目次
物流業界において、商品を入荷して適切なタイミングで出荷するのは重要なことです。
生鮮食品は配送に時間かかると品質が落ちて、時間指定の商品はスケジュール通りの配送をしないと顧客の信頼を失いかねません。
そこで物流の流れを一括で管理しているのが、本記事で解説する物流センターです。
物流センターで行う業務の流れや種類、現状抱えている課題などについて解説します。
- 物流センターとは商品を入荷してから出荷するまでの業務を行っている施設
- 生産立地型は生産地の近くに設立、消費立地型は消費地の近くに設立
- インターチェンジ・港・空港へのアクセスが良好な位置での設立が最適
物流センターとは?
注文した商品が発注主に届くまで、物流センターで保管しています。
物流センターは保管をするイメージがありますが、出荷までの複雑な業務を一括で管理している施設です。
どのような業務をしているのか、倉庫との違いや業務の流れを解説します。
物流センターの概要
物流センターとは、商品を入荷してから出荷するまでの業務を行っている施設です。
倉庫は保管のみを目的としていますが、物流センターでは保管に加えてピッキングや梱包などをしています。
物流センターは頻繁に入荷と出荷を繰り返しているため、倉庫よりも出入り口が多いです。
企業によっては物流センターを自社で運営している場合があれば、委託している場合もあります。
自社で運営すると自社に合わせたシステムを構築できて、委託すると運用にかかるお金や人員のコスト削減が可能です。
※ピッキング:商品を保管場所から取り出して配送先にわける作業
業務の流れ
入荷と出荷の業務を含めると、全部で7つの工程があります。
1つ目は、仕入れ先から商品を入荷する業務です。
入荷伝票をチェックして、個数に違いがないか、荷物に破損がないかなどをチェックします。
2つ目は保管で、出荷するまで管理し続ける業務です。
ただ置いておくだけではなく、商品の品質を保つために温度や湿度を管理して、品質が落ちないように管理します。
3つ目は、出荷の指示をもとに商品を取り出すピッキング作業です。
広大で商品量が多い物流センターから特定の商品を迅速に取り出すために、どこに何があるのかを管理しておかなければなりません。
4つ目は流通加工で、小分け包装や商品のタグ付けなど、製品に合わせた加工業務をします。
5つ目は検品で、出荷する商品や発送先に間違いがないかを確認する業務です。
仮に間違ってしまうと、配送業者と注文主とのトラブルになってしまいます。
6つ目は包装・梱包で、衝撃で商品が壊れたり温度で質が落ちたりするのを防ぐ業務です。
破損や劣化を防ぐ適切な資材を使用することで、商品のダメージを最小限にします。
7つ目の出荷でようやく物流センターの業務が終わり、最終チェックをして注文主に届ける流れです。
物流センターの種類
物流センターには立地と業務に種類があり、生産的かつ効率的な出荷作業をしています。
特に業務の種類が多く、状況に合わせた物流センターの採用が企業に求められている時代です。
ここでは2つの立地と、7つの業務について解説します。
立地
物流センターには、生産立地型と消費立地型の2つがあります。
生産立地型は生産地の近くに設立して、消費立地型は消費地の近くに設立するのが特徴です。
どちらも配送コストを下げられる利点がありますが、配送する商品によって使い分ける必要があります。
例えば生鮮食品の配送で産地から消費地までの距離が長いと、鮮度が落ちてしまうため生産立地型には不向きです。
消費立地型であれば、生鮮食品をすぐに届けられるため、鮮度を保ったまま保管できます。
緊急性が高く、翌日配送をしなければならない商品を送るときも、消費立地型が最適です。
配送センター
配送センターとは、トラックの輸送拠点です。
エリア内の配送をする役割があり、誰に届けるか、どこに届けるかを仕分けしています。
顧客やエリアごとに仕分けることで、物流業務の合理化が可能です。
より出荷がスムーズになり、スピーディーな荷積みができます。
デポ
デポとは、配送センターよりも小型の物流拠点です。
最終拠点のデポがあることにより、商品を注文主へ届けられます。
従来はデポから営業所に商品を届けていましたが、現在はデポと営業所が一体化しているところが多いです。
一体化によって配送までの時間が短縮したり、一時的な保管ができたりします。
在庫を抱える量が少なくなるデメリットがありますが、デポを活用することでラストワンマイルの課題解決につながるため、注目が集まっています。
DC(Distribution Center)
DCはディストリビューションセンターの略称で、在庫型物流センターとも呼ばれています。
文字通り在庫を抱える物流センターで、広い保管スペースがあって大量の商品の保管が可能です。
保管だけではなく、出荷の準備をDC内で迅速に対応できます。
出荷の手前まで行う包装・梱包作業まで対応できるため、急な注文が入っても出荷までがスムーズです。
TC(Transfer Center)
TCとは、トランスファーセンターの略称で、通過型物流センターとも呼ばれています。
DCのように商品を保管する役割がなく、すぐに出荷するのが目的です。
主に仕分けや積み替えが行われていて、出荷に関わる業務のみをします。
小ロットの配送によって不良在庫を抱えるリスクが軽減されるため、保管業務に必要な人員を削減しやすいです。
クロスドッキングと呼ばれる、保管せずにトラックへ積み替える配送をすれば、業務時間の短縮につながります。
PDC(Process Distribution Center)
PDCとは、プロセス・ディストリビューション・センターの略称で、流通加工・在庫型センターとも呼ばれています。
在庫型なのでDCと役割が似ていますが、DCよりも流通加工に長けている物流センターです。
加工範囲は幅広く、食品や部品の組み立てなどに対応しています。
物流センターでありながら、工場のような機能を持ち合わせているイメージです。
PDCで流通加工することで、高度な品質の維持・管理ができます。
PC(Process Center)
PCとは、プロセスセンターの略称で、PDCと同様の流通加工機能があります。
PDCと同じ意味として使われていることが多いですが、PCはPDCのように荷物の保管を行いません。
あくまでProcessに特化した物流センターで、納品先の業務負担を軽減するのが目的です。
例えばコンビニやスーパーが納品先の場合、加工をして計量・包装・梱包・ラベル付けまで行います。
納品先まで出荷できれば検品・品出しするだけなので、時間をかけずに売り上げに貢献できるのが特徴です。
FC(Fulfillment Center)
FCとは、フルフィルメントセンターの略称で、製造業に近い業務を行う物流センターです。
EC事業で商品保管から出荷まで担っていて、幅広い業務を包括的に行っています。
例えば在庫管理や返品、顧客対応など、顧客に対してのアプローチが従来の物流センターと異なるのが特徴です。
多種多様な決済方法が増えている現代に対応できたり、顧客データ管理で物流の人為的なミスを防げたりします。
※EC事業:企業が顧客へ商品・サービスをオンライン上で販売する事業
物流センターの場所
物流センターが設立される場所で多いのが、インターチェンジ・港・空港へのアクセスが良好な位置です。
アクセスが悪い場所に物流センターを設立してしまうと、利用しにくくなって業務に支障が出ます。
しかし、アクセスが良好な場所は契約費用が高いケースがほとんどなので、コスト面に気を付けなければなりません。
立地で紹介した「生産立地型」と「消費立地型」があるように、商品の内容によって場所が決まることもあるでしょう。
アクセス、コスト、商品の内容のバランスを見て、設立場所の検討をしてください。
事前に通行のシミュレーションをしておけば、トラックの配送でも問題ないかを確認できます。
物流センターの労働力の現状および課題
物流センターの業務の流れや種類などを解説しましたが、施設で働く人材の確保と労働環境を改善しなければ業務に支障が出ます。
どのような現状および今後にどのような課題が浮上するのか、詳しく見ていきましょう。
人材の不足
物流施設の労働人口の過不足状況のデータによると、2005年から2055年までの50年間で8,400万人から4,600万人まで減少すると見込まれています。
2008年の前半までは労働力不足が目立っていましたが、同年の後半からは不況の影響が広がり、2009年2月から労働力が過剰超過になりました。
現状は人材が不足していて、人口減少の中でいかにして老労力を確保するのかが課題になっています。
非効率な労働環境
所定内実労働時間が多い中、賃金も減少している傾向があります。
2001年〜2007年までの所定内実労働時間は、産業全体で165〜167時間、倉庫業で166〜170時間です。
超過実労働時間は産業全体が13〜14時間、倉庫業が17〜21時間になっています。
対する賃金は2007年の現金給与額平均が30万6,000円で、2001年から2万6,000円の減少です。
物流業務の効率化に必要なこと
物流業務の課題を解決しないと、従業員の負担が増えてしまい、需要に対する供給が間に合わなくなってしまいます。
物流センターの機能を最大限に活用するために、業務の効率化をしていくのが重要です。
ここでは物流業務の効率化に必要なことを解説します。
若手人材の確保
物流業務の魅力が伝わらず、就活を控える学生には漠然なイメージで捉えられていることが多いです。
就活生と企業との認識のすれ違いを防ぐために、積極的なインターンシップが必要です。
インターンシップの実施により「思っていた業務内容と違った」という辞職理由を防げます。
企業は若手人材の確保をするために、アルバイトから正社員に採用する方法を実施していることが多いです。
大学との連携も積極的で、合同説明会の実施によって、少しでも物流業界への興味・関心をもってもらえる機会を増やしています。
労働環境の改善
物流センターでは施設によって空調設備が完備していないところがあり、労働環境に課題があります。
温度調整が必要ない商品を保管している場合は、より空調設備を必要としないでしょう。
企業側も空調設備の導入で労働環境が改善することを理解していますが、物流センターにあわせた大規模な空調設備の導入が難しいケースがほとんどです。
そのため、企業は屋根上に遮熱シートを取り付けたり、スポットエアコンを配置したりすることで労働環境が改善した事例があります。
作業の効率化
労働力が不足していても、1人当たり負担を抑えた作業の効率化ができれば物流センターの課題を解決できます。
例えばシステムを導入すればスピーディな業務が可能になり、生産性が向上しやすいです。
自動仕分けシステム、倉庫内作業管理システムなどの導入により、誰が働いても一定水準の業務の確保ができるようになります。
繁忙期で作業量が増えた場合は、システムで適切な配置を提案したり、人材派遣会社の利用で人員を増やしたりする方法が効果的です。
※自動仕分けシステム:倉庫業務内における商品の入荷や出荷などの仕分けを自動で行うシステム
※倉庫内作業管理システム:倉庫業務内における作業を一元管理できるシステム
まとめ
物流センターは商品を入荷してから出荷するまでの業務を行っている施設で、主に7つの業務で構成されています。
何の目的でどこに設立するのかは、立地や業務、アクセスなどの周辺情報を把握して判断しなければなりません。
物流センターの設立後に働く従業員の良好な労働環境を確保するために、業務の効率化に必要な改善をしていく必要があります。
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