フローティング在庫とは?10分でわかりやすく解説

2026.01.19

物流の現場では「在庫をどこに、どれだけ置くか」が日々の判断を左右します。その考え方の一つがフローティング在庫です。倉庫に固定せず、輸送中の在庫を前提に運用するため、保管の常識とは少し異なります。仕組みを理解すると、在庫圧縮やリードタイム短縮のヒントが見えてきます。

📌 ポイントはここ
  • フローティング在庫は輸送中の状態を在庫として活用する考え方
  • 保管場所に縛られず、リードタイムや需要変動への対応が前提条件
  • 多拠点配送や定期輸送のある現場で評価されやすい

フローティング在庫とは何か

フローティング在庫とは、トラックや船舶などで移動している最中の商品を在庫として扱う運用を指します。倉庫に入庫して初めて在庫計上するのではなく、輸送中も販売・供給計画に組み込む点が特徴です。
在庫を「置くもの」から「動かすもの」と捉える発想に近く、拠点間の移動が多い企業ほど相性が良くなります。

フローティング在庫が生まれた背景

従来の在庫管理は、保管効率や棚卸精度を重視してきました。
一方で、納期短縮や需要の細かな変動への対応が求められるようになり、倉庫で待たせる時間そのものがロスと見なされる場面が増えています。
定期輸送や幹線輸送が安定している場合、移動時間を計画に織り込むことで、在庫水準を下げつつ供給力を保てるようになりました。

フローティング在庫の仕組み

フローティング在庫は、単に「輸送中の商品を在庫と呼ぶ」だけの考え方ではありません。
どの時点で在庫として捉え、どの情報を基に管理するかによって、運用の難易度や効果は大きく変わります。ここでは、現場で押さえておきたい基本的な仕組みを、要素ごとに整理していきます。

輸送中でも、条件を満たせば在庫として把握する

フローティング在庫では、すでに出荷され、倉庫から物理的に商品が出ている状態であっても管理は終わりません。
出荷元の倉庫を離れたあと、次に在庫として使われる拠点へ向かって輸送されている間も、その数量を在庫として扱います

このとき重要になるのが、行き先と到着予定日が明確になっていることです。

フロー図(在庫の考え方)
出荷元倉庫
(保管在庫)
輸送中
(フローティング在庫)
到着先拠点
(次に在庫として使う場所)
出庫・納品

ポイント: 出荷して倉庫から物が出ていても、行き先到着予定日が明確なら 輸送中の数量を在庫として計画に含めます。 到着時期が読めない輸送や行き先が未確定のケースは、原則として対象にしません。


どの拠点に、いつ到着するかが把握できていれば、今は倉庫に存在しなくても、将来使える在庫として補充計画や在庫判断に組み込めます。
一方で、到着時期が読めない輸送や行き先が確定していないケースは、フローティング在庫には含めません。

在庫計上のタイミングが変わる

会計上の在庫計上とは別に、物流管理や補充判断の観点で、輸送中の数量を在庫として扱うケースがあります。販売計画や補充判断は、倉庫在庫と輸送中在庫を合算して行います。
会計処理や管理ルールは、社内で明確に決めておく必要があります。

フローティング在庫のメリットと注意点

🚚 フローティング在庫のメリット
  • 在庫圧縮とリードタイム短縮:

    倉庫に滞留する数量を減らせるため、保管コストや過剰在庫のリスクを抑えやすくなります。 また、輸送を前提にした補充が可能になり、拠点間の供給スピードも安定します。

⚙️ フローティング在庫の注意点
  • 輸送遅延の影響を受けやすい:

    移動中を在庫とみなす以上、遅延や事故がそのまま欠品リスクにつながります。 天候や交通状況の影響を受けやすい路線では、余裕を持った計画が欠かせません。

どんな現場で活用されているか

フローティング在庫は、全国に配送拠点があるメーカーや卸で多く見られます。幹線輸送が日々走っている環境では、輸送中在庫を前提にした補充が組みやすいためです。
近年は、需要予測や輸送管理システムの精度向上により、より細かなコントロールも可能になっています。

まとめ

フローティング在庫は、在庫を「止めない」発想から生まれた運用です。倉庫在庫だけに目を向けるのではなく、輸送中の動きまで含めて管理することで、在庫水準と供給力のバランスを取りやすくなります。
一方で、輸送品質や情報の見える化が前提条件になります。自社の物流特性と照らし合わせながら、導入の可否を判断する視点が求められます。

フローティング在庫に関するよくある質問とその答え

Q1. フローティング在庫はすべての商材に向いていますか?
A. 輸送リードタイムが安定し、回転が早い商材と相性が良い傾向があります。高頻度で納期変更が起きる場合は慎重な設計が必要です。

Q2. 倉庫在庫とどうやって使い分ければよいですか?
A. 安全在庫は倉庫で確保し、需要変動への対応分を輸送中在庫で補う考え方が一般的です。役割を分けると管理しやすくなります。

Q3. 在庫管理システムがないと運用は難しいですか?
A. 手作業でも不可能ではありませんが、数量や到着予定日の把握が煩雑になります。システム化した方が精度と負荷の両面で有利です。

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