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2024年5月、東京ビッグサイトで開催された「運輸安全・物流DX EXPO 2024」は、最新の技術を駆使した数々のサービスが一堂に会する場となりました。物流業界の未来を切り開くための革新的なソリューションが展示され、興味深いデモンストレーションを体験できました。本レポートでは、注目のブースを取材し、その魅力的な内容を紹介します。
仙台放送が開発した健康促進アプリ
数ある展示ブースの中でも特に注目を集めたのが、目の健康状態を判定するゲームアプリ「メテオブラスター(METEOR BLASTER)」と、脳科学を駆使してドライバーを支援するスマートフォンアプリ「BTOC」を展示した仙台放送のブースです。
目の健康状態を判定するゲームアプリ「メテオブラスター」
「メテオブラスター」は、目の緑内障を早期に発見するためのゲームアプリです。本展示会では、VRで楽しめるようになっていました。
宇宙空間に表示された隕石をシューティングすることで、ユーザーの視野の健康状態を判定します。実際に体験した川村の結果は、左目がややよくないというものでした。このアプリは楽しみながら健康チェックができる点が魅力的で、多くの来場者が興味を示していました。
ドライバーを脳科学の力で支援するアプリ「BTOC」
次に紹介するのは、東北大学と仙台放送が共同で開発したスマートフォンアプリ「BTOC」です。このアプリは、ドライバーの「運転技術」「認知機能」「精神状態」を脳科学の力で支援するものです。展示会では、川村が2つの標識のうち大きい数字を答えるトレーニング「クルクルヒョーシキ」に挑戦。なかなかの成績を収めました。
これらのアプリは、日常生活や業務の中で楽しみながら健康管理やスキルアップを図ることができる点で、多くの企業や個人にとって大変有益なツールとなることでしょう。展示会場では、多くの来場者が実際にアプリを体験し、その効果を実感していました。
倉庫のデジタル入館システム「ロジキラ」
株式会社ロジキラは、倉庫での入館手続きを効率化するデジタル入館システム「ロジキラ」を展示していました。ドライバーと倉庫スタッフ双方の手間を大幅に削減し、業務の生産性を向上させます。
使い方はシンプルです。ドライバー側は、LINEを使用して入館手続きを行います。一度初期情報を登録するだけで、以降の手続き時には再入力の必要がありません。倉庫側は、LINEに入力された情報を基に自動生成されるデジタルダッシュボードを使用して管理を行います。
驚くべきことに、ロジキラの提供するデジタル入館システムは無償で提供されます。将来的には広告を表示させることで収益化を図るそうです。従来の紙ベースの入館手続きと同様に、追加のコストをかけることなく導入できる点は魅力の一つです。物流業界における効率化の新たな標準となる可能性が感じられました。
物流業界におけるドローン活用の未来
日本工業大学の平栗先生は、総務省から委託された、移動中継局を用いた次世代超高速伝送・広域エリア形成の研究成果を発表しました。平栗先生は、地上以外の空間、つまり空や宇宙での通信に注目されています。この「非地上系」通信は、移動する中継局を利用することで、新しいサービスを提供できる可能性を秘めているそうです。この技術が物流業界にもたらす可能性は大きく、例えば、これまで通信が困難だったエリアでの通信が可能になることでドローンの活用が広がることが期待できます。
物流業界でのドローン活用について、平栗先生は三つの主要な通信が重要であると指摘しました。一つ目は、ドローン自体の操縦や飛行を支える通信、二つ目はドローンが自動で荷物を運ぶ際の衛星を利用した位置情報の取得と地上への伝達を行う通信、そして三つ目は緊急時の着陸や避難を支援するためのネットワークです。非地上系通信の進展と、それに伴う新たな物流サービスの提供が、業界全体に革新をもたらすことが期待されます。
Streamaxのトラック安全運転ソリューション
Streamaxは最先端のトラック安全運転ソリューションを披露しました。特に、車載ビデオソリューションは、世界トップクラスの性能を誇ります。トラックに搭載されるシステムは、高性能なカメラとAIを活用し、車外の様子や社内の様子をモニタリングします。そして、前方車両との距離が縮まるとアラームが鳴り、ドライバーに注意を促します。ドライバーの顔もチェックされ、タバコの喫煙やハンドルから手を離す行為が感知されると、即座に警告が発せられます。これらのアラーム情報はすべてクラウドプラットフォームに送信され、一元管理されます。
Streamaxの提供する高精度カメラは、ブラックライト技術を駆使しています。これにより、夜間でも鮮明な映像を提供し、歩行者の存在をドライバーに知らせることができます。同じ時間帯に撮影された映像は、昼夜問わず高い視認性を維持します。
Streamaxの製品とクラウドプラットフォームを組み合わせることで、トラックの安全運転を包括的にサポートする一つのソリューションが完成します。このシステムは、ドライバーの行動をリアルタイムで監視し、適切なタイミングで警告を発することで、事故の予防に大きく貢献してくれるでしょう。
脳体力トレーナー「CogEvo」に挑戦!
株式会社トータルブレインケアが提供するアプリ、脳体力トレーナー「CogEvo」が注目を集めていました。認知機能を測定し、日々の健康管理や人事評価に役立てるために開発されたものです。トータルブレインケアの代表は、「認知機能の測定は、毎日楽しく行えるものでなければ続かない。CogEvoは、わずか2分でその日の認知機能の調子を確認できる」と説明してくれました。さらに、このデータを車の運転や人事評価に活用することで、評価者の主観によるバラツキを数値化し、一貫性のある評価が可能になります。
展示ブースでは、実際にCogEvoを体験するデモンストレーションが行われました。来場者の特性をチェックするというユニークな体験を提供してくれます。まずは、中央に表示される同じ図形を探すゲームから始まりました。次に、時間管理のゲームで、昨日の日付を思い出し並べるタスクが行われました。これらのゲームは、短時間で楽しく認知機能を測定するよう工夫されています。次々とゲームに挑戦し、その場で認知機能の結果を確認することができました。結果は五角形のグラフで表示され、視覚的にわかりやすく評価されます。
自動点呼機器 Kebbi Air(ロボット)
東海電子株式会社はアルコール検知器の専門メーカーとして、その先進的な製品を展示しました。特に注目を集めたのが自動点呼機器 Kebbi Air(ロボット)です。ドライバーの顔認証とアルコール測定を自動で行い、結果をリアルタイムで表示します。具体的には、点呼開始時に、あらかじめ実施したアルコール測定の結果が表示され、もしアルコールが検知された場合は即座に「判定NG」と表示され、警告が発せられます。
さらに、このシステムは車のナンバー入力や道路状況の確認、必要事項の報告も自動で行います。例えば、ドライバーがウインドウォッシャー液の不足を報告すると、その内容がテキストとして記録されます。選択肢が限定されているため、直感的に操作できるのも特徴です。
システムには、交代運転手への連絡機能や管理者からの個別報告機能も備わっており、これらの報告事項はオリジナル原稿として読み上げられます。本来ならば人が行うべき点呼作業を機械に置き換えることで、労力を大幅に削減し、効率的な運用が可能となります。省力化と正確なアルコール検知が期待できるこのシステムは、物流業界における安全管理の新しいスタンダードになりそうです。