Detention(ディテンション)とは?10分でわかりやすく解説

国際物流の現場では、タイムマネジメントがコストに直結します。とくにコンテナを使用した海上輸送では、「返却の遅れ」が思わぬ追加費用につながるケースがあります。その費用のひとつが「Detention(ディテンション)」です。

この記事では、Detentionが発生する仕組みや注意点、発生を防ぐための実務上のポイントについて解説します。

Detentionとは、船会社が設定した期限(Free Time)を過ぎてもコンテナが返却されなかった場合に発生する延滞料のことを指します。

これは、コンテナを一定期間内に返却するという約束に違反した際に課されるペナルティであり、「借りたコンテナをいつまでも持ち続けること」への対価と考えるとわかりやすいでしょう。次の項で、具体例を交えて説明します。

Detention Free Timeとは?

Detention Free Time(ディテンション・フリータイム)とは、船会社が貸し出したコンテナに対して「無料で使える期間」のことを指します。この期間内であれば、延滞料(Detention)は発生しません。

この仕組みは、輸出・輸入のどちらにも適用され、それぞれ以下のような形で関係します。

輸入時のDetention Free Time

輸入時では、コンテナが港から引き取られた日を起点にカウントが始まります。

たとえば、ある企業が輸入貨物をCY(コンテナヤード)から引き取ったあと、そのコンテナを自社倉庫で荷下ろしして、空コンテナを船会社の指定デポに返却するまでの間が対象です。

この間にFree Timeが設けられており、その期限内に返却できなければ、1日単位でDetention(延滞料)が課されます。
特に港から距離のある工場や倉庫などで荷下ろしを行う場合、返却に時間がかかりやすいため、Free Timeの設定を事前に確認しておくことが重要です。

輸出時のDetention Free Time

一方で輸出では、船積み前に空コンテナをデポなどでピックアップしてから、港に搬入するまでの期間が対象になります。

たとえば、輸出業者が船会社から空コンテナを受け取り、自社で貨物を積み込み、港に持ち込むまでの猶予期間がFree Timeです。この間に港へ搬入されなければ、やはり延滞料が発生します。

港への搬入が遅れると余計なコストが発生するだけでなく、船に積載できず出荷が遅れるリスクもあるため、スケジュール管理が非常に重要です。

Demurrageとの違い

Detentionとよく混同される用語にDemurrage(デマレージ)があります。どちらも「延滞」に関する費用ですが、発生するタイミングと場所が異なります。

・Demurrage:コンテナが港(CY)内に置かれたままになっている状態で発生
・Detention:港から引き取られたコンテナが、期限を超えても返却されない状態で発生

つまり、Demurrageは港内の保管超過、Detentionは港外での返却遅延という違いがあります。

Detentionの金額はどのようにして決まるのか?

輸出入の現場で発生する可能性のあるDetentionですが、その金額は一律ではなく、さまざまな要素によって決まります。ここでは、主にどのような要因で料金が決まるのかを、具体的な観点ごとに整理して説明していきます。

1. 船会社による違い

Detentionの料金設定は、船会社ごとに異なります。各船会社が独自にルールと料金体系を設けており、同じ港を利用していても、どの船会社を利用するかによって延滞料の単価やFree Timeの期間が変わります。

また、同じ船会社でも「航路」や「寄港地」によって金額が違うことがあるため、事前に契約内容や案内をしっかり確認することが重要です。

2. コンテナの種類

コンテナの種類によってもDetentionの単価は変わります。一般的に使われるドライコンテナ(20ft・40ft)よりも、以下のような特殊コンテナは高額になる傾向があります。

・リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵)
・フラットラックやオープントップコンテナ
・タンクコンテナ

これらの特殊コンテナは管理コストや設備負担が大きいため、Detentionの単価が高く設定されています。

3. 延滞日数(Free Timeの超過日数)

Detentionは延滞した日数に応じて段階的に課金されるのが一般的です。

長期間返却が遅れるほど1日あたりの金額が高くなる仕組みになっており、放置しておくとコストが大きく膨らむ危険があります。

4. 国・地域・港による影響

Detentionの料金は返却地の地域や港の事情にも左右されます。混雑している大規模港や、コンテナ不足が問題になっている地域では、コンテナの回転率を上げるためにDetentionが高めに設定されることがあります。

また、現地の税関・検疫処理のスピードや、港周辺のインフラ環境によって返却にかかる時間も異なるため、想定よりもFree Timeをオーバーしやすい地域には注意が必要です。

Detentionを防ぐためにできること

Detentionのリスクを避けるには、いかに「Free Time内に返却できる体制を整えるか」が鍵です。以下のような対策が効果的です。

到着前からのスケジュール管理

貨物が港に到着する前から、輸送・荷下ろし・返却までの工程を逆算して計画しておくことで、余裕を持った対応が可能になります。

トラック・倉庫との連携強化

輸送業者や倉庫との連絡を密にし、遅延が発生しないよう事前の段取りを徹底することが大切です。

フリータイムの交渉

取引条件や貨物のボリュームによっては、事前に船会社とFree Timeを延ばす交渉ができることもあります。状況に応じて活用を検討しましょう。

複数便の荷受けが重ならない工夫

 特定期間に大量の貨物が集中しないようスケジュールを分散させると、返却作業が円滑になり、Detentionの回避につながります。

まとめ

Detentionを発生させないことが最も効果的なコスト対策です。コンテナを返却するタイミングを軽視してしまうと、計画外の費用が発生し、利益を圧迫する結果になります。

また、Detentionが頻発する企業は、船会社との信頼関係にも影響を与えかねません。
こうした事態を防ぐためにも、日頃から返却スケジュールの管理を徹底し、社内体制の見直しや業務フローの最適化を意識していくことが重要です。

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