パッキングリストとは？10分でわかりやすく解説

2025.05.30

パッキングリスト（Packing List）とは、輸出入される貨物の明細書のことです。

その名の通り、「何が、どれだけ、どんな状態で梱包されているか」を一覧で記載した書類で、通関（税関の審査）手続きにおいて欠かせない書類のひとつです。

これから、パッキングリストに記載される内容、インボイスとの違い、パッキングリストの重要性について解説していきます。

パッキングリストに記載される主な内容

パッキングリストには、主に以下のような情報が記載されます。

・品名（商品名）

何の商品が含まれているのか。例えば「精密部品A」「衣料品B」など。

・数量

それぞれの商品が何個梱包されているか。

・重量（総重量・正味重量）

パッケージごとの重さ。輸送費の計算にも影響します。

・荷姿（にすがた）

「段ボール箱」「木箱」「パレット積み」など、荷物の形状や梱包状態を示します。

・パッケージ番号や通し番号

複数の梱包がある場合、それぞれを識別するための番号。

・保険金額

輸送中の事故などに備えた保険をかけている場合、その金額も記載されることがあります。

輸送会社や倉庫担当者が荷物の中身を事前に把握できるため、積み下ろし時の注意点が分かりやすくなります。また、重量や荷姿の情報が正確に伝わることで、過積載の防止や適切な積載計画にもつながります。

通関手続きの際に、貨物の実物と書類の内容が一致しているかをチェックするために使われます。正確な記載があることで、不審点が少なくなり、通関手続きがスムーズに進む可能性が高くなります。

受け取る側（輸入者や倉庫側）は、パッキングリストを見てどの箱に何が入っているかをすぐに確認できます。納品時の検品や在庫登録が効率的かつ正確に行えるようになります。

商品の一部紛失や破損、数量違いなどがあった場合、輸出時点での記録として参照されます。保険請求時の根拠資料としても使われることがあります（特に保険金額の記載がある場合）

輸出者、輸入者、フォワーダー、通関業者、倉庫業者など、多くの関係者が同じ情報を共有できるため、やり取りのミスや伝達漏れを防ぐ効果があります。

インボイス（Invoice）と混同されやすいですが、役割は異なります。

インボイスとパッキングリストは、どちらも輸出入に欠かせない重要な書類ですが、それぞれ役割が異なります。

まず、インボイス（Invoice）は、取引金額や商品価格、支払条件などが記載された「請求書」のような役割を持つ書類です。輸出する側が輸入者に対して「この商品をこの条件で販売します」と証明するもので、関税の計算や税関への申告にも使用されます。

一方、パッキングリスト（Packing List）は、貨物の中身を詳しく記載した「明細書」です。どんな商品が、何個、どのような梱包で、どのくらいの重さで梱包されているかを記録しており、主に通関や輸送時の内容確認に使われます。パッキングリストには通常、商品の価格は記載されません。

簡単に言えば、インボイスは「お金」に関する書類、パッキングリストは「中身」に関する書類というイメージを持っておくと、役割の違いがわかりやすくなります。

パッキングリストは、貨物の中身を「見える化」するための重要な書類です。

製品の品質や数量をきちんと伝えることは、企業の信頼につながるだけでなく、輸出入のプロセス全体をスムーズにします。

物流に関わる皆さんにとって、たとえ書類作成を担当していなくても、その役割や内容を理解しておくことが、より安心で確実な輸送に貢献する第一歩となるでしょう。