運行管理者の業務内容とは?貨物自動車運送事業法の規定に沿ってわかりやすく解説

目次

運行管理者の業務内容を確認したいとき、貨物自動車運送事業法の規定を確認しなければなりません。

しかし、法律の条文を読むだけではなく、内容を理解していくのは時間と気力が必要です。

本記事では運行管理の業務内容で重要なポイントをピックアップして、その他は条文とともにわかりやすく解説します。

POINT!ここがポイント
  • 過労運転させないように乗務時間等を適正管理
  • 対面点呼で運転者の健康状態を把握して業務の指示
  • 安全関係法令等を遵守してもらうために常日頃から指導・監督を実行

運行管理者の押さえておくべき主な業務内容

運行管理者の業務内容は、貨物自動車運送事業輸送安全規則によって詳細に決められています。

ここで解説するのは、貨物自動車運送事業法の規定に基づく貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条の要約です。

簡潔に内容を理解したい場合は、参考にしてください。

運転者の乗務時間等を適正管理して過労運転させない

運行管理者は、運転者に過労運転させてはいけません。

勤務時間や乗務時間は定められているため、適切な時間を設定して管理します。

そこで運行管理者は、乗務割を作成して運転者を乗務させる調整が必要です。

具体的には乗務記録や運行記録計で乗務時間を把握して、運転時間を確立させるのが仕事です。

必要に応じて交替運転者を配置して、運転している乗務員が過労にならないような調整をします。

点呼で運転者の健康状態の把握しつつ運行に必要な指示を出す

運行管理者は点呼を実施して、運転者の健康状態を把握しつつ運行に必要な指示を出します。

点呼は対面で行い、対象は乗務しようとした運転者と乗務を終了した運転者です。

万が一、飲酒や疲労、健康状態の不良などがあると業務に支障が出てしまいます。

乗務しようとした運転者は事故を起こす可能性があり、乗務を終了した運転者は次の日に欠勤する可能性があるからです。

運転者を確保できないと届ける期限が決められた荷物を運ぶ人がいなくなり、エンドユーザーにまで迷惑がかかります。

また、悪天候時は車を使う人が多くなり、渋滞が多発しやすいです。

ガラスが曇って標識や周囲の車が見えず、事故が起きる可能性もあるため、運行経路を変更して安全な走行を確保する必要があります。

運転者に対して常日頃から指導監督をする

運転者に対して、運行の安全を確保するために常日頃から指導監督するのも運行管理者の業務内容です。

安全関係法令等を遵守してもらうことで、運転者自身が安全で安心な業務を行えます。

例えば異常気象が発生した際に無理して業務をすると、事故に巻き込まれる可能性が高いです。

そのため、運行管理者は安全を確保するように措置を講じなければなりません。

また、雨天時や雪道での走行になると、スリップして車同士が衝突する恐れがあります。

そこで路面の状態が良好な道や、曲道が少なくて道幅が広い道路を教えておけば、リスクの回避につながりやすいです。

貨物自動車運送事業輸送安全規則で定めている運行管理者の業務内容

貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条によると、1〜17号プラス2項〜4項までの業務を運行管理者は行わなければなりません。

しかし、貨物自動車運送事業法の条文は堅苦しくて読みにくいため、理解しにくいでしょう。

そこで、運行管理者の業務内容を条文ごとにできるだけわかりやすく解説します。

事業用自動車の運行の業務ができるのは運転に選任された人のみ

第20条第1号一般貨物自動車運送事業者等により運転者(特定自動運行貨物運送を行う場合にあっては、特定自動運行保安員)として選任された者以外の者を事業用自動車の運行の業務に従事させないこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

事業用自動車を運転して業務ができるのは、事業者が選任した運転者のみです。

人員が不足しているなどの理由があっても、事業者が選任していない運転者を従事させてはいけません。

休憩や睡眠に必要な施設を整備・管理・保守する

第20条第2号第三条第三項の規定により、乗務員等が休憩又は睡眠のために利用することができる施設を適切に管理すること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

乗務員が休憩または睡眠をするために利用できる施設を、運行管理者は整備・管理・保守しなければなりません。

乗務している運転者は疲労や健康状態の不良などにより、休憩や睡眠を必要としているからです。

定められた勤務時間や乗務時間に従って、必要な施設を適切に管理してください。

乗務割を作成して遵守させる

第20条第3号第三条第四項の規定により定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運転者を過労運転させないように、乗務割を作成して遵守させます。

乗務割とは勤務時間や乗務時間などの拘束時間だけではなく、休憩時間も管理する範囲内です。

2024年問題で時間外労働の規制も行われるため、徹底的に遵守させなければなりません。

酒を飲んだ状態や不健康な状態で従事させない

第20条第4号第三条第五項の規定により、同項の乗務員等を事業用自動車の運行の業務に従事させないこと。第三条第六項の規定により、乗務員等の健康状態の把握に努め、同項の乗務員等を事業用自動車の運行の業務に従事させないこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

お酒を飲んだり不健康だったりする状態で運転をさせないように、運行管理者は管理しなければなりません。

飲酒に関してはアルコールの量によりますが、大量に飲んだ場合は少なくとも1日以上を空ける必要があります。

事故を起こさないように、乗務員の健康状態を把握するようにしましょう。

長距離運転や夜間の運転でも安全な運転ができるようする

第20条第5号第三条第七項の規定により、交替するための運転者を配置すること。特定自動運行事業用自動車による運送を行おうとする場合にあっては、第三条の二第一項の規定により特定自動運行事業用自動車に特定自動運行保安員を乗務させ、若しくはこれと同等の措置を行い、又は遠隔からその業務を行わせること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

長距離運転や夜間の運転でも業務を遂行できるように、運行管理者は管理する必要があります。

例えば交替のために運転者を配置したり、特定自動運行保安員を乗務させたりして対応しなければなりません。

過積載の運転を防止するために指導や監督をする

第20条第6号第四条の規定により、従業員に対する指導及び監督を行うこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

第四条で規定している条文は、過積載による運送の防止について適切な指導および監督をしなければならないという内容です。

つまり、第6号では従業員に対して荷物を積み過ぎないで運送するように運行管理者が指導および監督をしなければなりません。

偏荷重や荷崩れを防ぐために貨物の積載方法ができているか指導・監督をする

第20条第7号第五条の規定による貨物の積載方法について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。第五条の二の規定により、運転者等に対する指導及び監督を行うこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

第五条では事業用自動車に貨物を積載するときの方法について、細かな規定があります。

要約すると偏荷重や荷崩れを防ぐために、貨物の積載方法ができているかを指導・監督することが条文の内容です。

積載率が低いほど荷物が不安定になるため、しっかりと固定する必要があります。

運転者に対して対面点呼をして業務における確認・指示をする

第20条第8号第七条の規定により、運転者等に対して点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示を与え、並びに記録し、及びその記録を保存し、並びに運転者に対して使用するアルコール検知器を常時有効に保持すること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

国土交通大臣が定める方法で対面点呼を取り、業務の確認や指示をします。

運転者が飲酒していないか、疾病・睡眠不足はないかなどを確認して運行の安全を確保するのが仕事です。

飲酒の確認は目視だけではなく、アルコール検知器を活用して確認をしなければなりません。

業務を行った運転者の各項目を記録させて1年間保存する

第20条第9号第八条の規定により、運転者等に対して記録させ、及びその記録を保存すること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運行管理者は運転者の氏名や事業用自動車の自動車登録番号、業務に従事した距離などを記録させて1年間保存します。

業務を交替した際や、休憩または睡眠をした際の地点や日時などの記録も必要です。

車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上の場合は、積載状況や集荷地点などの記録も欠かせません。

運行記録計を管理して1年間保存する

第20条第10号第九条に規定する運行記録計を管理し、及びその記録を保存すること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運行記録計は事業用自動車の瞬間速度や、運行距離および運行時間を記録するものです。

対象の事業用自動車は以下の3つで、記録は1年間保存しなければなりません。

  • 車両総重量が七トン以上又は最大積載量が四トン以上の普通自動車である事業用自動車
  • 上記の事業用自動車に該当する被けん引自動車をけん引するけん引自動車である事業用自動車
  • 上記で掲げる事業用自動車のほか、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車

記録できないものは運行のために用いらない

第20条第11号第九条に掲げる事業用自動車で同条に規定する運行記録計により記録することのできないものを運行の用に供さないこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運行管理者は、運行記録計を運行記録以外のために使用してはいけません。

運行記録計は事業用自動車のみに使用するもので、一般の車両に使用するものではないからです。

そもそも運行記録計の装着が一部義務付けられているため、わざわざ取り外す必要がありません。

参考:全日本トラック協会「運行記録計(タコグラフ)の装着義務付け対象拡大について」

事業用自動車に係る事故が発生したら記録をして3年間保存、その後は運行指示書を作成して適切な指示を行う

第20条第12号第九条の二の規定により、同条各号に掲げる事項を記録し、及びその記録を保存すること。第九条の三の規定により、運行指示書を作成し、及びその写しに変更の内容を記載し、運転者等に対し適切な指示を行い、運行指示書を事業用自動車の運転者等に携行させ、及び変更の内容を記載させ、並びに運行指示書及びその写しの保存をすること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

事故の記録をする際は、3年間保存する必要があります。

運行記録計の管理自体は1年間の保存でしたが、事故の記録はやや長いです。

また、運行管理者は運行指示書を作成して、事故を起こした運転者に適切な指示を行わなければなりません。

運転者等台帳を作成して営業所に備えて置く

第20条第13号第九条の五の規定により、運転者等台帳を作成し、営業所に備え置くこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運転者ごとに作成番号や作成年月日、運転免許証の情報などを記載した運転者等台帳を作成します。

作成した運転者等台帳は、運転者が属する営業所に備えて置きましょう。

なお、運転者等台帳は第9号(運転者に対しては、第十条第二項の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診の状況)に掲げる写真を張り付けた一定の様式にしてください。

運転者に対して適切な指導と監督をして、双方の記録後、営業所で3年間保存する

第20条第14号第十条(第五項を除く。)の規定により、乗務員等に対する指導、監督及び特別な指導を行うとともに、同条第一項及び第三項による記録及び保存を行うこと。第十条第二項の規定により、運転者に適性診断を受けさせること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

従業員に対して、国土交通大臣が告示で定めた内容を遵守させるように指導と監督をしてください。

場所や内容、指導や監督を行った者と受けた者を記録して、その記録を営業所で3年間保存しなければなりません。

死亡または負傷者が生じた事故を引き起こした者、新たに雇った運転者、65歳以上の高齢者は特別な指導と適性診断を受けさせる必要があります。

異常気象時で輸送が困難の場合は安全を確保するための措置を講じる

第20条第15号第十一条に規定する場合にあっては、同条の規定による措置を講ずること。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

異常気象の発生等で輸送の安全の確保が困難なときは、運行管理者が運転手に適切な指示をする必要があります。

雨が強くて視界が保てない、風が強くて物が飛んでくるなどの状況があるでしょう。

他にも雪が降って路面が滑りやすくなったり、雷や突風で木々が道を塞いだりする可能性もあります。

状況に応じて、適切な指示を講じてください。

選任された補助者に対して指導と監督をする

第20条第16号第十八条第三項の規定により選任された補助者に対する指導及び監督を行うこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運行管理者は国土交通大臣の認定を受けたものを修了した者の内から、業務を補助する補助者を選任できます。

その補助者に対して、指導と監督を行うのも業務内容です。

事業用自動車の運行の安全の確保のために従業員に対する指導と監督をする

第20条第17号自動車事故報告規則第五条の規定により定められた事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

事業用自動車の運行の安全の確保のために、従業員に対して指導と監督をしなければなりません。

自動車事故報告規則第五条の規定には事故警報として、自動車使用者や自動車特定整備事業者、その他の関係者に周知させる業務が発生します。

事業用自動車の運行の業務に関する基準を作成して、当該基準の遵守について乗務員等に対して指導と監督をする

第20条の2項特別積合せ貨物運送を行う一般貨物自動車運送事業の運行管理者は、前項に定めるもののほか、第三条第八項の規定により、事業用自動車の運行の業務に関する基準を作成し、かつ、当該基準の遵守について乗務員等に対する指導及び監督を行わなければならない。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

特別積合せ貨物運送を行う一般貨物自動車運送事業の運行管理者は、事業用自動車の運行の業務に関する基準を作成します。

基準は以下の事項のことで、乗務員に対して遵守させるように指導と監督をしてください。

  • 主な地点間の運行時分及び平均速度
  • 乗務員等が休憩又は睡眠をする地点及び時間
  • 前項の規定により交替するための運転者を配置する場合にあっては、運転を交替する地点

事業用自動車の運行の安全の確保に関し必要な事項について助言を行える

第20条第3項運行管理者は、一般貨物自動車運送事業者等に対し、事業用自動車の運行の安全の確保に関し必要な事項について助言を行うことができる。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

運行管理者は通常業務や事故、異常気象などのとき、いかに運行の安全確保ができるかが重要な業務内容です。

一般貨物自動車運送事業者等に対しても、事業用自動車の運行の安全の確保をしなければなりません。

必要な事項があれば助言をして、業務を遂行してください。

運行管理者の業務を統括する

第20条の4項統括運行管理者は、前三項の規定による運行管理者の業務を統括しなければならない。
引用元:e-GOV法令検索「平成二年運輸省令第二十二号貨物自動車運送事業輸送安全規則」

統括運行管理者は、運行管理者の業務を統括しなければなりません。

具体的には、スケジュールや勤務の管理、配送ルートの作成、記録の保管・管理などがあります。

運行管理者より責任が重く、運行管理者の中でより経験がある人を選任するのが最適です。

まとめ

運行管理者の業務内容は幅広く、運転者等が安全に業務へ取り掛かれるように指導・管理をします。

主な業務は勤務時間の適正管理や対面点呼の実施、安全関係法令等の遵守を指導監督などです。

運行管理者の業務に携わりたい人は、運行管理者試験に合格して、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務で実務経験、かつその他の要件を備える必要があります。

なお、物流企業には管理業務が多く、リソースが足りない企業も多いことでしょう。

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