環境への配慮が求められるいま、物流業界でも“エコ経営”が大きなテーマになっています。そこで注目されているのが「グリーン経営認証」です。
トラックやバス、タクシー事業者などが環境負荷を減らす取り組みを進めるための制度で、環境にやさしい運行管理や省エネ活動を評価・認証します。
企業価値の向上や顧客からの信頼にもつながることから、多くの運送会社が取得を目指しています。

グリーン経営認証の概要

グリーン経営認証とは、国土交通省と環境省の支援のもと、交通エコロジー・モビリティ財団（通称：エコモ財団）が運営する制度です。
正式名称は「環境に優しい事業運営（グリーン経営）を実践する運輸事業者を認証する制度」。トラック運送、バス、タクシー、自動車整備業などが対象となります。

この制度の目的は、事業者が自主的に環境改善を行い、燃料消費量やCO₂排出量を削減していくこと。環境負荷の低減だけでなく、安全運転や経費削減にもつながる点が特徴です。

グリーン経営認証の仕組み

グリーン経営認証は、「グリーン経営推進マニュアル」に基づいて評価されます。
マニュアルには、環境への取り組みを進めるための基準や手順が明確に示されています。

主な評価項目

1．環境保全のための仕組みづくり

経営層の方針や目標を明確にし、環境管理の体制を整えることが求められます。

2．車両の燃費改善・点検整備

エコドライブの推進、燃費記録の管理、適切なタイヤ空気圧の維持などが評価対象です。

3．廃棄物・リサイクル対応

廃油や廃タイヤの適正処理、資源の再利用に関する取り組みを行います。

4．騒音・排出ガス対策

低公害車の導入やアイドリングストップの徹底なども評価ポイントです。

グリーン経営認証取得までの流れ

グリーン経営認証の取得は次のようなステップで進みます。
認証の有効期間は2年間で、継続するには更新審査が必要です。

1．マニュアルに沿った自己診断

まずは社内で現状を確認し、基準を満たしていない項目を洗い出します。

2．改善活動の実施

燃費管理表の作成やドライバー教育など、実際の改善策を実行します。

3．エコモ財団への申請

申請書や証拠書類を提出し、書類審査・現地審査を受けます。

4．認証の取得・登録

審査に合格すると、グリーン経営認証登録証とロゴマークが交付されます。

グリーン経営認証を取得するメリット

主な評価項目

• 燃費改善とコスト削減

  エコドライブや車両整備の徹底により、燃料費を削減できます。 ドライバーの運転意識も変わり、結果として安全運転の定着にもつながります。

• 取引先からの信頼向上

  環境に配慮した事業者として評価されることで、荷主や発注企業からの信頼を得やすくなります。 入札時に加点対象となるケースもあり、営業面での強みになることもあります。

• 社員教育と意識改革

  グリーン経営の取り組みは、社員全体の意識を統一する良い機会になります。 新人教育や定期研修のテーマとして活用している企業も少なくありません。

実際の活用事例

近年は、グリーン経営認証を取得する中小運送会社が増えています。
特に、荷主企業が環境配慮型物流を重視する傾向が強まり、認証の有無が取引条件になることもあります。

また、環境対応トラック（ハイブリッド車や電動車）の導入支援を受けやすくなるなど、自治体や行政との連携も進んでいます。
単なる「環境対策」ではなく、経営戦略の一部として活用する企業が増加中です。

まとめ

グリーン経営認証は、環境配慮型の経営を進める運輸事業者にとって重要な制度です。
燃費改善や安全運転の推進、社内体制の整備など、日常業務の質を高める効果も期待できます。
環境対応が競争力につながる時代。自社の取組状況を見直すきっかけとして、取得を検討する価値は大きいでしょう。

グリーン経営認証に関するよくある質問とその答え

Q1. グリーン経営認証の費用はどのくらいかかりますか？
認証申請には審査料（数万円〜10万円程度）が必要です。会社規模や事業所数によって変わります。更新時も同様に費用がかかります。

Q2. どのくらいの期間で取得できますか？
準備から認証まで、平均して3〜6か月程度が目安です。社内体制の整備に時間を要する場合は1年ほどかかることもあります。

Q3. 認証を取らないと不利になりますか？
法律で義務づけられてはいませんが、荷主や自治体が環境配慮を重視する傾向が強まっており、今後は取引上の評価基準になる可能性があります。