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Pepperで知られるソフトバンクロボティクス株式会社が、2022年から本格参入したのが物流自動化事業です。2024年問題で深刻化する人手不足に対し、同社はAutoStore System社との戦略的パートナーシップを軸に、複数のソリューションを組み合わせた最適提案で物流DXを支援しています。
今回は、倉庫自動化の最前線で活躍する同社ロジスティクス事業本部の武田氏、コンサルティング部門責任者の新川氏、そしてパートナーであるAutoStore System株式会社の安高氏に、物流自動化の具体的な投資対効果と、経営判断に必要な知見を伺いました。モデレーターを務めるのは、株式会社ロジテックの川村です。
メーカーではなく「インテグレーター」――ソフトバンクロボティクスの戦略

川村: まずは、ソフトバンクロジスティクスの武田さんにお話を伺います。ソフトバンクさんでロボットというとPepperくんのイメージが強いのですが、ロジスティクス事業はいつから始められたんでしょうか。
武田: 2022年の9月から開始しております。まずグループとしては、社会課題を解決するという大きなミッションがありますので、物流業界の人手不足を解決したいという思いがあったのが一つ。もう一つは、2021年にAutoStore社にソフトバンクグループとして出資をしたことがきっかけです。戦略的パートナーシップを結んで、そこからロジスティクス事業を始めました。
川村: AutoStoreと御社の棲み分けはあるんですか。
武田: 我々は「世界の技術で物流を最適に」というビジョンを持っていまして、その中でAutoStoreを非常にコアなソリューションの一つとして位置づけています。必ずしもAutoStoreのみによって物流の問題を解決できない部分もありますので、それに対してはさまざまなご提案をしていくという立ち位置です。
川村: 展示会を見ていると、どの会社も良さそうに見えて、何が違うのか分からなくなることが多いんですよ。御社だからという差別化できる要素はどの辺にあるんでしょうか。
武田: 我々はメーカーではないので、自分達では何もつくっていません。AutoStoreや他のソリューションを組み合わせて、物流を最適化、改善するというご提案をしていくポジションにフォーカスしています。いろんなメーカー様と協業してソリューションを組み上げる立場ですので、「どれを見繕ったら自社の物流を良くできるのか」という問いについて、ぜひ我々に問いかけていただきたいですね。
川村: メーカーさん由来の商材だと、形がカチっと決まっているイメージがありますが、結構いろんなところとのアライアンスは積極的なんですね。
武田: そうですね。実際、Pepperの事業から始めていますけども、Pepper自体も我々つくっていませんし、今は清掃とか配膳とか、そういったロボットの販売もやっておりますが、そういった事業も基本的にメーカーさんと協業しながらソリューションをつくっていくというスタイルで、ロジスティクスと全く同じ形です。
川村: Pepperくんも10年以上前にリリースされていて、22年からこちらの事業ということで、順番でいうと比較的新しい部類ですね。物流の世界で3年は非常にまだ若いという感じでしょうか。
武田: そうですね。物流の世界で3年は非常に若いのかなと思います。
川村: 得意な領域を教えていただけますか。
武田: AutoStoreをはじめとする自動倉庫ソリューションが今、我々の一番の強みです。ピッキング周りの生産性改善、保管効率の向上というところですね。物流倉庫の中にはさまざまなプロセスがありますので、それに対して今我々は、例えば自動フォークリフトなどのラインナップを揃えてきています。全体の最適化を目指していく形です。
川村: ということは、結構人手を要するような業務であればあるほど、御社の強みが生きていく感じですね。
武田: そうですね。一番人手が多い部分にフォーカスしながらも、我々のビジョンとしては完全に倉庫の中のオペレーションを無人化するところを目指していきたいと思っています。
「結果にコミットする」コンサルティング――課題ベースで導く一気通貫支援

川村: 続いて、ソフトバンクロボティクスの新川さんに伺います。新川さんはどのような役割をされているんですか。
新川: コンサルティング部門の責任者をしています。企画構想段階から最後の運営まで一気通貫で伴走させていただくサービスを提供しています。
川村: コンサルはどういうスタンスなんでしょうか。
新川: 私の部門は手段にこだわらず、お客様の課題ベースで解決を図っていくアプローチです。世の中にあるいろいろなソリューションを使えるので、課題ベースで向き合うことができます。他社の商材が合う場合は一緒に協力して、複合的にロジスティクスとして価値が出る形を考えます。
川村: 他のコンサル会社さんとの違いはどこですか。
新川: 一番こだわりたいのは、結果にコミットメントしたいということです。マテハンを導入して終わりではなく、そこで効果が出たのか、どうやったら出せるのかというところまで一緒に踏み込んで運用していきたい。中長期的にパートナーとしてサービスをご提供していきたいと考えています。
また、費用設計については、当社の場合はファイナンスソリューションをセットでご提案できるのが強みの一つです。お客さまに適切なものをアレンジして提供できます。
川村: CLO支援サービスについても教えてください。
新川: 企業として、サプライチェーン全体でどう価値が出るかを丁寧に説明しながらやらせていただきます。コスト削減だけじゃなく品質の向上、売上を上げるためのロジスティクスなど、いろいろな価値の形があります。どういうロジスティクス、サプライチェーンにしていきたいかをお客様とお話しして、一緒に作り上げていきたいですね。当社はインテグレーターとして機器の販売もできるので、機器販売とコンサルティングをセットにして話ができるのが明確な違いです。
川村: 相談する側はどういう準備をすればいいですか。
新川: 顕在化している課題、痛みになっている部分をお話しいただけると非常にありがたいです。肩が痛いという症状でも、実際は背骨に原因がある、ということはよくあります。ただし、肩が痛いという事実があるので、ここへの処置も大切ですし、根幹的に生活習慣を直すことも必要です。両面のアプローチが必要なので、まず痛いのがここなんだというところをお話しいただけると、そこからいろいろと想像を膨らませながらお話しさせていただけます。
GTPの仕組み・格納効率・冗長性と拡張性――AutoStoreが選ばれる3つの理由

川村: AutoStore Systemの安高さん、御社の商材について教えてください。
安高: AutoStoreは、まず1つ目は基本的にGoods To Personの仕組みです。人が歩き回らずにピッキングができるということです。2つ目の特徴が、商材の格納効率が極めて高いことです。3つ目は、シングルポイント・フェイラーがない設計です。従来のシステムは1か所が故障すると出荷が止まりますが、AutoStoreは1台のロボットが止まっても他が代替できます。
川村: 日本のユーザーは要求が高そうですもんね。
安高: 日本は世界でもまれに見る厳しいユーザーを抱えています。去年2024年、当社のグローバル標準では稼働率が99.7%ですが、日本は99.9%でした。非常に高いレベルで稼働しています。
川村: どういう会社に向いていますか。
安高: 格納効率が必要なお客様ですね。例えばアパレルさん。季節商材で毎年段替えや再配置が入りますが、AutoStoreの場合は格納効率が最大で4倍、平均しても2倍ぐらい上がりますから、段替えを考える必要がありません。ロングテール商材、製造業のパーツや保守交換部品など、保管期間が長い商材を持つ企業、外部倉庫を借りている企業などに最適です。Goods To Personを使えば人は減ります。今まで20人、30人いたのが10数人で済んだという事例がほとんどです。
1億円の投資で何が変わるのか――経営判断のためのROI試算

川村: かかる費用の話も伺いたいんですが。
安高: 私が想定しているのは、大体1億円前後です。4,000〜5,000万円レベルでもできますが、最低限効果が出やすい規模というと、1億円前後の予算が必要です。
川村: 1億円というと大きな額に思いますが、月給25万円の人が12か月で300万円、30人いたら1億円ですね。
安高: そうです。日本のマテハンの投資回収は一番短くても3年ぐらいから、長いと10年ぐらいです。AutoStoreに限って言うと、裏切らないものがあって、格納効率の良さです。持っている土地は有限ですから、格納効率が2倍になると、商品回転数が同じであれば出荷能力が2倍、結果的に売上は2倍になります。同じ床面積で2倍の売上を出せるので、経営者が興味ないわけないですよね。
また、我々のシステムはモジュール構成になっています。ビン、グリッド、ロボット、ポート、コントローラーという5つの要素を組み合わせていて、レゴのパーツみたいになっています。後から増築したり、ロボット台数を増やしたりできます。最初は限定的に投資して、後から拡張できる装置です。
川村: サプライチェーンの観点から言うと、設備投資は単純にコスト削減ではなく、どうやって売上を最大化するかという装置の一部です。分かりやすい比喩だと、AutoStoreの装置を入れると倉庫1つ建てなくて済む、という話ですよね。導入までの期間はどのくらいですか。
安高: 導入期間は、実際の設置期間で3ヶ月から6ヶ月、詳細にデザインをする時間を含めると10ヶ月ぐらい見ていただくのがいいかなと思います。
川村: AutoStoreの実機も見せていただけますか。
安高:もちろんです。
川村: それでは実際にソフトバンクさんが使用している実機を見せてもらいます。ここからは武田さんにご案内いただきます。
武田: それでは、ご案内します。ご覧の通り上に赤と黒のテントウムシみたいなロボットが走っています。このロボットが下からビンと呼ばれるボックスを取り出して、人がピッキングするエリアに運びます。棚が高く積まれていて、天井目いっぱいまで空間を使えますし、人が通らないので通路も必要ありません。ジャングルジムのように組まれているので、非常に高密度な保管ができるんです。
ロボットが箱を持ってきてくれるので、人が歩かなくてもピッキングができます。現場によってはピッキング作業の半分以上が歩いている時間ですので、作業時間は半分になります。形状も自由で、この倉庫は1区画450坪ぐらいですが、200坪も使っていません。小さなサイズから始められて、必要に応じて拡張していくこともできます。倉庫のレイアウト、形状に合わせた形で組んでいけるのが強みです。
人とロボットの協業から完全自動化へ――物流現場の未来図

安高: マテハンの世界は、キャズムの壁を超えて普及期に入っています。普及期に入るとみんな現実的です。同じようなソリューションがたくさん出てきて、最後はお金になってきます。今、日本の倉庫でGoods To Person的なものを含めた機械化をしている会社は、おそらく30〜40%ぐらいです。まだまだ多くの方がトライしていません。そういう意味では、我々にとってまだまだ伸びしろがある市場です。
川村: 展示会なんかで拝見したりするんですけど、来場される方の数が増えている印象があります。
安高: 直近4、5年でプレイヤーが増えて賑やかになってきました。ユーザーから見ると選択肢があること自体はいいことです。展示会でよく見ていただいて、ご自身のビジネスに合うところを見極めていただくのが大事だと思います。
川村: わかりやすいお話でした。ありがとうございました。
ソフトバンクロボティクス株式会社さま、AutoStore System株式会社さまとの対談の様子は、以下のURLから動画でもご覧いただけます!
【対談企画】トラックの燃費を上げるためには魔法のセラミックス!?【株式会社アスア|第一話】
https://www.youtube.com/watch?v=MzVlfhwIbuQ
企業プロフィール
会社名:ソフトバンクロボティクス株式会社
本社所在地:東京都港区海岸一丁目7番1号 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
設立:2014年7月
会社名:AutoStore System株式会社
本社所在地:東京都港区芝5-29-19 PMO田町Ⅳ 4F
設立:2019年11月(日本法人)



