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物流現場では、フォークリフトの操作や荷役作業、トラックの積み下ろしなど、日常的に“ヒヤリ”とする瞬間が潜んでいます。こうした事故やトラブルを未然に防ぐために行われているのが「KY活動(危険予知活動)」です。安全教育の一環として多くの倉庫や運送会社で導入されており、作業者一人ひとりの意識向上にもつながります。
- KY活動とは「危険を予知して未然に防ぐ」ための取り組み
- 現場ごとのリスクを共有し、安全行動を習慣化するのが目的
- 物流業界ではヒューマンエラー対策の中心的手法として定着
KY活動とは何か

KY活動とは「危険予知活動(Kiken Yochi Katsudo)」の略称で、作業前に潜在的な危険を洗い出し、安全対策を確認する取り組みです。建設業や製造業で始まりましたが、現在では物流現場でも欠かせない安全管理手法として広がっています。
単に「危険に注意しよう」と呼びかけるのではなく、現場の全員が具体的に「どんな危険があるか」を話し合い、共有する点が特徴です。危険を「予知」し、「行動に移す」ことが重視されます。
KY活動の目的と効果
KY活動の最大の目的は、事故や災害を未然に防ぐことです。人は慣れや油断から、同じ作業でもリスクを見落としがちになります。作業前に改めて危険を意識することで、注意力が高まり、ヒューマンエラーの減少につながります。
また、グループで話し合うことで安全意識の共有とコミュニケーションの活性化が促進されます。これにより、現場の一体感が生まれ、結果的に作業効率の向上や離職防止にも寄与します。
KY活動の基本手順

KY活動はおおむね以下の4ステップで進めます。
① 状況を把握する
その日の作業内容や環境を全員で確認します。荷物の種類、天候、作業場所の状況などを具体的に整理します。
② 危険を洗い出す
想定される危険を挙げていきます。例:フォークリフトとの接触、滑りやすい床、高所からの落下などをリスト化します。
③ 対策を考える
危険ごとに防止策を話し合い、具体的な行動に落とし込みます。例:安全靴の確認、誘導員の配置、通路の清掃など。
④ 実行・確認する
決めた対策を実践し、作業後に効果を振り返ります。次回に向けて改善点を記録し、継続的に精度を高めます。
KY活動の実施タイミング
物流現場では、以下のようなタイミングでKY活動を行うケースが一般的です。
- 朝礼や始業前ミーティングの時間
- 作業内容が変更になったとき
- 新人や派遣スタッフが加わったとき
- 天候や環境が急に変化したとき
特に始業前の短時間ミーティングは効果的です。5分程度でも意識をそろえることで、事故防止につながります。
物流業界におけるKY活動の重要性
物流現場は常に“動いている”環境です。大型トラックの出入り、フォークリフトの走行、荷役機械の稼働など、さまざまな要素が交錯します。そのため一瞬の不注意が大きな事故につながることもあります。
KY活動を習慣化することで、「安全第一」の文化を根づかせることができます。とくに多拠点を持つ企業では、各拠点でのKY活動の報告を共有することで、他現場のヒヤリハット情報も活用できるようになります。
最近では、タブレットやアプリを用いたデジタルKY活動も広がっており、写真や動画を使って危険箇所を見える化する取り組みも増えています。
KY活動を定着させるポイント
KY活動を形式的なものにしないためには、以下の工夫が有効です。
- 現場リーダーが率先して発言する
- 発表形式や図解など、参加しやすい方法を取り入れる
- 良い事例を社内で共有し、モチベーションを高める
- 毎回の記録を残し、継続的に改善する
活動を「義務」ではなく「自分たちを守るための習慣」として位置づけることが定着への近道です。
まとめ
KY活動は、現場の安全を守る最も基本的で効果的な取り組みです。危険を予知し、行動に反映させることで、事故ゼロを現実に近づけます。物流業界における労働災害防止の鍵は、一人ひとりの意識変革にあります。今日からできるKY活動を、チーム全員で実践していきましょう。
KY活動に関するよくある質問とその答え
Q1. KY活動とヒヤリハット活動は違うの?
A. KY活動は「危険を予知して防ぐ」取り組み、ヒヤリハットは「実際に起きた“ヒヤリ”を記録する」活動です。目的は異なりますが、両者を組み合わせることで安全管理がより効果的になります。
Q2. 毎日行う必要がありますか?
A. 理想は毎日の始業前に短時間で実施することです。長時間である必要はなく、1〜5分でも効果があります。継続することが最も大切です。
Q3. 小規模の現場でもKY活動は必要?
A. はい。人が少ない現場ほどリスクの発見が遅れやすいため、KY活動の効果が大きくなります。全員で危険を確認し合う文化をつくることが重要です。




