物流現場取材シリーズ③
グローリング様
物流業界に革新を! 積極的提案を推進する企業文化とその意義

左から、宮下氏、川村、佐藤社長

全国展開を行うグローリング株式会社(以下、グローリング)は、インターネット通販の増加や小口配送ニーズの高まりを捉えて、10年以上にわたり軽貨物業界で着実に成長を遂げてきました。今回、佐藤社長と経営企画室の宮下氏のお二人にご協力を頂き、株式会社ロジテックの代表取締役である川村がモデレーターとなり、新たな試みや共有・解決すべき課題について対話する実践的な対談を行いました。その内容をここでご紹介します。

積極的に提案する企業文化

川村:御社の業務内容について教えてください。

佐藤:私たちの会社は小型荷物の配送を中心に、倉庫業務や軽自動車の整備も行っています。また、2024年問題や後継者不足が予想される一般貨物業界の変動を見越して、一部の企業とM&Aも協議しています。

川村:佐藤社長が経営において大切にしていることは何ですか。

佐藤:業界の体質改善と働く人々の生活向上を重視しています。我々はこの業界の社会的地位の向上に貢献できると信じており、そのための環境づくりを一生懸命頑張っています。

川村:その目標を達成するためにはどんな工夫をされていますか。

佐藤:一般的な運送会社が指示された仕事をやっているのに対して、私たちは積極的に提案するスタイルを取っています。例えば、ドローンを利用した配送を提案できるよう社員がドローンの国家資格を取得するなど、常にテスト的な取り組みを行っています。

川村:佐藤社長がグローリングへ来られる前のご経歴を教えてください。

佐藤:前職はネット通販の会社で、創業から運営まで7年ほど勤めました。その後、2016年にグローリングの経営へ参加しました。入社当時は業績が厳しかったです。そこで、私のネット通販での経験を生かし、取引先を開拓するなどして業績をなんとか回復させることができました。

川村:その業績悪化の原因は何だったのでしょうか。

佐藤:一時的な仕事が多く、毎月の売上予測が難しかったです。経済状況に左右されやすく、経営が不安定でした。それを解決するために、宅配業を主力にすることを決め、楽天やアマゾンの配送を手がけるようになりました。

川村:実は、私たちロジテックにも似た経験があります。私たちは人材派遣から始まり、お客様の仕事に合わせる形で事業を展開してましたので、やはり経営が不安定でした。そこで私たちは自社で倉庫を借りて「自分で仕事を持ってこよう」と考えるようになりました。

今回の対談では、御社の成り立ちや歴史を掘り下げるだけでなく、お互いの新たな可能性を模索できればと考えております。共通の経験を持つ私たちの会社同士で何か新しいことができるといいですね。

佐藤:お互いの経験と知識を活かして問題解決に取り組めたらいいなと思います。

御用聞きから脱するための新たな視点と解決策

川村:まずは、軽貨物運送業界のドライバー不足という問題について考えてみたいと思います。これは、一言で言えば「振り回される仕事の体制」が原因ではないでしょうか。

佐藤 その通りですね。現状は、とにかく不確定要素が多く、ドライバーたちは振り回されています。

川村:なので、我々が仕組みを作り、確実に仕事がある場所、つまりは「倉庫」を作れば、フリーランスのドライバーでも仕事に紐づけられるのではないでしょうか。そして、安定した荷物の流れが生まれると、これをプラットフォームにして多くのドライバーや会社が交流する場所として成り立つはずです。

佐藤:その考え方は大切だと思います。ただ、残念ながら多くの企業が「しょうがない」と問題を終わらせてしまっています。御用聞きみたいになり過ぎている。業界全体が本気で問題解決に取り組んでいないと思います。

川村:御用聞きで終わらないためにはどうすればいいとお考えですか。

佐藤:それに対しては、交渉力を持つことが重要だと思います。ただ配送するだけでなく、配送効率やコスト削減の提案ができれば、交渉力が増して御用聞きから脱することができます。

川村:御用聞きから脱するには、「ダメなものはダメ」という意見も大切です。

佐藤:その意見は重要です。特に、大手から一次請けとして受ける我々は、二次受けのミスまで責任を負わなければならない。そのため、協力会社の教育も我々が担う必要があります。

川村:仕事を振る者が、責任や教育の問題も引き受けるべきですよね。

佐藤:なんだか、業界内で問題をなすり合うことが増えているように感じます。そうなると、業界全体としての改善は難しい。やはり、大手企業や荷主を含め、業界が一体となって問題解決に取り組む必要があると思います。

川村:一部の元請や荷主はその責任を積極的に取る傾向にある一方で、まだまだ無関心な企業も多いです。

佐藤:それが現状の難しさですね。

企業協力の鍵となるリーダーシップの重要性

川村:業界が一体となって問題解決にあたるためにはどうすればいいか。私の提案は、商流の上の方から受注して、分配を綺麗に行うこと。それを通じて品質向上を目指す、というものです。

佐藤:そのアプローチは確かに一考の価値がありますね。

川村:志を共有できる人たちと協力関係を築くことが重要だと感じています。例えば、必要な人数を確保できない時、他社が手伝いを申し出てくれます。でも、それは助け合いでもありますが、実は椅子取りゲームのようなものでもあるんです。

この業界は、リソースやフィールドが異なるため、大きい会社でない限りは、どこかに依存せざるを得ないのです。これが業界特有の構図で、競合とパートナーが一緒になっています。パートナー企業との関係性は一見友好的に見えますが、意外と情報共有がされていないところもあるのが現状です。これが、本来のパートナーシップを築けない一因かもしれません。

佐藤:それはありますね。企業のトップ同士は気が合う人たちで固まりがちです。ですから、組織が協力的な形で動くためには誰がどのようにリーダーシップを取るかが重要です。

川村:そのリーダーシップの資質について佐藤社長はどう思いますか。この業界には、職人気質の人も多く、全員をまとめるといっても一筋縄ではいきませんよ。

佐藤:仕事に対する姿勢は人それぞれです。建設的なアプローチを持つ人は少ないかもしれません。しかし、理解することでそれぞれの特性を活かすことが可能になります。一貫して冷静さを保ち、それに対応するよう相手にも変わってもらうことがリーダーに求められる資質だと思っています。

物流業界への投資!成長する業界のチャンス

川村:さきほど、ドローンについて話がありました。実はその関連で、私たちはフォークリフトの教習所を始めようかと考えています。

佐藤:どのような内容ですか。

川村:フォークリフトの資格だけを持つ人達に実務経験を提供します。そして、この教習所を運営するノウハウが、やがてドローン教習所の運営に役立つという構想です。

宮下:私自身も先日フォークリフトの資格を取りました。教習所でお会いした人たちに話を聞きましたが、実際に使用する予定の人は少なかったですね。

川村:その経験は、合宿免許を取り、現場に戻った時に遭遇する状況と同じです。教習所と現場とでは違うと思います。

宮下:確かに、教習所で学んだ後、実際の現場で試すと全く違う経験があります。そのため、現場に近い環境で教習を受けることは重要だと思います

川村:私たちは、このような状況を改善するために投資を検討しています。特に物流業界は急速に成長しており、投資のチャンスがあると感じています。

宮下:ドローンの活用は近い将来現実になると思います。今は規制が厳しいですが、2024年問題に直面すれば、規制を緩めてでもドローンを活用するしかなくなるからです。

川村:一方で、すべてを無人化、省人化させるのではなく、雇用創出の可能性も考慮に入れたいです。人も大切にしたいという事です。

佐藤:確かに大切なことですね。

川村:私たちの教習所では、無人フォークリフトと有人フォークリフトを並べて配置します。これは、人を活用することの重要性を示しています。そういう部分に共感いただければ、一緒に何かできないかなと思っています。

佐藤:ありがとうございます。私たちも、新しい事にチャレンジしたいと考えています。

既存から脱却して新しい物流業界への挑戦

川村:ここまで佐藤社長の話から感じ取った事は、既存の形に留まらず、変革を追求する姿勢をお持ちだという事です。それと同時に、物流現場の現実もちゃんと理解されています。私たちも同じ思いで新たなことを始めています。新しい試みと現場主義を両立していくスタイルに共通性を感じました。

佐藤:そうですね。我々の目指す方向は、業界全体の向上です。荷主に提案してドライバーに報酬を還元していかないと人気が出ませんよね。労働時間が長くて給料が低いと、結果的に物流のインフラが崩壊し、経済全体が悪影響を受けます。それを改善するのは国の役割ですが、我々のような小さな会社でもできることから取り組まなければいけないと考えています

川村:私たちは、長時間にならない範囲で効率的に仕事ができるような環境を作るという新しい形を提案しなければなりません。そうすれば、ドライバーや運送会社が我々の下に集まってくれるのではないでしょうか。

佐藤:そこに私たちも参加します。ぜひ、一緒にやりましょう。

川村:そう言っていただけると、これから先が楽しみです。ドローンの話も興味深いですし、何か共同でできることがあれば、ぜひ相談させてください。これからもよろしくお願いします。

プロフィール

グローリング株式会社

住所:東京都江戸川区春江町2-6-8

設立:2010年3月8日

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