在庫回転率とは?10分で解説

2025.10.10

企業の物流や生産の現場では、在庫を「どのくらい効率的に動かしているか」を数値で把握することが大切です。その代表的な指標のひとつが「在庫回転率」です。
在庫回転率は、在庫がどれくらいのスピードで売れたり出荷されたりしているかを示すもので、物流や製造の現場での効率性を測る重要な指標となっています。

この記事では、在庫回転率の基本的な意味から、計算方法、現場での活用例、そして注意すべきポイントまでを解説します。

📌 ポイントはここ
  • 在庫回転率は「在庫がどのくらいの速さで動いているか」を表す指標
  • 計算式はシンプルだが、実務では稼働日数を考慮することが多い
  • 物流現場やメーカーでの在庫管理や効率化に直結する重要な数値

在庫回転率とは?

在庫回転率とは、一定期間に在庫がどの程度出荷・販売されているかを示す数値です。
簡単に言えば、「在庫がどれだけスピーディーに動いているか」を測る指標になります。
例えば、ある商品が1か月で何回出入りしているかがわかれば、在庫の過不足を判断しやすくなります。

在庫が頻繁に動いている場合は回転率が高く、在庫が長期間倉庫に残っている場合は回転率が低いと評価されます。
この数値を知ることで、在庫を適正に保ち、無駄なコストを抑えることができます。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率は、売上や出荷量と在庫のバランスを基に計算されます。一般的には以下のような考え方です。

▶ 計算の流れ

  1. 月間の販売額や出荷額を、月末時点の在庫金額で割る
  2. さらに、一年あたりの稼働日数を考慮し、月ごとの実働日数に置き換えて調整する

以下、数字を取り入れて具体的に解説します。

在庫回転率は、月間の販売額や出荷額を月末時点の在庫金額で割り、さらに一年あたりの稼働日数を考慮して月ごとの実働日数に置き換えて調整することで求められます。

▶ 実際の例

販売額:1,200万円
月末在庫:800万円
年間稼働日数:240日
当月稼働日数:20日

計算式:1,200 ÷ 800 ×(240 ÷ 20)= 18

この計算を行うと、その月の在庫が年間換算でおよそ18回転していることがわかり、在庫の動きの速さを具体的に把握できます。

物流会社では、この計算を用いて商品ごとや倉庫ごとに回転率を分析しています。

在庫回転率が高い場合と低い場合の状況は?

在庫回転率が高い場合と低い場合では、在庫がどのような状況であると読み取れるのでしょうか。
双方の状況について詳しく解説します。

在庫回転率が高い場合

在庫が効率的に動いている状態です。

倉庫に余分な在庫が残らないため、保管コストを削減できます。
さらに、資金が在庫に滞留せず、キャッシュフローの改善にもつながります。回転率が高い分、商品の鮮度や品質が保たれる点も大きなメリットです。

ただし、あまりに高すぎると在庫切れ(欠品)のリスクが高まり、急な需要に応えられない可能性があります。
そのため、販売計画や需要予測と組み合わせて適正な回転率を保つことが重要です。

在庫回転率が低い場合

在庫が動かず、長く滞留している状態です。

この場合、保管料や劣化リスクが増え、キャッシュフローにも悪影響を及ぼします。
さらに、倉庫スペースが無駄に占有されることで、新しい商品の入庫や効率的な保管レイアウトの妨げにもなります。
販売機会を逃しやすく、最終的には値引き販売や廃棄といった処分を迫られることも少なくありません。

そのため、原因を分析しながら、どのように在庫回転率を改善するかの工夫を行う必要があります。
代表的な在庫回転率向上のポイントは、以下の通りです。

▶ 在庫回転率を改善するポイント

  1. 需要予測を精度高く行い、在庫過多を防ぐ
  2. 売れ筋と不良在庫を定期的に分析し、入れ替えを行う
  3. サプライチェーン全体で在庫情報を共有し、調達から配送までを最適化する

これらを実践することで、在庫を持ちすぎるリスクを減らし、資金効率も改善できます。

在庫回転率と物流現場での活用

在庫回転率は、倉庫運営の効率化に直結する指標です。
EC業界では商品の回転状況を把握することで、仕入れの優先順位やピッキング作業の強化ポイントを判断できます。
メーカーにおいても、原材料や部品の回転率を確認することで、生産計画の調整や仕入れ先との交渉に役立ち、余剰在庫を持たない体制づくりにつながります。

近年は、こうした業務判断を支える仕組みとしてシステムを活用しています。

▶ システム活用の例

  • WMSやERPと連動し、在庫回転率を自動可視化して現場でリアルタイム把握
  • 共同配送で複数荷主の回転率を比較し、出荷スケジュール最適化で配送コストを削減
  • 回転率の低い品目を早期に抽出し、販促・値引きなどの打ち手に迅速反映

システムを活用することで、在庫回転率を常に適正に保ち、状況に応じた対策をすぐに実行できる体制をつくることができます。

まとめ

在庫回転率は、物流やメーカーにおける在庫管理の基礎となる重要な指標です。
在庫の動きを数値で把握することで、無駄なコストを減らし、効率的なオペレーションを実現できます。
さらに、資金繰りや調達計画の改善にも直結するため、経営面から見ても欠かせない数値です。

近年はシステム化が進み、現場担当者でもリアルタイムに確認できる環境が整ってきました。ぜひ在庫回転率を意識して把握し、効率的な倉庫運営を行えるよう日々工夫していきましょう。

在庫回転率に関するよくある質問とその答え

Q1. 在庫回転率は高ければ高いほど良いのですか?
A. 必ずしもそうではありません。高すぎると在庫切れによる販売機会の損失につながります。
適正な水準を保つことが重要です。

Q2. 在庫回転率はどのくらいの頻度で確認すべきですか?
A. 一般的には月次や四半期単位でチェックされます。
ただし、ECや食品業界のように回転の速い分野では、週単位や日次で確認することもあります。

Q3. 在庫回転率が低いと判断された場合、最初にすべきことは?
A. まずは売れ残り在庫の原因を特定することです。
需要予測の精度不足なのか、仕入れ過多なのかを分析し、改善策を講じることが必要です。

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