ルート配送とは？10分でわかりやすく解説

2025.05.30

「ルート配送」という言葉を耳にしたことはありますか？
物流や製造の現場ではよく使われる言葉ですが、実際にどのような配送方法なのか、正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。

この記事では、「ルート配送」の仕組みやメリット、他の配送方法との違いまでをわかりやすく解説します。

ルート配送の配送方法とは？

ルート配送とは、あらかじめ決められた順番・ルートに従って、複数の納品先を定期的に回る配送方法です。
曜日や時間、配送先がある程度固定されているのが特徴で、食品、日用品、医薬品など、継続的な供給が必要な商品を扱う業界でよく使われています。

たとえば、「毎週月・水・金に、A店→B店→C店の順に商品を届ける」といった具合に、配送するルートと時間帯があらかじめ計画されています。
そのため、ドライバーは慣れた道を通り、決まった手順で配送を行うことができるのです。

ルート配送と似た言葉に「スポット配送」がありますが、この2つは配送の目的や運用方法において明確な違いがあります。

ルート配送は、先に述べた通り、配送先や道順、配送時間などがあらかじめ決められており、決まったスケジュールで定期的に商品を届ける方法です。安定した取引や継続的な納品が求められる業種に適しており、食品や日用品、医薬品などの業界で多く導入されています。

一方、スポット配送は、その都度必要に応じて手配される単発の配送です。配送先やルートはその時々によって変わり、時間指定や緊急対応などにも柔軟に対応できるのが特徴です。イベント機材の搬入や建材の納品、繁忙期の臨時便など、イレギュラーな配送ニーズに向いています。

つまり、ルート配送は安定性と効率を重視した配送スタイルであり、スポット配送は柔軟性と即時対応を求められる場面で活躍する配送スタイルです。目的や業種によって、どちらを選ぶべきかが変わってくるのです。

ルート配送は、ただの「定期便」ではありません。企業にとってさまざまなメリットがあります。

配送ルートと時間が決まっているため、配車や積み込み作業の段取りが安定しやすくなります。また、ドライバーも慣れたルートを走行するため、作業時間の短縮やヒューマンエラーの減少にもつながります。

同じ時間帯に同じ担当者が訪問することで、顧客との関係が強まりやすくなります。
商品を「運ぶ」だけでなく、「つなぐ」役割を果たす点も見逃せません。

ルート配送では、定期的な荷物量の予測がしやすいため、積載効率を上げることができ、無駄な空走も減らせます。これは、燃料費や人件費など、コストの見通しを立てやすくする要因にもなります。

ルート配送にはもちろん課題もあります。導入前に知っておきたいポイントは以下のとおりです。

ルートの設計を誤ると、配送効率が下がったり、時間に追われる原因になります。
配達先の所在地、納品時間の指定、道路状況などを考慮した綿密な計画が必要です。

ルートが固定されているため、急な納品先追加や時間変更などには弱い面があります。
イレギュラー対応が多い業態には不向きな場合もあります。

物流業界では慢性的な人手不足が課題であるため、人材確保や教育体制の整備も併せて検討が必要です。

近年は、配送ルートをAIや地図データで自動最適化するサービスも登場しています。
また、物流DXの波に乗って、ルート配送も「定期的・固定的」なだけでなく、「データに基づいた改善可能なシステム」として進化しつつあります。

たとえば、DXを使用した最適化を行うことで、以下のような改善策が考えられます。

・GPSを活用したリアルタイム配送状況の把握
・配送順の最適化による燃料削減
・電動配送車との組み合わせによる環境配慮

ルート配送は今、アナログからスマートへと変わりつつあるのです。

ルート配送は、一見すると単純な「定期便」に見えるかもしれませんが、その裏には安定した業務運営・効率的な配送・取引先との信頼関係といった多くのメリットがあります。

一方で、柔軟性の低さや設計の難しさといった課題もあるため、導入の際は十分な検討が欠かせません。

継続して安定的な配送が必要な際には、ぜひルート配送の導入を検討してみてください。