荷崩れとは?10分でわかりやすく解説

商品や部品などの荷物を輸送する過程で、積み上げた荷物が倒れてしまったり、崩れたりする現象を「荷崩れ(にくずれ)」と言います。
これは、物流現場で起こりうる代表的なトラブルのひとつで、商品破損や納品遅延、さらには人的被害につながることもあるため、注意が必要です。

本記事では、「荷崩れとは何か?」という基本から、主な原因、そして現場でできる防止策までを、物流の専門知識がない方でも理解できるようにわかりやすく解説していきます。

荷崩れとは?

荷崩れとは、輸送中や荷役中(積み降ろし作業中)に、貨物が振動や衝撃を受けて崩れる現象のことを指します。たとえば、トラックで荷物を運んでいる最中に急ブレーキを踏んだり、段差を越えたりした際、積み方が不安定だと荷物がバランスを崩して倒れてしまうことがあります。

このような荷崩れは、商品の破損を引き起こす原因となりかねません。商品の破損が発生すると、再出荷や返品対応が必要となり、コストと時間のロスが生じるだけでなく、顧客からの信頼を損なう可能性もあります。

荷崩れが発生する主な原因

荷崩れの原因はさまざまですが、主に以下のようなものが挙げられます。

・積載方法の不備


荷物を積む際、重いものを下に置かずに不均等に積むと、バランスが崩れて荷崩れが起きやすくなります。高さや重さを考慮した積み方をしないと、移動中に荷物が動いてしまう可能性が高くなります。

固定不足


荷物をしっかり固定していないと、振動やカーブの影響で荷物がズレてしまいます。特に長距離輸送では、少しのずれが荷崩れを引き起こす原因となります。

・梱包の問題

荷物を包んでいる箱がつぶれやすい材質だったり、表面がツルツルしていると、上に重い荷物を積んだときに形が崩れたり、滑って動いてしまうことがあります。こうした状態では、荷物同士がしっかり支え合えず、バランスが崩れて倒れやすくなるため、荷崩れの原因になってしまいます。

・運転操作の影響

急発進や急停止、急カーブなどの急激な運転操作は、荷物に大きな衝撃を与えます。これにより、積まれた荷物が揺れたり、バランスを崩したりして、荷崩れのリスクが高まります。特に、長距離輸送や高速道路での走行時に、こうした操作が繰り返されると、荷物が動いてしまい、最終的には破損や崩れを引き起こす原因となります。

荷崩れを防ぐための対策とは?

荷崩れを防ぐためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。

パレットへの適切な積み方

 荷物をパレットに積む際には、重いものを下に、軽いものを上に積むことが基本です。この積載ルールを守ることで、荷物の安定性が保たれ、輸送中の揺れや衝撃から荷物を守ることができます。

また、積み方に工夫を加えることで、荷崩れを防ぐだけでなく、スペースの無駄もなくなり、効率的に積載することができます。パレットに荷物を載せる際は、荷物がずれないようにしっかりと並べることも重要です。

・ラッシング(固定)器具の活用

 荷物をしっかりと固定するためには、ベルトやネットといったラッシング(固定)器具を使うことが非常に効果的です。これらの器具を適切に使うことで、振動や急ブレーキなどによって荷物が動くことを防ぎ、安定させることができます。

特に長距離輸送や悪路を走行する際には、荷物がズレることが荷崩れの原因となるため、しっかりとした固定が欠かせません。固定が不十分だと、荷物同士が接触し、破損やさらなる崩れが引き起こされる可能性があります。

・すべり止めマットや緩衝材の使用


荷物同士の接触や移動を防ぐために、すべり止めマットや緩衝材を使用することが効果的です。これらは荷物の下や間に敷いて、荷物のズレや衝撃を吸収する役割を果たします。

特に繊細な商品や壊れやすい貨物の場合、緩衝材を使用することで、輸送中の衝撃から荷物を守ることができます。また、すべり止めマットを使用することで、荷物同士の摩擦を高め、積んだ荷物が動きにくくなります。これにより、荷崩れを防ぎ、配送中のトラブルを減少させることができます。

・運転手への意識づけ


荷物が崩れる原因の一つは、運転手の運転方法にもあります。運転技術だけでなく、荷崩れを防ぐための「運転意識」が求められます。急ブレーキや急加速を避け、急カーブや急な停車をできるだけ避けることで、荷物に与える負荷を減らし、荷崩れのリスクを軽減できます。

運転手には、荷物を運ぶだけでなく、物の安全を考えた運転を心掛けるようにすることが必要です。丁寧で慎重な運転が、荷崩れを防ぐための最良の方法です。

・定期的な点検・チェック
 

長距離輸送の場合、荷物が長時間揺れたり、振動を受けたりするため、定期的な点検やチェックを行うことが重要です。出発前に荷物がしっかり固定されているか、積み方に問題がないかを確認することはもちろん、途中の休憩時にも荷姿のチェックを行い、荷物のズレや崩れを早期に発見することができます。早めに問題を見つけることで、積み直しや再固定などの対応を迅速に行うことができ、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

荷崩れは、ほんの少しの油断から起こり、大きな損失やトラブルにつながる可能性がある重要なリスクです。しかし、原因を正しく理解し、基本的な対策をしっかりと実施することで、未然に防ぐことができます。

日々の積み方や運転、梱包資材の選定など、小さな工夫と注意の積み重ねが、トラブルのない安全な物流につながります。荷崩れを「他人事」とせず、誰もが意識して取り組むことが、信頼される物流を支える大きな一歩となるでしょう。

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