IBPとは?10分でわかりやすく解説

輸入ビジネスでは、タイミングを逃すことで生じる損失が大きくなることがあります。そのため、貨物を税関手続きの途中で一時的に引き取る「BP(許可前引き取り)」という制度が利用されることがあります。しかし、貨物を引き取っただけで安心してはいけません。

その先に必要なステップが、今回取り上げる「IBP(Import Permit of the Goods Delivered Before Permit:許可前引き取り貨物輸入」です。

この制度は、BPを使った企業が後日、正式な輸入申告を行い、関税や消費税を納め、担保解除を受けるまでの一連の処理を指します。

本記事では、IBPの必要性や活用される場面、進め方の手順や注意点についてわかりやすく解説します。

IBPが必要な理由

BPは、輸入許可前に貨物を引き取ることができる制度ですが、あくまで“仮の引き取り”です。正式な輸入ではありません。

BPを利用する際には、企業は税関に担保(保証)を差し入れた上で、貨物を一時的に引き取る許可を得ています。その後に必ず行わなければならないのが以下の作業です。

<BPを使用した後に行うこと>

・正式な輸入申告(IBP申告)
・関税・消費税の確定と納付
・担保の解除申請

このプロセスが完了して初めて、「その貨物は正当に日本に輸入された」と認められます。

どんなときにIBPが発生する?

IBPは、BPを使ったケースで必ず必要になります。BPが発生するのは、たとえばこんな状況です。

・製造ラインが止まってしまうのを防ぐために、原材料をすぐ引き取りたい
・大型イベントに出品する商品の納品がギリギリで、先に搬入だけ済ませたい
・季節商品など、販売タイミングを逃すと価値が落ちるため即納したい

このような“時間勝負”の輸入でBPが使われた場合、その後にIBPでしっかり正式な処理を行う必要があります。

IBPの流れを具体的に解説

BPは以下のようなステップで進められます。

1. 貨物が日本に到着 → BP(許可前引き取り)

貨物が港や空港に到着し、税関に「BP申請」を行います。担保(保証金や銀行保証)を差し入れて承認を得たのちに、一時的に貨物を引き取ります。

2. IBP申告(輸入申告の本番)

引き取った貨物に対して、正式な輸入申告を行います。通常の「本邦への到着後輸入申告」と同じように、必要書類を提出します。具体的には、BP承認書、インボイス、パッキングリスト、B/L(船荷証券)、などが必要です。

3. 税額確定と納付

税関が申告内容を確認し、関税・消費税の額を確定します。その後、指定された期限までに税金を納めます。銀行振込や口座引き落としなど、納税方法は事前の確認が必要です。

4. 担保の解除

納税が完了したことを確認後、税関に担保解除申請を行います。問題がなければ、提出していた担保が正式に解除されます。

IBP申告の注意点

IBP申告は、形式的には「輸入申告」と同様ですが、事前にBP処理をしている点が異なります。そのため、以下のような注意点があります。

<IBP申告の注意点>
・輸入申告区分は通常の貨物到着後申告と同じ扱い(輸入申告)
・「BP後であること」がわかるように、関連書類を添付
・申告時には、貨物の内容や引取済みである事実を明記

また、税関の担当官も、過去のBP承認と照らし合わせて確認するため、BPとIBPの記録が一貫していることが大切です。

IBPに必要な担保とは?

BP時には、税関がリスクを取って貨物の引き取りを認めるため、企業は担保を差し入れます。担保には以下のような形があります。

<担保の種類>
・銀行保証状
 → 銀行が企業の代わりに税関に保証する書類で、スタンバイ・レター・オブ・クレジット(スタンバイ L/C)などが代表例です。
・現金保証(指定口座への一時入金)
・保証保険の契約

IBPで納税・申告が完了し、問題がなければ、企業は担保の解除を申請できます。解除のタイミングは税関によって多少異なりますが、完了通知をもって企業は完全に輸入処理を終えることになります。

まとめ

IBPは、BPで貨物を引き取った後に、その貨物の輸入を正式に確定させるプロセスです。関税・消費税の納付、税関からの正式な輸入許可、そして担保の解除の3点が揃って、はじめて「輸入が完了した」といえます。

BPを利用することでスピーディに貨物を引き取ることができても、IBPをきちんと行わなければ不備や違法のリスクが生じます。

物流や貿易の現場では、BPを使用した場合はIBPを行うまで輸入業務と認識し、正確で迅速な対応を心がけることが求められます。

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