば、安定した納品が可能です。

10分でわかりやすく解説の一覧を見る
WBS40社まとめ資料 無料ダウンロード TOP