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制度改正が相次ぐ今、「ロジパレジャーナル」を運営する株式会社ロジテックでは、運送事業者が直面する「契約管理の実態」を徹底分析しました。紙・Excel依存、更新漏れ、トラブル多発など、業界全体が抱える課題と、規模別・案件数別の具体的な改善アクションを提示します。
「契約管理」が経営リスクに直結する時代へ
2024年の物流二法改正(物流効率化法・貨物自動車運送事業法)を契機に、物流業界における契約・取引管理の重要性が一気に高まっています。実運送体制管理簿の作成義務化、書面交付の厳格化、多重下請け構造の是正などへの対応は、もはや「形式的な業務」ではなく、事業の継続性と信頼を左右する経営基盤そのものです。
しかし現場の実態はどうでしょうか。契約書の管理は属人化し、更新期限は担当者の記憶に依存し、紙とExcelが混在する──。そんな状況下で、法改正への対応が本当に進んでいるのでしょうか。
株式会社ロジテックは、運送事業者および物流関連事業者7,742名を対象に大規模調査を実施。そのうち実務担当者・管理層328名の詳細回答から、業界が直面する「契約管理の実態」と「改善への道筋」を明らかにしました。
本記事では、その調査結果をもとに、企業規模別・案件数別の傾向、法改正対応の進捗状況、そして具体的なアクションプランを提示します。

調査概要
| 調査目的 | 物流業界における契約・取引管理の実態を明らかにし、制度対応や再委託管理の現状と課題を把握する |
| 調査方法 | インターネット定量調査 |
| 調査期間 | 2025年8月29日〜9月12日 |
| 調査対象 | 運送事業者および物流関連事業者 |
| 有効回答数 | スクリーニング調査:7,742名 / 本調査:328名 |
| 実施主体 | 株式会社ロジテック(キャムコムグループ) |
※本調査は、トラック運送業および倉庫業に携わる実務担当者・管理層を対象とし、事業規模・取引量の範囲を広く取り、業界全体の傾向を公平に捉える設計で実施しました。
1. 契約管理の現状──「紙・Excel依存」が招くリスク
1-1. 主流は依然として「紙」と「Excel」
調査結果から浮き彫りになったのは、契約書管理の旧態依然とした実態です。
【Q2】運送会社との契約書はどのように管理していますか?

紙とExcelを合わせると53.4%。過半数の回答者が、電子的な一元管理を実現できていません。さらに注目すべきは、7.3%を占める「契約書がない場合もある」という回答です。
この管理方法では、以下のリスクが常につきまといます。
- 改定履歴が追えない
- 検索性が低く、必要時に見つからない
- 監査対応で大きな負担
- 更新漏れによる契約違反リスク
1-2. 契約更新管理は「担当者の記憶」に依存
【Q3】契約更新や見直しのタイミングをどう管理していますか?

約8割が手動管理か記憶頼み。システムによる自動アラートを導入しているのはわずか22.3%にとどまります。
属人運用のままでは、更新漏れや契約期限切れのリスクが高く、最悪の場合、法令違反や取引停止につながる可能性もあります。
1-3. トラブルは「よくある」「たまにある」が3割超
【Q4】契約書の紛失・期限切れ・未締結などのトラブルが起きたことはありますか?

約55%が何らかのトラブルを経験しています。これは決してレアケースではなく、業界全体に広がる構造的な課題です。
管理手段が紙やExcelに偏るほど、トラブル発生率は高まります。契約書の棚卸し、ひな形の統一、保管ルールの徹底が急務です。
2. 法改正対応の実態──認知と実行の深い溝
2-1. 法改正の認知度は高まるも、実務レベルでは温度差
【Q5】2024年の物流二法改正の内容をご存じですか?

約7割が「知っている」と回答していますが、問題は「なんとなく知っている」層の対応が遅れていることです。
2-2. 対応状況は項目によって大きくバラつく
【Q6】法改正によって必要となる次の事項に対してどの程度対応されていますか?

情報の浸透こそが、対応の第一歩です。経営層だけでなく、現場の実務担当者まで「何を、いつまでに、どう対応すべきか」を明確に共有することが最優先課題となります。
3. 企業規模別・案件数別に見る「課題の質」の違い
3-1. 保有車両台数別:小規模は「契約書なし」、大規模も「紙依存」
【クロス集計】保有車両台数 × 契約書の管理方法

小規模企業では、契約書がそもそも存在しないケースが約4分の1。人手不足やコスト面から、契約管理そのものが後回しになっている実態が浮かび上がります。
一方、大規模企業でもシステム導入は進むものの、依然として約4割が紙管理を併用。完全な電子化移行には至っていません。
3-2. 月間案件数別:50本超からトラブル急増、101〜500本で限界
【クロス集計】月間輸配送案件数 × 契約トラブル経験

50本を超えると、トラブル発生率が急増します。特に案件数101〜500本の範囲で「よくある」が18.6%と最も高く、属人管理の限界が顕著に表れています。
この結果から、案件数に応じた管理手法の選択が不可欠であることがわかります。
- 少量(〜50本): ルール化・チェックリスト運用
- 中量(51〜500本): 台帳一元化・更新アラート導入
- 大量(501本以上): システム自動化・TMS連携
4. 契約管理の7大課題──現場が感じる実務負荷
【Q7】契約書の管理に関して、以下の項目についてどの程度課題と感じますか?
回答者が「やや課題」「非常に大きな課題」と答えた内容とその割合は以下の通りです。
- 運送会社間で契約情報が共有しにくい……………………… 35.7%
- 契約書式や必要記載事項が統一されていない………………34.5%
- 契約書の更新期限や有効期限の管理が難しい………………32.9%
- 紙とデジタルが混在し検索が困難………………………………32.6%
- 契約締結・変更時の社内承認フローが煩雑………………… 32.6%
- 契約書の内容(条件・料金等)の確認に時間がかかる……32.3%
- 契約書の所在や保管場所が分散している………………………29.0%
これらの課題は相互に関連しており、一つを改善すれば他も連鎖的に改善される可能性があります。逆に言えば、放置すれば負のスパイラルに陥るリスクも高いということです。
5. システム導入のカギ──「コスト」「使いやすさ」「法令対応」
5-1. 重視される3つの選定軸
【Q8】システムを導入する場合、検討の際に重視する点を上位3つ教えてください

コスト(イニシャル・ランニング)、操作のしやすさ、法令対応が重視されていることがうかがえます。高度な機能やカスタマイズ性よりも、「導入・運用のしやすさ」と「コンプライアンス対応」が優先されています。
5-2. 段階的導入が現実的
一気通貫のフルシステム導入は、コスト面でもリスク面でもハードルが高いのが実情です。調査結果からも、段階的な導入アプローチが現実的であることが示唆されています。
推奨ステップ
- Phase1(即効性重視): 契約書の台帳化、更新アラート機能
- Phase2(標準化): 書式統一、承認フロー電子化
- Phase3(高度化): TMS連携、再委託管理の自動化
6. まとめ──「契約管理」は経営戦略そのもの
今回の調査から浮き彫りになったのは、物流業界における契約管理の深刻な実態です。
- 過半数が紙・Excel依存で、電子化が進んでいない
- 約8割が手動管理・記憶頼みで、更新漏れリスクが高い
- 約55%が何らかの契約トラブルを経験
- 法改正への対応も、認知と実行の間に大きな溝
- 50本超の案件数から属人管理の限界が露呈
しかし同時に、改善への道筋も見えてきました。
- 情報共有の徹底:現場まで法改正内容を浸透させる
- 段階的アプローチ:一気にではなく、できるところから着実に
- 規模・案件数に応じた対策:少量はルール化、中量は台帳化、大量は自動化
- システム選定の3軸:コスト、使いやすさ、法令対応
- KPI化と定点観測:改善効果を可視化し、継続的にPDCAを回す
契約管理は、もはや単なる事務作業ではありません。事業の安定性、取引先との信頼関係、法令遵守、そして経営リスクの最小化──これら全てに直結する経営戦略そのものです。
2025年、物流業界は大きな転換点を迎えています。この機会に、自社の契約管理体制を見直し、リスクを未然に防ぐ仕組みづくりに着手してみてはいかがでしょうか。
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