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コールドチェーンとは?メリット・デメリットや導入のために企業が取るべき行動を解説コールドチェーン

物流では常温で運ぶ商品だけではなく、適切な温度を保ったまま運ぶ商品もあります。

商品に合わせて低温・冷蔵・冷凍で管理して、配送先まで品質が損なわれることなく届けるのが重要なポイントです。

そこで本記事では、低温保管したまま運べるコールドチェーンについて解説します。

コールドチェーンを始めるために企業が取るべき行動を把握しておけば、仕事範囲が広がって取引先が増えていくでしょう。

POINT!ここがポイント
  • コールドチェーンとは、低温で温度管理をしながら流通させる手法
  • 商品の品質維持ができて、廃棄ロスや廃棄にかかるコストを削減
  • 導入するか外部へ委託するかは、自社のコスト負担を考えることと冷蔵倉庫の確保が必要

コールドチェーンとは?

コールドチェーンを直訳すると「冷たい鎖」です。

物流業界にとって、温度管理が重要な商品の配送に欠かせない仕組みとなっています。

コールドチェーンとは何か、従来の物流体制との違いや対象商品などを説明するので、見ていきましょう。

コールドチェーンの概要

コールドチェーンとは、低温で温度管理をしながら流通させる手法です。

主に生鮮食品や冷凍食品を遠方まで運ぶときに使用されて、商品によって低温・冷蔵・冷凍を保って管理をします。

コールドチェーンの手法を使えば商品に品質が落ちず、配送先まで届けられるのがポイントです。

生産段階から届くまでに複数の物流工程がある中で、冷たい(コールド)ままを鎖(チェーン)のように途切れないで行う様が由来になっています。

従来の流通体制との違い

コールドチェーンが無かった従来の流通体制では、鮮度を保てる範囲までの流通に限られていました。

理由は流通しているうちに不適切な温度で劣化が進み、商品の品質が落ちてしまうからです。

しかし、現在はスーパーやコンビニで鮮度の高い食品が手に取れるように、遠方で生産した商品でも購入できます。

生産地から加工する工場、工場から店舗といった流れだけではなく、1号店から2号店といった狭い範囲でもコールドチェーンの活用が可能です。

主な対象商品

コールドチェーンの主な対象商品は、生鮮食品や冷凍食品などの食品関係です。

特に水産物は常温で放置してしまうと鮮度が落ちてしまい、おいしさが失われてしまいます。

他にも医薬品や化学薬品など、薬品系もコールドチェーンの対象商品です。

輸血に使う血液パックやワクチンなども対象で、コールドチェーンには大きな枠割があると言えるでしょう。

遠方まで品質を保ったまま食品や医薬品が利用できるように、流通が難しかったエリアでも配送できるようになりました。

コールドチェーンのメリット

コールドチェーンを利用すると、多くのメリットが得られます。

配送する商品が消費者まで届き、従来のような特定のエリアのみの配送をする必要がありません。

どのようなメリットがあるのか、確認しましょう。

食品の品質維持

商品に適した温度を維持したまま流通することで、品質の劣化を避けられるメリットがあります。

例えば食品の品質維持ができれば、食品の風味やおいしさを保ち、安全に消費者へ届けられるでしょう。

食品に合わせて冷蔵や冷凍などを使い分けることで、品質はより高まります。

魚の配送でよく行われるのが冷凍で、体内にいるアニサキスという寄生虫が死滅します。

安心して食品を提供できる点において、品質維持ができるコールドチェーンは優れた手法です。

仮に常温で配送してしまうと食品に微生物が繁殖してしまい、品質の悪い状態で消費者に届いてしまうでしょう。

有害物質の形成も防げるため、安心して食卓へと届けられます。

食品廃棄ロスの削減

コールドチェーンで配送すれば、食品廃棄ロスを削減できるメリットがあります。

農林水産省のデータによると、1年間の食品ロスは年間約612万トンもあり、東京ドーム約5杯分もあるほどです。

国民1人あたりに換算すると、茶碗1杯分の食料を毎日捨てていることになります。

そのため、配送中に温度管理ができず、積んでいた食品すべてが無駄になってしまう事態は避けなければなりません。

適切な温度管理で品質劣化を防げれば、食品廃棄ロスの問題を解決できます。

日本の食品廃棄物発生量は、1位の中国、2位のアメリカに次いで3位です。

食品ロスを放置すると、環境悪化や人口増加による食料危機などに対応できなくなります。

配送する食品が無駄にならないように、品質が保てるコールドチェーンは欠かせない仕組みです。

食品廃棄にかかるコストの削減

食品廃棄にはコストがかかるため、コールドチェーンを行えばそのコストを削減できる可能性が高まります。

環境省のデータによると、ごみ処理事業経費は年間で約2兆885億円分もかかります。

日本の人口が約1億3,000万人なので、1人当たり約1万6,500円を負担していることになります。

食品ロスでコストを抑えるために、食料を損失させない工夫が必要です。

SDGsが掲げている以下の目標に貢献していけば、食料廃棄が少なくなってよりコストを抑えられるでしょう。

目標達成のために、コールドチェーンのメリットを最大限に活かす必要があります。

2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす。

引用元:日本ユニセフ協会「目標12のターゲット(12-3)」

※SDGs:持続可能な開発目標

全国各地に輸送が可能

従来の流通では配送エリアが限られていましたが、コールドチェーンがあることで全国各地に輸送できるようになりました。

例えば血液パックは短期間の配送が決められていて、温度管理をしながらの輸送ができませんでした。

管理温度は2℃〜8℃で、既定の温度外になると廃棄になります。

医薬品は常に2℃〜8℃の保管が必要で、厳しい管理条件を満たさなければなりません。

しかし、コールドチェーンで医療用の保冷庫を使用して管理すれば、長期間の保管ができます。

保冷庫は遮光性・断熱性・耐久性などがあり、途中で温度が変化しない保冷性が必須です。

管理条件を満たせば場所を問わず、全国各地どこでも輸送ができるようになります。

コールドチェーンのデメリット

コールドチェーンを活用すると食料の品質が保たれて、廃棄ロスやコストなどの削減ができます。

しかし、導入は簡単ではなく、2つのデメリットに注意しておかなければなりません。

どのようなデメリットがあるのか、1つずつ解説します。

温度管理をするコストが多額

コールドチェーンには、温度管理をするためにコストがかかるデメリットがあります。

流通体系が整っているか、シミュレーションをしておくと良いでしょう。

例えば一定の温度を保ったまま何時間も運ばなければならないはずが、短時間で温度が変化してしまうと致命的です。

中に積んだ全ての商品が廃棄になってしまい、損害が大きくなってしまいます。

また、コストは金銭的な負担だけではなく、時間も同様にかかるので注意してください。

販路が拡大して迅速に運べるか、生産から消費までの過程で問題ないかなどの確認が必要です。

最終的に多額なコストに対して回収できるほどのビジネスになるか、費用対効果を見定めておくと良いでしょう。

生産から消費までの高い意識・技術が必要

高い意識と技術がないまま物流業務をすると、品質が保たれません。

生産・加工・輸配送・販売・消費という物流の流れがある中、どこかで温度管理をミスすると商品は廃棄になります。

特にクリスマスケーキやおせちのような商品がダメになると、甚大なリスクとなるでしょう。

配送先の店舗だけではなく、商品を楽しみにしていた消費者まで迷惑がかかるからです。

また、業務フローが遅れたり配送ルートが渋滞したりするイレギュラーな事態が起きる場合があります。

柔軟に対応できて、かつ責任が持てる従業員が必要になります。

コールドチェーンを始めるために企業が取るべき行動

コールドチェーンを始めるためには、最適な経営判断が必要になります。

何を準備すればいいのか、そもそも始めた場合の費用対効果はどうなるのかなど、解決すべき課題が出てくるでしょう。

ここでは企業が取るべき行動を解説していくので、導入の判断材料として参考にしてみてください。

自社にかかるコスト負担を把握する

自社にかかるコスト負担を把握しておけば、始めるための準備が整えられます。

コスト負担は大きく、商品によってコストの増減が幅広いです。

  • 設備導入のイニシャルコスト
  • 維持管理のランニングコスト
  • 冷蔵倉庫のコスト
  • 温度管理ができる人材の確保
  • 商品に合わせて低温管理ができる施設

上記はコストの一例で、企業によってはさらにコストの種類が増える可能性があります。

コストを見込んでおくことで、商品に対応した管理ができるようになります。

※イニシャルコスト:初期費用
※ランニングコスト:維持費

冷蔵倉庫を確保する

常温倉庫とは違い、コールドチェーンでは冷蔵倉庫の確保が必要です。

建設場所の確保や建設費用の支払い、専門的な倉庫管理など、多くの対応すべきことがあります。

仮に冷蔵倉庫が不足すれば、商品の管理や維持ができません。

冷蔵倉庫を既に保有している場合は、築年数を確認するようにしてください。

日本では冷凍食品やチルド食品が豊富にあり、すでにコールドチェーンを始めている企業が多いです。

しかし、冷蔵倉庫の老朽化で機能性が落ちてしまうと、適切な温度管理ができなくなります。

食品や医薬品などを、安心して消費者まで配送できるように、準備しておくようにしてください。

外部へ委託

生産から消費までの流通を確保する必要がある中、自社に向かない場合は外部へ委託しましょう。

コールドチェーンには、流通の構築・整備が必要です。

しかし、物流業界が抱えている人手不足や業務の非効率化などの課題が解決されないと、コールドチェーンに踏み切りにくくなります。

そこで外部に委託して任せておけば、自社に負担がかからずに高品質のまま配送可能です。

委託するとコストがかかりますが、費用や時間のコストを抑えられます。

外部に委託する場合は自社の物流事業と親和性が高く、信頼できる会社を選定するようにしてください。

まとめ

コールドチェーンを活用した物流業務を行うと、食品や医薬品などが運べるようになります。

低温で管理しながら流通する仕組みなので、品質を保ったまま商品を届けられる反面、コスト面や技術面への注意が必要です。

自社の費用対効果を確認して、見合わない場合は外部へ委託する方法が向いています。

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