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物流現場取材シリーズ【18】
物流コンサルティングがリードするDXの未来像とその実現方法

左から秋川社長、川村

製造業、物流業、流通業を中心に、業務プロセスの改革や現場改善、情報システムの企画・構築を手掛けるコンサルティング会社「株式会社ストラソルアーキテクト」は、企業理念として「お困りごとを解決する“個別解”の追求!」を掲げ、それぞれの顧客に最適なソリューションを提供しています。今回は、代表取締役社長の秋川様にご協力いただき、株式会社ロジテック代表取締役の川村がモデレーターを務め、物流コンサルティングの役割や現場のリアルな声についてお話を伺いました。

現場主義のコンサルティングで実現する効率化と省人化

川村:まずは事業内容をご説明いただけますか。

秋川:当社は、SCMと物流のコンサルティングを主軸に業務を行っています。具体的には、物流や生産の業務効率化や省人化を目指し、その手段として情報システムの刷新が必要な場合にご相談いただきます。生産性向上のための業務プロセスの見直しや設備の選定、そして仕事の進め方の決定など、お客様に代わってコンサルタントが代行するのが我々の役割です。

川村:それは非常に重要な役割ですね。特に、物流や生産の現場では効率化と省人化が大きな課題となっていますが、どのような具体的なソリューションを提供されていますか。

秋川:例えば、物流センターのレイアウト変更や自動化設備の導入、情報システムの刷新などを行っています。これにより、作業効率を大幅に向上させることが可能です。また、現場の業務プロセスを見直し、無駄を排除することで、生産性を高めることができます。これには詳細な現場分析と、データに基づく改善提案が不可欠です。

川村:現場の分析を重視されているとのことですが、特にどのようなデータが効率化に大きく寄与すると考えていますか

秋川:まず、現場の作業フローを詳細に観察し、各プロセスで発生する時間やコストを測定します。これにより、どの部分がボトルネックとなっているのかを特定し、改善点を明確にします。また、従業員の意見や経験も重要なデータとして収集し、実際の現場に即した改善策を提案します。

熟練の技と機械化のバランス

川村:ベテランの現場作業員の方々は、自分の感覚に頼った方が効率的だと考えることが多いですが、こうした現場での経験に頼る方法についてどうお考えですか。

秋川:確かに、長年の経験を積んだベテランの方々は、商品リストを一目見ただけで全体の流れを把握できる卓越した技術を持っています。しかし、そのようなスピードで機械が対応することは難しいです。そして、ベテラン職員が退職すると、その技術の継承が難しくなるという問題があります。機械や情報システムを導入することで、新しい職員でも一定水準の仕事ができるようになりますが、職人技の表現は難しい部分もあります。

川村:その技術を次の世代にどのように引き継ぐかが大きな課題だと思いますが、秋川さんはその点についてどのようにお考えですか

秋川:実際に現場に行ってベテランの方の仕事を見て学ぶことが大切です。一方で、それを言語化し、他の職員に伝えることも必要です。背中で語る技術を言語化できれば、それが非常に強力なツールになります。例えば、作業マニュアルを作成したり、教育プログラムを設けたりすることで、技術の継承を図ります。

川村:新しい技術やシステムを導入する際には、現場の作業効率をどのように向上させるかを明確に説明する必要がありますね。

秋川:はい、そのためには現場の意見をしっかりと聞き、現場のニーズに合ったシステムを選定することが重要です。また、システムの導入だけでなく、その後の運用やメンテナンスも考慮する必要があります。システム導入後のフォローアップも欠かせません。これにより、現場が新しいシステムにスムーズに適応し、最大限の効果を発揮できるようになります。

物流クライシスと2024年問題

川村:物流の効率化に取り組む中で、2024年問題も大きな課題となっていますが、秋川さんはこれについてどのようにお考えですか。

秋川:物流業界全体で見直しが必要です。運送会社が荷主の言いなりになる時代は終わり、持続可能な形に変えていく必要があります。例えば、ドライバーが行っていた作業を自社で行う、締め時間を前倒しにするなどの取り組みが必要です。物流クライシスが起きる理由や対策についても、多角的に考える必要があります。

川村:確かに、運送会社だけが負担を背負うのではなく、荷主企業も協力して効率化を進めることが求められますね。具体的には、現場でどのような取り組みが進んでいるのでしょうか。

秋川:一つの事例として、ドライバーが行っていた荷物の仕分け作業を自社で行うようにする取り組みがあります。また、受注の締め時間を前倒しすることで、物流の効率化を図る企業も増えています。これにより、ドライバーの負担を減らし、働きやすい環境を整えることができます。

川村:そのような取り組みは、企業全体の意識改革が必要ですね。

秋川:はい。物流業界全体での協力が求められます。また、法律や規制も見直す必要があるでしょう。2024年問題は、単に物流業界の問題ではなく、日本全体の課題です。物流の効率化は、企業の競争力を高めるだけでなく、社会全体の効率向上にも寄与します。そのためには、企業間の連携や協力が不可欠です。

川村:確かに、企業間の協力は今後の物流業界の持続可能性を左右する重要な要素ですね。

将来の物流とコストの問題

川村:秋川さんのお話を聞いて、物流の将来についても気になってきました。今後、どのような変化が予想されるのでしょうか。

秋川:モーダルシフトが進んでおり、トラック輸送の量が減少していくと考えられます。共同配送や当日出荷の見直しなど、過度なサービスレベルを下げる方向に進むと思います。それにより、持続可能な物流が実現するでしょう。

川村:モーダルシフトは具体的にどのように進められているのでしょうか。

秋川:例えば、鉄道や船を使った輸送の割合を増やすことです。これにより、トラックドライバーの負担を減らし、効率的な物流が実現します。また、共同配送を進めることで、物流コストの削減や環境負荷の軽減にもつながります。

川村:なるほど、具体的な改善策についてはとても興味深いです。改善にかかるコストについてもお聞きしたいのですが、物流業務改善には相当な費用がかかるのではないですか。

秋川:それなりの投資は確かに必要ですが、倉庫管理システムなどのコストは大幅に下がっています。情報システムの導入ハードルも低くなっているため、中小企業でも導入しやすくなっています。どのシステムが最適かは、業務プロセスに合わせて選定する必要があります。

川村:システム選定の際には、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。

秋川:まずは、自社の業務プロセスをしっかりと分析し、そのニーズに合ったシステムを選定することです。また、導入後の運用やメンテナンスも考慮し、長期的な視点で選ぶことが重要です。システムの導入は一度きりの作業ではなく、継続的な改善とメンテナンスが必要です。

川村:私も、システム導入後の継続的なサポートは重要だと思います。

秋川:はい、そのためには信頼できるパートナーとの協力が不可欠です。システムベンダーとの関係を強化し、定期的なレビューや改善提案を受けることで、システムの効果を最大限に引き出すことができます。また、社員の教育やトレーニングも重要です。新しいシステムを効果的に使いこなすためには、社員のスキル向上が必要です。

秋川:最後に、物流業界全体が持続可能な形に進むためには、業界全体での協力が必要です。我々コンサルタントもその一助となれるよう、引き続き努力してまいります。

川村:この対談を通じて、物流業界の現状と未来について深く掘り下げることができました。物流コンサルティングの重要性、現場のリアルな課題、そして未来への展望について、秋川社長と川村社長の貴重な見解を伺うことができました。物流業界が直面する課題は多岐にわたりますが、コンサルティングの力を借りて、持続可能な未来を築いていくことが求められます。

物流業界は今、変革の時期にあります。業務の効率化、省人化、そして持続可能性の追求が求められる中、物流コンサルティングの役割はますます重要になっています。現場のリアルな課題に向き合い、具体的なソリューションを提供することで、物流業界全体の改善を図っていくことが必要です。物流クライシスや2024年問題に対処するためには、業界全体での協力が欠かせません。物流の未来を見据えた取り組みを進めることで、持続可能な物流体制を築いていきましょう。

今日はありがとうございました。

秋川:こちらこそ、ありがとうございました。

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