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トラック輸送のコストを考えるうえで、必ず押さえておきたいのが「運行三費(うんこうさんぴ)」です。
これは、トラック1台を運行する際にかかる主な3つの経費を指す言葉で、物流管理や運賃交渉の基礎になる重要な概念です。
新人ドライバーや配車担当の方にとっても、費用構造を理解することで“ムダのない運行管理”が見えてきます。
- 「運行三費」はトラック運行における3つの主要コストを示す
- 内訳は「燃料費」「タイヤ費」「修繕費」
- 経費を把握することで、利益管理や運賃設定の根拠が明確になる
運行三費とは何か
運行三費とは、トラック運行時に直接かかる3つの経費をまとめた呼び方です。
一般的には「燃料費」「タイヤ費」「修繕費」の3項目を指します。
これらはいずれも、車両を動かすたびに発生する「変動費」です。
つまり、走行距離や稼働日数によって増減します。固定費(車両の減価償却や保険料など)とは異なり、運行状況に応じてコントロールできる部分が多いため、コスト削減の対象として注目されます。
運行三費の内訳

ここから、運行三費について詳しく解説します。
燃料費
運行三費の中でも最も比率が高いのが燃料費です。
軽油価格の変動やアイドリング時間、積載量などによって大きく左右されます。
燃費改善のために、近年はエコドライブ教育やアイドリングストップの徹底が進められています。
また、燃料単価の上昇に対応するため、燃料サーチャージ制を導入する物流会社も増えています。
タイヤ費
トラックの走行距離に比例して消耗するのがタイヤ費です。
1本あたりの価格が高く、定期的な交換が必要なため、無視できないコストです。
タイヤの空気圧管理を怠ると摩耗が早まり、燃費にも悪影響も。
近年は、タイヤメーカーなどが提供するタイヤ管理システムを導入し、走行距離や摩耗状況をデータで把握する企業も増えています。
交換時期を正確に判断できるため、タイヤ寿命の延長や燃費改善の効果も見られます。
また、リトレッドタイヤ(再生タイヤ)の活用も、コスト削減策の一つとして活用されています。
修繕費
修繕費とは、車両の整備や修理にかかる費用のことです。
オイル交換やブレーキ整備、部品交換といった日常的なメンテナンスから、故障時の修理まで幅広く含まれます。
予防整備を怠れば、突発的なトラブルで稼働が止まり、結果として大きな損失を招くことに。
そのため、定期点検の徹底や整備履歴のデジタル管理を進める企業が増えています。
運行三費と固定費の違い
運行三費が「変動費」であるのに対し、固定費は走行距離に関係なく発生します。
代表的な固定費には以下のようなものがあります。
代表的な固定費
- 自動車税
- 自動車保険料
- 駐車場代
- 車両の減価償却費
つまり、トラックを保有している限り発生するのが固定費、走らせるごとに変動するのが運行三費です。この区分を理解しておくことで、収支管理や原価計算が格段に正確になります。
こうした費用構造を正確に把握することで、運送会社では運行データをもとにしたコスト分析や効率化の取り組みが進んでいます。
運行三費の把握がもたらすメリット

運行三費を正確に把握することで、以下のような効果が得られます。
運行三費を把握することで得られる主な効果
- 運賃交渉の根拠が明確になる
- 配車計画や稼働率の改善につながる
- 経営分析や利益管理が容易になる
特に近年は、燃料価格や部品コストの高騰が続いており、三費の上昇をそのまま吸収するのは難しい状況です。そのため、1台あたり・1運行あたりの実際のコストを算出する「原価管理」の見直しが進められています。
こうした取り組みにより、採算性の判断や運賃設定の根拠をより明確にできるようになりました。
運行三費データの活用事例
運行三費を算出することは必要ですが、より効率化した運送を行うためにはデータを活用することが重要です。どんな形で活用されているのかの事例は以下の通りです。
運行三費データの活用事例
- 収集した運行三費データをもとに、ドライバーごとの運転傾向を分析し、教育指導に活用。
- 安全運転や燃費効率の改善度合いを評価し、表彰やインセンティブに反映する企業もある。
- データ分析によって採算性を可視化し、運行計画やコスト管理の精度を高めている。
まとめ
運行三費とは、トラック運行にかかる「燃料費」「タイヤ費」「修繕費」の3つの変動経費を指します。これらを正確に把握し、改善策を継続的に実施することで、無駄の少ない、かつ収益性の高い運行管理が可能になります。
現場レベルでの意識向上と、データを活用した運行効率の見直しが、今後の物流業界における競争力の鍵となるでしょう。
運行三費に関するよくある質問とその答え
Q1. 運行三費はすべての運送会社で同じ項目ですか?
A. 基本的な考え方は共通ですが、会社によっては「オイル費」や「高速代」などを加えて独自に定義している場合もあります。
Q2. 運行三費はどのくらいの割合で経費に占めますか?
A. 車種や運行距離によりますが、一般的には総運行費用の30〜40%前後を占めるといわれています。
Q3. 運行三費を削減する一番効果的な方法は?
A. 三費の中では燃料費の比率が最も高く、改善効果も大きいため、まずはここから取り組むのが現実的です。走行データの分析やドライバー教育を通じて、急加速やアイドリングの削減を進めることで、無理のないコスト削減につながります。




