物流現場取材シリーズ②
スリー・フォレスト・ロジ様
“現場”を熟知し、
物流業界の地位を高めるために

左/株式会社スリー・フォレスト・ロジの代表取締役社長 青木啓明様  右/株式会社ロジテックの代表取締役 川村将臣

株式会社スリー・フォレスト・ロジは、2012年10月の設立以来、物流アウトソーシング事業をはじめ、トヨタ生産・物流方式を応用したJapanPostSystemを活用した独自の物流コンサルティング、物流センター設計補助、自社物流センターの運営などを幅広く手がけて成長中の企業です。

今回は、同社代表取締役社長の青木啓明様に、ロジスティクスに関する戦略的な事業展開や物流業界に対する想いなどをお伺いした対談の内容をお届けします。

優秀な物流人材を育てていかなければいけない

川村:まず、御社の事業内容についてお教えいただけますでしょうか。

青木:当社の主な事業領域は、ECを中心としたアパレル・食品・家具・雑貨・化粧品などの物流アウトソーシング事業や、ロジスティクスのコンサルティング、関東に7拠点ある物流センターの運営です。現在、八千代にもう1拠点を建設中です。

川村:ほかにも、新しい事業を幅広く行っていらっしゃるそうですね。

青木:はい。冷凍・冷蔵のロジスティクスサービスや、デザインとブランドコンセプトなどのBtoCビジネスのスタートアップサポート、そしてECサイトの構築・商品開発輸入、越境ECなどの海外への物流などを行っています。

川村:どのような経緯で、御社は設立されたのですか?

青木:10年ほど前に、現会長の森が日本郵便様で物流改善プロジェクトを担当していて、トヨタ自動車様に出向したことが設立の大きなきっかけです。

トヨタ生産方式・物流方式を学ぶ一方で、に関する風土に感銘を受けたといいます。そして、「しっかりと物流ができる人材を育てていかなければいけない」と考えて、当社を立ち上げました。

川村:なるほど。現在、複数の拠点をお持ちですが、単なるスペースの提供ではなく、センター内での実務も行っていらっしゃるのですよね。

青木:BtoBやECも含めて、実務もお任せいただいています。特に今年からは冷凍・冷蔵のECに力を入れていて、仕組みなどを構築しながら誘致も行っています。

川村:いまは、冷凍・冷蔵の引き合いが多いのではないですか?

青木:そうですね、ご相談もご契約も多くて、お困りの方がたくさんいらっしゃるという印象です。今期、20社ほどのお取引先にご利用いただく予定です。

“現場”を知らなければ、現場の課題は解決できない

川村:ECも含めてBtoCも手がけられているなかで、どのような強みを御社はお持ちですか?

青木:ECサイトも自社で制作できますし、元々ロジスティクスのコンサルティングを行っていたので、倉庫のシステムの開発もできます

業務設計に基づいて適切なシステムを組み込んでいくのですが、そのようなことに精通した社員が多いのも強みだと思います。

当社では、営業担当も必ず現場の業務を経験します。そのうえで、クライアントのオペレーション負担の最小化などを考えて、設計まですべてを一貫して担当していますので、そのような点もお客様からご評価いただいています。

川村:システムを構築される際に、現場のことも最大限に考慮されていらっしゃるのですね。

青木:そうですね、コンサルティングではありますが、立ち上げの際は私たちも一緒に現場に入って運用を一緒に行って、最後まで見届けるようにしています。

そもそも現場的な視点が素地にありますので、基本的に現場のオペレーションからシステムを考えていくという形を取っています。

川村 :私たちも「汗のかけるプラットフォーマー」を標榜していますので、とても共感できます。システムの要件定義も、リアルな現場をご存じなので優位性がおありですよね。

青木:これまでさまざまなプロジェクトに携わらせていただいてきて、現場が置き去りにされてしまっていたり、現場の方々が「NO」と言えない雰囲気になっていたりすると、失敗するケースが多かったんですね。

川村:忖度しすぎて、本当のこと言えない環境になっていると。

青木:そうです。システムが適切ではないのに、現場が率直に意見を言えない状態は、非常に問題だと思います。それは個人の問題ではなく、組織全体に問題があると思っています。

現場全体の状況を把握して、自動化などを進めることが重要

川村:私たちもさまざまな物流の現場を見ていて思うのが、工程改善の仕組みを導入しても、現場が意見を言えないことが原因で別の部分に問題が生じてしまうことにお悩みの企業様も多いですね。

青木:やはり、全体の状況を把握することが大切だと思います。そして、改善目的の設定や事前準備が重要ですね。

川村:おっしゃる通りだと思います。物流業界の2024年問題や仕事のやり方・あり方の変化があるなかで、私が危惧しているのは「わかりやすい部分だけ自動化・省時間化が図られているが、それだけで本当に大丈夫なのか」ということです。

その点について、御社ではどのような視点をお持ちですか?

青木:ECに関しては、コンサルティングや立ち上げから実際の運用まですべてをパッケージ化しています。全案件について、業務フローと商材の詳細情報、梱包マニュアルなどの漏れがないように一元管理を行います。

確認項目は多くなりますが、運用開始後に問題が発生することを防げるメリットがあります。梱包マニュアルなども、必ず荷主様にご用意いただいています。

川村:現場を知るスタッフの方がすべてに関わるというのは、非常に心強いですね。

「リスペクト」を大切に、物流業界の地位を上げたい

川村:物流業界全体の問題として、コスト面や運営面、システム面などにおいて、積極的に改善などに取り組みづらい案件もあるかと思います。そのような場合に、御社はどのような対応を取っていらっしゃいますか?

青木:当社は、「物流業界の地位を上げる」というミッションを掲げていて、5つの行動指針として「リスペクト(尊敬・敬意)」を1番目にあげています。現場の方々や荷主様に対してリスペクトするのはもちろん、荷主様から私たちがリスペクトされることも大切だと考えています。

物流業界の地位を上げるためにも、お互いのリスペクトが存在しない案件はお受けしないのが、私たちが守り続けている信念です。

川村:そのような想いを貫いていらっしゃるのは、業界にとっても素晴らしいことですね。私たちも同じように「物流業界のプレゼンスを高めたい」という想いを持っています。

でも、業界が抱える問題が原因で、いままさに業界内のさまざまな部分が崩れていく音が聞こえているのに、抜本的な解決に着手できていないことに怖さを感じています。

青木:私もそう思います。当社が考える「業界の地位向上」にはいろいろな意味がありますが、社員に対するメッセージとしては「地位が上げるためには、何をしなければいけないのか」を自問自答してほしいという想いがあります。

お客様のことを本当に考えたロジスティクスの設計や戦略的なロジスティクスには、非常に価値があると思います。ですから、そのようなことを実現できる人材になって、業界に貢献していってほしいですね。

新たなシステム化で、物流業者のビジネスチャンスの創出を

川村:業界の特徴として、まだアナログな部分が多く残っていますが、その問題も解決していかなければならないですよね。

青木:そうですね。私の構想として、現在、BtoCのスタートアップの支援を行うなかで、業界に詳しくない方や商品マスタの重要性などをご理解していらっしゃらない方でも簡単に運営できる仕組みやシステムをつくりたいと考えています。

その一つが、『クラチョク』というD2C支援サービスです。複数のECチャネルのデータを連携させて、1つの倉庫にある在庫商品をエンドユーザーに直接出荷することで、お客様の売上向上やビジネスチャンスの創出が可能になります。

川村:すべてのチャネル向けの在庫を一括管理できるのですね。

青木:そうです。たとえば、それぞれのECモールに個別に参画する際に必要なコストや、海外のECモールに出店する際のハードルなどを下げることができます。

川村:海外からのお客様にも対応されていらっしゃるんですか?

青木:海外の方は、クラウドファンディングが中心です。日本国内の利用者への輸入に関する通関や倉庫利用に関するご相談が多いですね。

川村:通関に関することも行っていらっしゃるんですか。

青木:はい。通関に詳しい社内スタッフとパートナーの通関士が連携しながら行っています。

川村:御社は創業10年強の歴史と実績をお持ちですが、保守的になることなく、さまざまなことにチャレンジされていらっしゃるんですね。

青木:そうですね、まだまだいろいろな面白いことができると思っています。

ライバルでありながら、仲間として協同できる物流業界

川村:私は以前、派遣業界に携わっていたのですが、物流業界に関わって大きな“ちがい”を一つ感じました。

派遣業界にいたときは、同業の企業さんのことを「競合他社」と思っていたんですね。でも、物流業界では、「ライバル」ではありますが「クライアント」や「仲間」にもなるということを知って、とても印象的でした。

青木:当社でも、そのような関係性になる同業企業さんが多いですね。同業者さんからお仕事をご紹介いただくことも多いです。

いろいろな方をご紹介いただいてお会いするなかで、システム導入にハードルを感じていらっしゃる物流企業さんや、せっかく導入したシステムをうまく使いこなせていない企業さんも少なからずいらっしゃいます。

業界内の横のつながりを通じて、そういったお悩みや課題をお持ちの企業の方々と出会って、課題解決のお手伝いをしていきたいと考えています。

川村:そのような業界の特性も活かして、物流業界全体の地位を向上させていきたいですね。

青木:おっしゃる通りです。政府も『高度物流人材』の必要性を打ち出しているように、今後の物流業界には物流DX(デジタルトランスフォーメーション)と、それを推進できる人材が欠かせないと思います。そのために、物流業界全体で業界の課題解決について考える必要があるでしょう。

ぜひ、業界の発展のためにも、私たちも協力し合いながら、自分たちだからこそできること、貢献できることを行っていきたいですね。

プロフィール

社名:株式会社スリー・フォレスト・ロジ(Three Forest Logi inc)

住所:東京都港区芝3-5-3 金子ビル6F

TEL:03-6809-3470

設立:2012年10月

https://www.three-forest-logi.com/

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