一期とは?10分で解説

2025.09.08

物流や製造現場では、納品や在庫管理のスケジュールを細かく管理するために、1か月をさらに小さな期間に区切って運用するケースがあります。
その代表例が「一期・二期・三期」といった期間区分です。これは、保管や出荷の計画を立てるうえでの“時間の単位”のひとつであり、契約や社内ルールによって使い方が異なる場合があります。
本記事では、このうち「一期」の意味と役割、実務での活用方法、注意点を解説します。

📌 ポイントはここ
  • 「一期」は月初から10日間を指す期間区分で、在庫や納品管理に活用される
  • 契約条件や社内ルールによって、期間設定や適用範囲が異なる
  • 昨今はECや短納期化の影響で、期間区分の活用方法が多様化している

一期の基本的な意味

物流の現場では、在庫の保管や納品スケジュールを「いつまでに」「どのタイミングで」と明確に区切ることが求められます。
そこで役立つのが、1か月をさらに小さな期間に分けて管理する仕組みです。

たとえば「この商品は今月の第一期に納品してください」と指定すれば、「月初の10日までに対応すればいい」と誰もが同じ基準で動けます。
また、保管料の計算や契約条件の締め日にも使われるため、「一期」とは現場のスケジュール・費用計算・契約管理をそろえるための共通のルールと言えます。

「一期」は、1か月を3つの期間に分けたときの最初の区間を指します。
多くの現場では次のように区切ります。

期間区分
  • 第一期(一期):1日~10日
  • 第二期:11日~20日
  • 第三期:21日~末日

例えば、保管料を「1期ごとに発生」と定めることで、在庫がどれだけ長く保管されたかを明確にできます。

なぜ期間を分けるのか

1か月を丸ごと1単位にしてしまうと、在庫が月初に入っても月末に入っても同じ扱いになり、実際の保管日数に差が出ても料金やスケジュール調整が不公平になる恐れがあります。

10日ごとに区切ることで、より正確な期間管理が可能になり、請求や計画の透明性も高まります。

一期が使われる具体的な場面

「一期」は単なる期間の区切りではなく、現場の業務に直結する実務的な意味を持っています。
倉庫での保管料計算や、メーカーから小売店への納品スケジュール、さらには契約上の基準日など、さまざまな場面で使われています。
ここからは、実際に「一期」がどのように役立っているのか、代表的な活用シーンを見ていきましょう。

1. 保管料の計算

倉庫会社では、入庫した貨物がどれだけの期間保管されたかを算出する際に、この「一期区分」を利用します。区分ごとに料金を設定することで、保管日数に応じた公平な請求が可能になります。

たとえば、4月5日に入庫して4月15日に出庫した場合は、一期(1日~10日)と二期(11日~20日)の両方にまたがるため、それぞれの期間分の保管料が発生します。
逆に、4月2日に入庫して4月8日に出庫した場合は、一期の料金のみで済むため、利用者にとっても「どのタイミングで出庫すればコストを抑えられるか」を判断する材料になります。

この仕組みによって倉庫側は管理を簡潔にでき、利用者側も費用計算を予測しやすくなります。
特に在庫を多く抱えるメーカーや商社にとっては、保管コストを抑えるための重要な指標となるのです。

2. 納品スケジュール管理

「一期・二期」といった期間区分は、もともと物流業界でよく使われてきた言葉です。
倉庫会社や運送会社では、入出庫のスケジュールや納品時期を明確にするために「一期納品(=月初10日まで)」「二期納品(=11日~20日まで)」といった形で指定することがあります。
この表現を使うことで、担当者間の基準がそろい、無駄な確認作業を減らすことができます。

一方で、メーカーや小売業界では日常的に社内用語として使われることは少ないものの、契約書や発注書などのやり取りの中で目にする機会があります。
たとえば「第一期納品分を10日までに納めること」といった文言が契約条件に記載されるケースです。
そのため、メーカーの出荷担当者や小売側の仕入れ担当者も、この用語を理解しておくことでスムーズなやり取りが可能になります。

近年はEC需要の拡大や短納期化の影響で、週単位や5日単位で区切るケースも増えていますが、「一期・二期・三期」という月内の3分割ルールは、物流現場を中心に今なお根強く使われている管理方法です。

3. 契約条件の基準日

一部の契約では、「一期終了日までに入庫したものはその期に含める」といった基準が設けられています。これは、その期の締め切り日までに荷物が倉庫に入った場合は「今期分」として扱い、翌日以降は次の期に回されるというルールです。単なる日付の区切りではなく、契約条件を守ったかどうかを判断する重要な基準となります。

たとえば、契約書に「一期納品分は10日まで」と書かれていれば、10日までに納品した分は「一期扱い」となります。しかし11日に納品すると自動的に「二期扱い」となり、契約違反や追加費用の発生につながることがあります。

また倉庫との契約では、「一期をまたいだ場合は新しい期から保管料を加算する」といったルールがあることも少なくありません。
そのため、納品日や出庫日が1日ずれるだけで、コストや契約履行に直結する場合もあります。

このように明確な基準を定めておくことで、取引先との間で「納期を守ったかどうか」を判断しやすくなり、結果としてトラブル防止につながります。

昨今の物流業界での活用傾向

近年、EC需要の増加や短納期化により、在庫回転スピードが加速しています。


この影響で、従来の「月3区分」に加えて、さらに細かい期間設定を行う企業も登場しました。
例えば「5日ごと」「週単位」での管理などです。
一方で、大口取引や長期保管が多い業種では、従来の一期区分が依然として有効であり、特に食品や日用品のように入荷と出荷が短いサイクルで回る商品でよく使われています。

一期を扱うときの注意点

「一期」という区分は、在庫の保管料や納品スケジュールの基準として便利に使える一方で、扱い方を誤ると余計なコストや契約トラブルにつながる恐れがあります。
ここでは、実務で一期を扱う際に意識しておきたいポイントを整理します。

契約条件の確認

「一期=1日~10日」という区分は多くの現場で使われていますが、すべての会社で同じとは限りません。
ある会社では「5日ごとに区切る」、別の会社では「前半・後半の2区分」といったように独自ルールを設けている場合もあります。
そのため、「自分の会社ではどう定めているか」「取引先の契約ではどうなっているか」を契約書や運用マニュアルで必ず確認しておくことが重要です。

期間をまたぐと費用やスケジュールが変わる可能性

倉庫保管料や納品スケジュールは、区分をまたぐことで大きく変わることがあります。
たとえば、10日と11日ではたった1日の違いですが、一期から二期へ切り替わるため、追加料金が発生したり納品が遅延扱いになる可能性があります。
こうしたリスクを避けるには、余裕をもった日程を組み、突発的なトラブル(天候不良・輸送遅延など)が起きても契約違反にならないよう調整することが大切です。

社内外の共通認識の確立

「一期」という言葉の理解が人によって異なると、思わぬミスにつながります。
たとえば、営業担当は「一期=1~10日」と思っていても、倉庫側の担当者は「一期=1~15日」と認識していた場合、納品スケジュールが食い違いトラブルになりかねません。
そのため、用語や期間区分については社内の部門間で共通理解を持つだけでなく、取引先とも事前に確認し、認識を合わせておく必要があります。

まとめ

「一期」は、1か月を3つに分けたときの最初の10日間を指す期間区分です。
倉庫保管料の計算や納品スケジュールの基準として使われ、契約条件や運用ルールによって扱いが変わります。
昨今はECや短納期化の影響で使い方が多様化していますが、基本は在庫や納品の管理を正確かつ効率的に行うための仕組みです。
運用時は必ず契約内容を確認し、関係者間での共通理解を大切にしましょう。

一期に関するよくある質問とその答え

Q1. 一期は必ず1日~10日ですか?
A. 多くの会社では1日~10日を一期としていますが、業種や契約によって異なる場合があります。必ず自社や取引先のルールを確認してください。

Q2. 一期をまたぐと料金が上がりますか?
A. 保管料や契約条件によっては、期間をまたぐことで追加料金が発生する場合があります。出庫日や納品日を調整してコストを抑える工夫も可能です。

Q3. 一期区分はどの業種でも使われますか?
A. 一期区分は物流会社や倉庫業界で特によく使われるルールです。製造業や小売業では社内で日常的に使われることは少ないものの、契約条件や発注書、納品スケジュールのやり取りで登場することがあります。特に食品や日用品、部品のように入出庫が頻繁な業種では目にする機会が多いです。

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