物流現場取材シリーズ⑧
ビーズインターナショナル様
業界の壁を打ち破る協働戦略!
アパレル業界×物流業界の革新同盟の誕生か

左から佐藤様、皆田様、弊社の川村

株式会社ビーズインターナショナル様は、ストリートファッションブランドを展開し、全国に店舗を持ち、EC事業にも力を入れています。また、アパレルにとどまらず、家具やスポーツなど、多岐にわたるアプローチを手がけているのも特徴です。今回、同社のサプライチェーンマネジメント本部物流貿易管理部において、シニアマネージャー皆田様とマネージャー佐藤様のお二人にお時間を頂きました。株式会社ロジテックの代表取締役である川村がモデレーターを務める形で、業界の枠を超えた物流課題に関する貴重な対談を実施しましたので、その内容をここで紹介いたします。

(インタビュー内の敬称は省略させていただきます)

会社のブランド戦略とストリートカルチャーへのアプローチ

川村 御社の事業について、簡単にご紹介いただけますでしょうか。

皆田 弊社は、弊社が考えるストリートカルチャーをグローバルに発信し、ファンを作る事を目的としています。『XLARGE』『X-girl』『MILKFED』『SILAS』といったアパレルブランドは、ストリートから生まれ育ち、ファッションを通じてストリートカルチャーを発信しています。

川村 アパレル業界は急速に変化していますが、御社はどのように対応していますか。

皆田 弊社はストリートアパレルカンパニーからストリートカルチャーカンパニーへとシフトし、カルチャー軸におけるファンづくりを中心に行っております。アート、音楽、スポーツなどへのアプローチがその最たる例です。

川村 それは驚くほど多角的なアプローチですね。顧客体験の創出において、どのような点が重要だとお考えですか。

皆田 顧客体験の創出においては、オンラインとオフラインにおける販売チャネルの強化、そして、限定アートイベント開催や協賛、スポーツ選手のサポートやスポーツイベントへの協賛など、実店舗(オンオフ両方)のみだけではないタッチポイントを作っています。単なるブランドヒストリーのみではなく、今後どのようなカルチャーを発信出来ていけるかがポイントで、それこそが新たな価値提供に繋がると考えています。

物流と連携して顧客体験を革新する

川村 なるほど、顧客に新しい価値を提供することが鍵となるわけですね。そうしたことを踏まえて、物流が顧客体験に果たす役割もあるのではないでしょうか。

皆田 私もそう思います。弊社は、お客様視点を大切にし、お客様が喜んでくださるために何が必要かを考えています。商品を出荷したら終わりではなく、お客様へ届くまでが「サービス」です。受け取った時にどのような梱包資材だったら嬉しいか、ごみを最小限に抑制できるか、ストレスの無い受取手続きが可能かなどを追求しています。

EC需要が増えれば増える程、再配達率も比例してしまう状況にあり、一度で受け取りたくても受け取れないことでストレスを抱える方は多いと思います。配送会社目線でも再配達を減らしたいと考えていると思いますが、売主と配送会社が双方で取り組むべき、と考えています。

川村 お客様の視点に立つというのは、共感できるアプローチです。そうした中、2024年問題も見据えて、現在の物流における課題は何でしょうか。

皆田 現在の物流業界は、2024年問題と呼ばれる大きな変革期に直面していますね。現在の課題は、「問題を点で捉えていること」です。この課題に対応するためには、私たち荷主側も積極的に役割を果たす必要があります。具体的には、物流プロセス全体を最適化することが求められます。これには、物流センターの効率化やサプライチェーン全体のリードタイムの短縮が含まれます。私たちはこの取り組みを主導し、物流会社と協力しながら進めていきたいと考えています。

川村 リードタイム短縮と顧客視点にはどのような関連があるのか教えていただけますか。

皆田 「お客様へベストなタイミングで納品する=上流からコントロールできている状態」と考えています。「急ぐ・急がない」を柔軟にコントロールできる状態を意図的に作ることで、ニーズに応えるための時間管理が実現できます。僕らが考える「サービス」とは、お客様が選べる状態です。裏側では、届けるまでのプロセス全体に負荷がかからないことも重要と捉えています。むやみに急ぐことで出荷元の物流倉庫や配送会社へ預ける荷量に負荷がかかるため、荷量の平準化を図るために、目的に応じてコントロールができる状態が理想です。点で物事を考えず、サプライチェーン全体の改善が2024年問題へ向け努力すべきと考えています。

佐藤 そこで重要になることは現場の人たちとのコミュニケーションです。週1回でも2回でも現場に足を運び会話することで、そうした課題に取り組んでおります。

皆田 今までにない取り組みとして、社内向け「倉庫見学ツアー」を開催しました。商品を売る側のメンバーを含めた物流に関わる全員が倉庫の役割を理解し、物流パートナーとのコミュニケーションやコネクト向上を目的に、社内事業部や立場関係なく参加を募り、人事と共同で実現しました。

どのような場所で、クオリティで、管理体制で、どれだけの人が関わり合って「自分たちの物流拠点」が活動しているのか。何が強みなのか。お客様へ届けるまでが僕らのビジネスである事を理解するためには前後の連鎖に目を向ける必要がある、ということを再認識する(共有する)目的もありました。

サプライチェーン全体を俯瞰して何を実現すべきか。その上で、どのようにすれば自分たちのビジネスにおける物流拠点を最適化できるか。パートナーとの信頼関係を築き、目的が実現できるか。2024年問題を目前に、会社として物流現場と交流することができ、私たち物流部としてもモチベーションアップに繋がりました。

物流とアパレルの共鳴!2024年問題への挑戦と学び

皆田様

川村 アパレル会社でありながら、2024年問題に対するアプローチを具体的に実践されていらっしゃるとはとても驚きました。普段からアンテナを高くして勉強されているのでしょうか。

皆田 そうですね。社内の人間だけではなく、外部の物流業界の方々とも積極的に意見交換をしております。実は、先日開催された「EC物流フォーラム」にも参加して、川村さんの講演を拝聴しました。そこで話された内容が、私が普段考えていることと深く結びつき、とても勉強になりました。

川村 そう言っていただけると嬉しいですね。セミナーで私が伝えたかったのは、「物流を自社で担うか、専門家に委ねるか」という狭い議論に対して、「もっと大きな視野で考えなければいけませんよね」ということです。

皆田 その考え方は本当に大切だと思います。私たちも物流の改革に貢献したいと思っていますが、単に点と点を結ぶだけでは難しいですよね。私たちはアパレル会社ですが、物流会社と同じような課題を抱えています。しかし、「課題は共通」と理解するだけでは解決には至りません。ですから、川村さんのようなリーダーシップが重要だと感じています。どんなに困難でも、少しでも変えられることから始めるべきです。「2024年問題」を前にしても、アパレル業界と物流業界が一緒に大きな視野を持ち、根本的な解決策を探る必要があると考えています。

川村 まったくその通りです。物流業界は、しばしば「助けてくれ」と言われるまで動かなかったり、金銭的な関係性だけで成り立っていたりするなど、ドライな習慣が目立ちます。だからこそ、「2024年問題は物流業界だけの問題」と閉鎖的な考えに陥りがちです。皆田さんが、アパレル会社でありながら、この問題を積極的に捉えていることに、私も勇気づけられます。

佐藤 今後、私たちは固定観念に囚われることなく、俯瞰して物事を考えなければなりません。自分の部署だけに限らず会社全体を見渡して「自分の役割は何か」と考えることで、会社により良い変化を促せるはずです。この考え方は、「物流業界とアパレル業界」といった大きな枠組みにも当てはまるはずです。

【講演レポート:EC物流フォーラム】EC物流の未来を切り開く物流オペレーションの革新と必要性について川村が熱弁をふるう - ロジパレ
コロナ禍でオンライン開催されていたEC物流フォーラム(主催:ロジスティクス・パートナー)が、4年振り完全リアル

↑セミナーのレポート記事はこちら

服装でアプローチする女性ドライバー増加への取り組み

弊社の川村

川村 ここまで話をさせて頂き、皆田さんと佐藤さんの情熱には本当に感動しています。それに触発されて、私たちも新しい挑戦をしたくなりました。実は、女性ドライバーを増加させようとする国交省の取り組みに注目し、私たちの職場環境も改善したいと思っています。そこで思いついたのが、物流業界で働く人たち、とりわけ女性の人たちが着たくなるような新しいユニフォームの導入です。アパレルの視点から見て、どのように取り組めば良いか、ご意見を伺いたいです。

佐藤様

皆田 確かに、服装は職場環境を改善する上で重要な役割を果たす要素があります。例えば、過去ニューヨークに出店されている日本のラーメン屋で、某ブランドがユニフォームを手掛けたことで、店舗の印象や働く人たちの意識が劇的に変わったと聞きました。僕は当時、いち消費者としてその格好良さに感動しました。このように、ユニフォームに工夫を加えることで、仕事に対する姿勢やチームの結束力が高まると信じています。

佐藤 私たちは服装以外にも、物流を経由して新しい取り組みにもチャレンジしています。弊社の物流倉庫を運営する物流パートナーのオフィス内の休憩室に弊社で取り扱う家具を納品させていただきました。コンセプトは、「ただの休憩室」ではなく「リラックスして休憩できる空間」です。コミュニケーションの中からリクエストをいただき、新しい取り組みを実現できたことは弊社にとってもモチベーションアップに繋がり、より信頼関係を築くことができたと感じています。本来の目的である「従業員のリラックス度が高まり、仕事の生産性の向上」が期待されます。

川村 そうした事例は興味深いですね。私たちもユニフォーム導入によって、特に女性ドライバーがイキイキと働ける環境を作りたいと考えています。

皆田 服装によって職場の雰囲気を変えるには、機能性とデザインのバランスが重要です。例えば、動きやすさを考慮したデザインや、女性ドライバーが自信を持って着用できるスタイリッシュな要素を取り入れることで、全体のモチベーションが向上し、見られている喜びも得ることができると思います。物流業界においても、ユニフォームを戦略的に活用することで、働く人々の意識や職場の文化を変革できるのではないでしょうか。

川村 ユニフォームはただの作業服ではなく、働く人々の意識を変えるツールにもなり得るということですね。アパレル業界と物流業界のコラボレーションが、業界の意識変革にもつながるかもしれませんので、意義のある取り組みになりそうな気がしてきました。

佐藤 本当にそう思います。先日、物流業界の方々とお話しする機会があり、共通する課題や将来に対する想いを共有しました。そうした横のつながりからも、新しいアイデアや可能性が生まれると感じています。ただ、アパレルと物流の異なる業界が協力する際は、お互いの目的と関係性を理解し、意思疎通を図ることが重要ですね。

川村 その通りですね。物流業界内でさえ、用語の違いや閉鎖的な習慣があることを私も感じています。そのような状況を打破し、新しいユニフォームを通じて業界に新風を吹き込むことができれば、大きな一歩になるでしょう。

本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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