物流現場取材シリーズ⑤
パインツリー様
「挨拶」から始まる
人材教育の重要性と企業の存在価値

左からパインツリーの西川部長、弊社の川村

1975年創業の株式会社パインツリー(以下、パインツリー)は、大阪に拠点を構え、スポーツメーカーの商品輸送業務を中心に、倉庫の提案をはじめとした物流の総合的なソリューションを提供しています。今回、横浜拠点を任されている営業部長の西川氏にご協力を頂き、株式会社ロジテックの代表取締役である川村がモデレーターとなり、物流業界の人材育成について対談を行いました。その内容をここでご紹介します。

一から開拓してきた関東拠点

川村 パインツリー様の従業員数を教えていただけますか。

西川 総数は社長を含めて9名となります。当社ではアルバイトの雇用は行っておらず、すべて正社員として活躍しています。大半が4t車を使用して主にスポーツ用品の運送を手掛けておりますが、2t車を使って大阪市内のメール便なども行っています。

川村 御社の成り立ちを教えてください。

西川 弊社は、大阪をメイン拠点にしており、主要取引先である株式会社三鷹倉庫さんとの繋がりが深い会社です。実は、2022年の終わり頃に三鷹倉庫の社長から関東での新規出店の提案を受け、2023年2月から横浜に拠点を設けることになりました。その際、トラックが一切なく、私1人でのスタートでした。

川村 関東拠点における西川さんのミッションは何でしょうか。

西川 主に三鷹倉庫さんの物流をサポートすること。それから、弊社の業務拡大も目指しています。関東に進出した当初は協力会社がゼロで車両も不足していました。そこから地道に営業活動を行い、少しずつ成果が出ています。時折ですが、私もハイエースに乗ってスポーツ用品などの荷物を運んでいます。

営業の基本はドライバーファースト

川村 営業活動において、具体的な取り組みはどのようなものですか。

西川 私たちの営業は、社長と私、合わせて2人です。社長は既存の関係を活かして仕事を獲得していますが、私はその手法を参考にしつつ、新しい関係を築くために様々な企業やメーカーと名刺交換を通じて新たな顧客の開拓を行っています。

川村 営業活動で心がけていることは何ですか。

西川 適切な運賃を明確に提示することを最優先にしています。例として、「現在7万円で運んでいるルートが、ちゃんと電卓叩いたら5万5000円ぐらいで行けるんですよ」と提案すると、クライアントから好評価を頂けます。物流業界は古くからの取引方法が根付いており、一部不透明な側面もありますが、我々は明確かつ適正な価格を提案する方針です。ちなみに、安さを売りにしているわけではありません。高い金額でも納得してもらえるよう努めています

川村 確かに、高い金額でもきちんと提示する姿勢は大切なことですよね。

西川 はい。適正な運賃を受け取ることで、ドライバーの給与向上にも繋がります。価格交渉の席でお客様からは「強気ですね」と言われることもありますが、その代わりに全体の品質管理を約束します。「お客様のところに届けるまで全部をお任せください」と。そういう姿勢は多くのお客様から評価され、継続的に仕事を頂いています。

川村 業界特有の下請け構造では、上からのサポートが不可欠です。しかし、価格の問題で下請け業者に負担がかかる場合はよくあります。予算が固定化されてしまい、手の出しようがない状況になることもありますね。

西川 それが悪しき習慣だと思います。私自身はドライバー経験があるため、常にドライバーファーストの姿勢で物事を考えて取り組んでいます。

社員一人一人と向き合うことが人材教育の基本

川村:ドライバーファーストという話の流れから、人材の問題について考えさせられます。最近の新卒社員と接すると、彼らが新しい挑戦やプロジェクトに対して少し消極的な印象を受けることがあります。若者だけでは無いかもしれませんが、日本人全体が新しいことへの取り組みに消極的ではないでしょうか。西川さんはどう感じていますか。

西川:そうですね。ゆとり世代が入社するようになった頃に転換期があったのか、「汗水流して仕事しよう」という風潮が薄れているように感じています。

川村:そうした背景を踏まえ、企業がどのような取り組みをすべきか、人材育成についてのお考えもお聞かせください。

西川:私はよく「働き過ぎだ」って言われるんですけど、私がこの業界にいるのは、この業界そのものが好きだからです。ドライバーの仕事は免許を持っているだけでは成り立ちません。基本的な挨拶やお客様との適切な対応、これらが信頼関係を築くための一部として非常に大切です。私は、他の会社のドライバーさんがすごくいい挨拶されると、ついつい「名刺ください」と声をかけてしまいます。なぜなら、その会社と取引したいと思うからです。教育が行き届いている会社のことは信頼できますよね。他にも、タイヤのホイールがピカピカに洗ってあると、それだけでその会社への信頼感が高まります。

川村:すごく重要なご指摘だと思います。挨拶は業界を問わず、もっとも基本的かつ分かりやすいマナーですよね。しかし、多くの人は「業界知識があれば、その業界のどのポジションでも働ける」という短絡的な考えを持つことがあります。この考えには、何か道徳的要素や基本的な人としてのマナーが欠けているように感じるのですが、どう思われますか。

西川:確かに、私もそのような傾向を感じています。例えば、弊社のドライバーが公共の場でマナーを守らない場合、私は年齢や立場に関係なく、きちんと指摘します。道徳心や基本的なマナーのない人は、どんな仕事をしても真の成功は得られないと考えているからです。この原則は、時代が変わっても、社会の変化があっても、絶対に変わらないと私は信じています。

川村:その点、私もとても共感します。弊社でも、ビジネスが規模を拡大していく中で私の思いや理念を全ての社員に伝えて共有してもらうのが難しくなってきたことがあります。数百人規模の会社に成長するとその課題は顕著です。一人一人へ向き合うこと、しっかり教育することの大切さは身をもって経験してきました。

西川:人材教育において大切なことは、一人一人としっかりと対話することです。一緒に働く社員との対話を大切にし、彼らの考えや意見を尊重しながら、企業としての方針や理念を共有していくことが最も効果的な方法だと考えています。

対談で見えてきた人材教育の重要性

川村:本日の対談をつうじて改めて感じたことは、大手の企業から仕事を受注する際、下請け企業の協力体制を構築することが非常に大切だということです。なぜ「大手企業との取引」と強調したかというと、直取引をしないと利益の機会を逃す可能性があり、しいてはドライバーファーストが崇高な理念だけで終わってしまいかねません。

西川:その点、非常に同感です。今日の対談で私が特に強調したいのは「人材教育」の重要性です。その結果、社員が幸せに働ける、それこそが企業の存在価値ではないでしょうか

川村:すごく共感できます。小さな企業であっても、確かな技術やサービスを提供している、その源泉は「人」です。

西川:今の物流業界は、特に人材が活躍できる環境を急ピッチで整えることが大きな課題です。将来に向けて我々企業がどれだけの努力をしていくのか、それが重要になるでしょう。

川村:その点で言えばパインツリー様の人材教育は素晴らしいと感じます。社内での考え方や理念がしっかり根付いていて、その姿勢が外部にも評価されています。

西川:ありがとうございます。しかし一方で、我々も新しい人材を募集してはいますが、求人に対する反応は決して多くはありません。人材が集まる企業には魅力が必要です。そう考えると、自らの価格交渉力や提案力を武器に労働環境を向上させる努力を続けることが大切になります。我々も、そういった方針で精進していきたいと考えています。

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