ダイレクト納品とは?10分で解説

メーカーから小売店や顧客へ、倉庫を経由せずに商品を直接届ける仕組みを「ダイレクト納品」と呼びます。
従来のようにセンターで仕分け・在庫保管を行う方法と異なり、流通の中間工程を省くことでリードタイムの短縮コスト削減を実現できる点が特徴です。
近年はEC需要の拡大や、即納体制を求める小売側のニーズから導入が進んでいます。

📌 ポイントはここ
  • ダイレクト納品は倉庫を介さず、メーカーから直接納品する仕組み
  • 在庫リスクや輸送コストの最適化につながるメリットがある
  • ECや小売チェーンで活用が拡大している

ダイレクト納品の基本的な仕組み

ダイレクト納品は、商品をメーカーや生産拠点から販売先に直接配送する物流形態です。
一般的な物流では「メーカー → 物流センター → 小売店」という流れですが、ダイレクト納品では中間のセンターを省き、「メーカー → 小売店」あるいは「メーカー → 消費者」となります。

この方式では、センターでの在庫管理や仕分け作業が不要になるため、納期の短縮と在庫削減の両立が可能です。

なぜダイレクト納品が注目されているのか

背景には、EC市場の拡大とサプライチェーンの多様化があります。
消費者が「できるだけ早く商品を受け取りたい」と望む中、企業側もリードタイム短縮を重要視するようになりました。
さらに、物流人手不足が進む中で、中間拠点を減らすことで業務効率を高める狙いもあります。

一方で、メーカー側が出荷ロットを柔軟に対応できるよう、出荷管理や情報連携の体制を整えることも必要です。

ダイレクト納品のメリット

センター経由を省くことで、時間・在庫・コストの三面で効率化を狙えるのがダイレクト納品の強みです。
ただし導入時は、需要に合わせた出荷設計と情報連携の精度が成否を分けます。

リードタイムの短縮

中継を挟まないため出荷から納品までの所要時間が短くなります。 新商品や季節商材の立ち上げで販売機会を逃しにくくなり、販促と物流の同期が取りやすくなります。

在庫リスクの削減

倉庫滞留が減り、過剰在庫・滞留在庫の発生を抑えられます。 生産量を実需に近づけやすく、棚卸や保管費の負担も軽くなります。

コストの見直し

物流センター費用や二次配送費の一部を削減しやすく、総コストの再設計が可能です。 取引量が安定する得意先への直納は、特に費用対効果が出やすい傾向にあります。

ダイレクト納品のデメリット・注意点

ダイレクト納品は効率的である一方、いくつかの課題も存在します。
特に配送の細分化や情報連携の不備は、現場の負担やコスト増加につながることがあります。

小口配送の増加

店舗単位での納品が増えると、出荷ロットが細かくなります。 その結果、積載効率が下がり、輸送コストが上昇する場合があります。 配送ルートの最適化や共同配送の活用がカギとなります。

納品先との調整負担

倉庫を経由しないため、納品スケジュールや受入条件を直接調整する必要があります。 店舗ごとの受入時間・検品ルールを事前に把握しないと、トラブルの原因になりかねません。

システム連携の課題

在庫や受注データを正確に共有する仕組みが不可欠です。 EDIやWMSなどの情報連携が不十分だと、誤出荷や納期遅延が発生するリスクがあります。

ダイレクト納品の活用シーン

ダイレクト納品は、特定の業種や流通形態に合わせて柔軟に活用できます。
ここでは、実際に導入が進んでいる代表的なシーンを紹介します。

EC物流での直送モデル

オンラインショップで注文を受けた商品をメーカーや卸元から直接発送する「ドロップシッピング方式」も、 ダイレクト納品の一種です。自社で在庫を持たずに販売できるため、 小規模事業者やD2Cブランドでも採用が進んでいます。

コンビニ・量販店への納品

全国に店舗網を持つチェーンでは、定番商品や限定商品をメーカーから店舗へ直接納品するケースが増えています。 店舗の欠品リスクを防ぎ、タイムリーな商品補充を実現します。

生産地からの直送型物流

食品・農産物・水産物などの分野では、生産地から消費地へ直接納品する「産地直送モデル」が浸透しています。 鮮度の維持とリードタイムの短縮を両立できるのが特徴です。

ダイレクト納品の成功のポイント

ダイレクト納品を定着させるには、情報共有と輸送計画の精度が重要な鍵となります。
メーカー・小売・物流会社が連携し、納品予定や数量、配送ルートを可視化することで、無駄な再配達や誤配送を防ぐことができます。
さらに、蓄積された納品データを分析すれば、販売動向を踏まえた生産・出荷計画の調整が可能です。


この循環が確立すれば、ダイレクト納品は単なる配送手段にとどまらず、サプライチェーン全体を最適化する仕組みとして機能していくでしょう。

まとめ

ダイレクト納品は、流通経路をシンプルにし、スピードとコストの両面で効率化を図る物流モデルです。
一方で、在庫管理やデータ連携といった運用面の整備も欠かせません。
適切なシステムと協力体制を構築できれば、メーカー・小売双方にとってメリットの大きい仕組みとなります。

ダイレクト納品に関するよくある質問とその答え

Q1. ダイレクト納品と直送の違いはありますか?
A1. 厳密にはほぼ同義ですが、「直送」は一般的な言葉で、消費者や店舗へ直接送る行為全般を指します。
一方「ダイレクト納品」は、企業間取引(BtoB)における直接納品を指すことが多いです。

Q2. ダイレクト納品に向いている商品は?
A2. 納期が短く回転率の高い商品、または店舗ごとに数量が明確な商品が適しています。例としては飲料・日用品・シーズン商品などが挙げられます。

Q3. ダイレクト納品を始める際に注意すべき点は?
A3. 出荷管理と納品スケジュールの共有が最も重要です。取引先と納品条件を明確にし、システム上でデータをリアルタイムに連携できる体制を整えましょう。

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