ダブル連結トラックとは?10分でわかりやすく解説

日本の物流業界で近年注目を集めている「ダブル連結トラック」。
一度に大量の荷物を運べる効率的な車両として、大手運送会社やメーカーが導入を進めています。ドライバー不足やCO₂排出量削減など、業界が抱える課題の解決策として期待される存在です。この記事では、ダブル連結トラックの仕組みやメリット、導入状況をわかりやすく紹介します。

📌 ポイントはここ
  • ダブル連結トラックとは、2台のトレーラーを1台のトラクターでけん引する大型貨物車両
  • 幹線輸送の効率化やドライバー不足対策に有効活用されている
  • 運行区間やコストなどの課題を踏まえつつ、今後は更なる普及と自動化が見込まれている

ダブル連結トラックとは?

ダブル連結トラックとは、1台のトラクター(牽引車)が2つのトレーラー(荷台)を連結して走行する大型の貨物車両です。
全長はおよそ25メートルで、一般的な大型トラックの約2倍。1人のドライバーで大量の貨物を一度に輸送できるため、長距離幹線輸送の効率化に向く構造です。

もともとこの形態は、オーストラリアで「Bダブル(B-Double)」と呼ばれる車両として広く普及しており、ヨーロッパでも「ハイキャパシティビークル(HCV)」の一種として運用されています。
日本では2016年から国土交通省の主導で実証実験が始まり、2018年ごろには複数の物流企業が本格的な運行を開始しました。現在は指定区間を中心に幹線輸送への活用が進められています。

ダブル連結トラックの仕組みと特徴

ダブル連結トラックの運行は通常のトラックと異なり、特有の構造・運行ルールがあります。
ここではその仕組みと運行の特徴を整理します。

中間連結台車「ドーリ」の役割

1台目と2台目のトレーラーは、「ドーリ」と呼ばれる中間連結台車で接続されます。
この仕組みにより、長大な車体でも安定してカーブを曲がることが可能です。
連結作業は現在手動で行われていますが、将来的には自動化の検討も進められています。

指定ルートでの運行

車体が長いため、走行できるルートは限られています。
国土交通省が定めた指定区間(新東名や東北道など)を中心に走行し、都市部への配送は別のトラックへ積み替える運用が一般的です。
このように「拠点間輸送」に特化した使い方が主流です。

ダブル連結トラックのメリット

ダブル連結トラックの導入には、輸送効率だけでなく、業界全体の課題解決につながる利点があります。ここでは主な3つのメリットを紹介します。

🚚 メリットまとめ
  • 1.輸送効率の向上:

    1人のドライバーでトレーラー2台分を運べるため、輸送効率が大幅に高まります。 台数削減によって燃料費や運行コストも抑えられます。

  • 2.ドライバー不足の緩和:

    少人数でより多くの貨物を運べるため、慢性的な人手不足の緩和が期待されます。 労働時間の短縮や働き方改革にもつながる輸送方式です。

  • 3.環境負荷の低減:

    輸送量あたりの走行台数を減らすことで、CO2排出量を抑制。 環境対応や脱炭素化を進める企業にとって有効な取り組みといえます。

ダブル連結トラック導入の現状と課題

ダブル連結トラックはすでに複数企業で実運用されていますが、課題も残っています。ここでは導入状況と直面する課題を見ていきます。

⚙️ 導入の現状と課題
  • 1.導入の進展:

    大手物流企業やメーカーを中心に導入が進んでおり、特に関東〜関西間などの幹線輸送で活用が拡大。 1台あたりの輸送量が増え、輸送効率の向上が報告されています。

  • 2.走行区間の制約:

    全長25メートルの車体が走行できる道路は限られており、 現状では国土交通省が指定する高速道路区間が中心。 都市部への進入が難しいため、拠点での積み替えが必要です。

  • 3.コストと人材の課題:

    導入には特殊な連結装置や大型トレーラーが必要で、初期投資が高額になります。 また、安全運転のための専門ドライバー育成にも時間とコストがかかります。

今後の展望

将来的には、自動運転技術や車車間通信(V2V)と組み合わせた「隊列走行」への発展が期待されています。
これにより、複数のダブル連結トラックが連携して走行し、安全性と燃費効率を高めることが可能です。

また、積載計画や運行スケジュールをデジタル技術で管理・平準化する動きも進むことも期待されています。
さらに、地方の物流ネットワークやモーダルシフトとの連携が進めば、ダブル連結トラックは全国幹線輸送の中核的な存在として定着していくでしょう。

まとめ

ダブル連結トラックは、少ない人数で大量の貨物を安全かつ効率的に運ぶという、物流の理想を具現化した新しい輸送手段です。
ドライバー不足や環境負荷への対応といった課題に対し、実用的かつ持続可能な解決策として注目を集めています。

一方で、走行区間の制限や車両コストなど、まだ整備すべき環境も少なくありません。
しかし、官民が協力して制度やインフラの整備を進めていくことで、ダブル連結トラックは今後さらに実用の幅を広げていくでしょう。

ダブル連結トラックに関するよくある質問とその答え

Q1. ダブル連結トラックを運転するには特別な免許が必要ですか?
A. 通常の大型免許に加え、けん引免許が必要です。加えて、企業によっては専用の運転研修を受けることが義務づけられています。

Q2. 一般道でも走行できますか?
A. 原則として指定された区間のみ走行が認められています。交差点や道路幅の制約があるため、一般道での運行は現在のところ限定的です。

Q3. 事故リスクは高くないのですか?
A. 車体が長いため運転には高度な注意が必要ですが、最新の車両では自動ブレーキや車線維持支援など安全装備が充実しています。安全運行のための教育体制も整備が進んでいます。

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