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エコシップマーク認定制度は、海運や物流の分野で進む環境配慮の取り組みをわかりやすく示すために作られた仕組みです。企業が実施するCO₂削減や省エネ輸送の内容を評価し、一定の基準を満たした場合に認定されます。近年はモーダルシフトの推進や環境基準の厳格化が進み、制度への関心が一段と高まっています。
これから、その目的や仕組み、現場での活かし方を順を追って解説していきます。
- エコシップマーク認定制度とは、環境に配慮した輸送に取り組む企業を評価し、認定マークとして示す制度。
- 取得すると、企業の信頼性向上や環境施策の可視化につながる。
- 物流現場では、日々の輸送設計や手配の中で、環境配慮型の選択肢を判断する際のよりどころになる。
エコシップマーク認定制度の基本
エコシップマーク認定制度は、輸送分野のCO₂排出を抑えるために、海上輸送の環境価値を高めようとして生まれた取り組みです。
トラック依存の輸送から、環境負荷の少ない海運へ移す“モーダルシフト”を進めたい国の方針が制度づくりを後押ししました。
同時期に、省エネ船の開発や燃料改革が動き出し、海運側の環境施策を客観的に示す仕組みが求められるようになりました。
その流れを受け、企業の環境配慮を分かりやすく伝えるための“公式な認定マーク”という枠組みが整えられています。
今では、海運会社と荷主の双方が取り組みを社会に示すための指標として活用されています。
エコシップマークの評価項目は?

エコシップマークは、毎年実施される審査によって評価されます。申請企業は、削減量や取り組み状況を提出し、運航方法や設備投資などの面から総合的にチェックされます。認定の判断基準は単一の項目だけではなく、継続的な取り組み姿勢も重視される点が特徴です。審査を通過した企業は、マークを使用して自社の環境活動をアピールできます。
エコシップマーク認定の代表的な評価項目は以下の通りです。
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CO₂排出量の削減効果:
どれだけ温室効果ガスの削減につながったか。
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省エネ船・環境配慮型船舶の導入:
燃費性能や環境性能の高い船舶をどの程度活用しているか。
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運航方法の最適化:
航路の見直しや低速運航など、燃料消費を抑える工夫。
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モーダルシフトの取り組み:
トラック輸送から海上輸送への切り替えによる環境負荷低減。
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継続的な改善活動:
年度ごとの取り組みの積み重ねや、社内体制の整備状況。
エコシップマーク認定を受けるメリット
制度の理解を深めるには、どのような視点で評価されるのかを押さえることが欠かせません。
次の項目では、荷主・海運会社がどの部分で評価されるのかを具体的に紹介します。
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1. 環境への取り組みを客観的に示せる
自社の省エネ運航や燃料転換などの努力を、認定マークとして第三者に示せます。 環境対応船の投入を積極的に行う会社ほど、ブランド価値が高まりやすくなります。
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2. 荷主からの選ばれやすさが向上:
環境配慮型の輸送を重視する荷主(特に大手メーカー・小売)が増えており、 認定を受けている海運会社は提案時の説得力が高まります。
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3.新規航路・設備投資の後押しになる:
省エネ船・LNG燃料船などの投資が評価されるため、 中長期の設備計画や施策の正当性を社内外に示しやすくなります。
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1. 自社の輸送における環境貢献を“見える化”できる:
幹線輸送を海上輸送へ切り替えることで生まれるCO₂削減を、 認定制度を通じて客観的に示せます。 サステナビリティ報告にも使いやすい仕組みです。
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2. モーダルシフト戦略の推進材料になる:
フェリー・RORO便の利用や海運との連携が評価されるため、 トラック依存からの脱却を進めたい企業にとって制度が後押しになります。
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3.物流コストの安定化につながる可能性:
海運を利用した幹線輸送は、燃料高騰時でも価格変動が緩やかになる傾向があり、 中長期でのコスト安定に寄与します。
物流現場から見たエコシップマーク認定制度との関わり

エコシップマーク認定制度は海運を中心とした仕組みですが、実務では陸運とも深く結びつきます。
モーダルシフトが進むと、幹線輸送をフェリーやRORO便に切り替える場面が増え、陸と海の接続調整が欠かせません。
港への搬入時間や到着後の引き取り手配など、運送会社との連携が日常業務に入り込んできます。
また、CO₂削減量の算出には陸上区間のデータも必要で、情報提供が社内の環境報告に関わります。
現場担当者にとって、制度は輸送設計を考える際の指針として活用しやすい位置付けになります。
- RORO・フェリー便のダイヤに合わせたトラックの集荷・搬入スケジュール調整
- 港湾での積み込み待機時間や到着後の引き取り計画の調整
- 海上区間と陸上区間を組み合わせた輸送ルートの設計
- 海運・運送会社・港湾との三者連携による情報共有
- CO₂削減量算出に必要な陸上輸送データの提供・整理
- モーダルシフト提案や改善活動の根拠として制度を活用
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今後の動きと物流業界への影響
エコシップマーク認定制度は、今後さらに基準が見直される可能性があります。
国際的な環境規制が強まるなか、船舶の燃料転換や設備投資が進む場面も増えていくかもしれません。
荷主側でもCO₂算定の精度向上が求められつつあり、データを活用した輸送管理への関心が高まっています。
環境配慮はこれまで以上に重視される傾向があり、今後は“当たり前の視点”として扱われるようになっていくとも考えられます。
まとめ
エコシップマーク認定制度は、環境に配慮した輸送を広げるために設けられた仕組みで、海運会社や荷主企業の取り組みを分かりやすく示す役割を担っています。
現場では輸送方法の見直しや社内での改善活動にもつながり、日々のオペレーションの指針として活用される場面が増えています。環境規制が強まる流れの中で、制度は今後も存在感が高まっていくと考えられ、企業が取り組みを続けるうえで心強い道標になるはずです。
これからの物流を考えるうえでも、押さえておきたい制度と言えるでしょう。
エコシップマーク認定制度に関するよくある質問とその答え
Q1. 認定を受けるために必要な準備は?
A: 取り組み内容や改善状況を整理し、必要なデータを揃えるところから始まります。輸送量、削減量、取り組みの継続性などをわかりやすくまとめると申請がスムーズになります。
Q2. 評価される範囲は輸送部門だけですか?
A: 主に輸送関連の取り組みが中心になりますが、省エネ設備の導入や業務プロセスの改善も評価に含まれる場合があります。企業の姿勢全体が見られると捉えると理解しやすいです。
Q3. 認定を取るとどんな場面で役立ちますか?
A: 取引先への提案資料や調達基準の説明で説得力が増します。社内の環境施策を整理する際にも指標として活用でき、部門間の取り組みをまとめる際に便利です。




