BPとは?10分でわかりやすく解説

BP(Before Permit)は、まだ輸入許可が出ていない段階でも、条件を満たせば一時的に荷物を引き取ることができる特別な手続きです。

例えば、以下のような場面で利用されます。

・税金の計算に時間がかかっている
・書類の確認作業に時間を要している
・でも現場では「今すぐ部品が必要」

こうした「やむを得ない事情」があるとき、一定のルールを守れば、税関の許可を得て先に貨物を引き取ることができます。

そもそも「輸入許可」とは?

海外から日本にモノを入れるとき、すべての貨物はまず税関でチェックされます。「これはどのような貨物?」「どのくらいの税金がかかる?」などを確認し、問題がなければ「輸入してOK」となるのが輸入許可です。

この許可が出るまで、原則としてその荷物を倉庫から引き取ることはできません。ですが、ビジネスの現場では「すぐに必要なのに!」というケースも発生する場合があります。

BPを利用するために守るべき一定のルール

BPを利用するために守るべき一定のルールはどのようなものでしょうか?ここでは5つのルールについて解説します。

輸入申告がすでに行われていること

 輸入許可前に貨物を引き取るには、まず輸入申告が済んでいる必要があります。BPは、申告後、許可が出る前の段階でのみ利用できます。

やむを得ない事情があること

 貨物を早く引き取る必要がある正当な理由が求められます。例えば、生産ラインを止めたくない、顧客への納期が迫っている、保管コストが大きく膨らむなどの事情がこれに該当します。

担保の提供

 輸入許可前の段階では納税額が確定していないため、予定される関税や消費税の額に相当する担保を用意しなければなりません。担保は、現金のほか、保険会社や銀行の保証書なども認められています。

申請書類の提出

貨物の内容や引き取りの理由、担保の詳細などを記載した「許可前引取り申請書」を税関に提出する必要があります。

税関長の承認を受けること

 申請内容と提出書類が税関によって審査され、すべてが適切であると判断された場合に限り、税関長の承認が得られ、貨物を先に引き取ることが可能となります。

なぜ担保が必要なの?

BPでは、貨物の輸入許可が出る前に商品を引き取ることができますが、この時点では関税や消費税の正確な金額がまだ決まっていません。
そのため、もし後から「実際の税額は思っていたより高かった」と判明しても、税関としては確実に税金を回収しなければならない立場にあります。

そこで、貨物を早く引き取らせる代わりに、あとで発生するかもしれない税金をきちんと払ってもらえるように、あらかじめ担保を預かるのです。
これは、もし万が一、業者が追加の税金を払えなくなった場合でも、税関がその担保から税金を回収できるようにするための安全策です。

BPを使う際の注意点とは?

BPは、輸入許可を待たずに貨物を引き取れる便利な仕組みですが、どんな状況でも自由に使えるわけではありません。利用にあたってはいくつかの注意点があります。

1. 「やむを得ない事情」が必要

BPを使うには、「今すぐ引き取らなければ業務に支障が出る」といった緊急性や合理的な理由が必要です。単なる希望や都合では認められません。例えば「生産ラインが止まってしまう」「納期に間に合わないと取引に影響が出る」といった具体的な事情が求められます。

2. 事前準備が重要

BPは通常の輸入よりも提出書類が多く、申請手続きも複雑です。書類に不備があると税関から差し戻され、かえって時間がかかってしまうこともあります。また、税関への説明資料や担保の手配にも時間が必要なため、余裕を持った準備が不可欠です。

3. 輸入許可が下りなかった場合のリスク

BPで貨物を先に引き取ったとしても、最終的に税関が輸入を許可しないと判断する可能性もゼロではありません。その場合は、引き取った貨物を返送するか、適切な処理を行う必要があり、手間もコストも発生します。リスクへの備えも考えておくことが重要です。

4. 手続きに慣れていないと、逆に時間がかかることも

担保の手配や税関とのやり取りには、専門知識と経験が必要です。社内に知識のある担当者がいない場合、手続きに時間がかかり、BPの本来の目的である「早く引き取る」が果たせなくなることもあります。
そのため、通関士や通関業者、物流会社と連携しながら進めるのが安心です。

まとめ

BPは、簡単に言えば「税関の許可が出る前に、条件付きで荷物を先に引き取る制度」です。ビジネスにおいて「時間はお金」と言われるように、貨物を1日でも早く引き取れることは、時として大きな価値を生み出します。

物流や通関の知識が浅い方でも、BP制度の基本を知っておけば、いざというときに「こんな制度があるんだ」と適切な判断がしやすくなります。自社の物流戦略の中に、ぜひこの制度も選択肢として持っておきましょう。

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