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この度、私たちロジテックは2024年4月に大阪で開催された第5回関西物流展を訪れ、最新の物流技術とサービスが一堂に会する場の熱気を感じることができました。3日間に渡って開催された関西物流展は、物流業界における最新技術の展示だけでなく、業界関係者が直接交流し、未来のビジネス機会を模索する貴重な機会を提供しています。
今回の取材を通じて私たちは、多岐にわたる展示とそれに込められた思いや技術の進歩を深く理解することができました。
展示会への参加は、ただ最新のトレンドを把握するだけではなく、業界としての共通の課題を共有し、解決への糸口を見つけるための重要なステップです。しかし、忙しくて展示会を訪れることができなかった皆様のために厳選した出展社をここでご紹介いたします。
革新的な3輪商用BEVが登場
VECTRIX JAPANが提供する革新的な3輪商用EV「I-Cargo」は、近未来的なデザインで目を引きます。この車両は、女性やシニアも含めた幅広いドライバーに適した設計を採用し、交換式バッテリーを使用しています。これにより、バッテリーの交換が容易となり、航続距離の不安を軽減し、設備投資に対する懸念も解消します。また、傾かない設計により、信号待ちや停車時の操作が容易で、運転のハードルを低減しています。これなら主婦や学生も簡単にドライバーになれそうです。
夏の快適作業を支える革新的な空調服
株式会社ハトヤが提供する空調服は、作業者の快適性を追求しています。サイドファン仕様を採用しており、座った際に背もたれにファンが当たらないため、快適に作業を続けられます。このデザインはフォークリフト運転手やドライバーに特に適しており、作業効率の向上に貢献します。また、首元から空気が抜ける設計により、暑い環境下でも涼しく快適に作業が可能です。5色のカラーバリエーションと反射材の使用で視認性も高く、安全面でも配慮されています。夏に向けての需要は高まっているそうです。
革新的な荷物運搬ソリューションを提供
シュマルツ株式会社のブースでは、革新的な手動運搬システムが展示され、業界関係者から大きな注目を集めていました。この機器は吸盤を使用して重い物を容易に持ち上げることができ、特に重量物の取り扱いを簡単にします。最大300Kgまでの物体を片手で操作できるシンプルな構造と、異なるサイズの物体にも対応する柔軟性の高い設計により、従来困難だった複雑な物流作業を効率化することが期待されています。女性でも重たい荷物を扱えるようになるので、労働者不足を解消する一助になりそうです。
安全講習とフォークリフトの革新的な設計
住友ナコフォークリフト販売株式会社では、フォークリフトの展示だけではなく、安全講習の重要性に焦点を当てているところが印象的でした。講習では、知識の提供を超え、受講者の感情に訴えかけるアプローチを取り入れています。事例紹介や予防策を通じて、受講者の自覚を高め、安全行動に結びつけることを目指しています。参加型の手法で、受講者が自ら学び、理解し、感じるプロセスを重視しており、現場での安全意識の向上に役立ちます。
また、新型フォークリフトの展示も行われていました。最新モデルでは、使用者の乗り降りのしやすさが主な改善点です。前モデルの運転席の狭さを改善し、よりスムーズな乗り降りを実現。省エネ効果も重視されており、特にIPMモーターを使用することで約9%の省エネを達成しています。また、複数のAIカメラセンサーを装備し、周囲の人間や障害物を検知し、オペレーターに視覚と音声で警告を発するシステムが組み込まれており、事故リスクの低減と作業効率の向上が期待されます。
サポートジャケットとスマートパレットの革新
ユーピーアール株式会社では、物流業界の腰痛問題に対応するサポートジャケットを展示しています。このジャケットは着用者の腹圧を増加させ、腰への負担を軽減し、姿勢を自然と正す設計が施されています。これにより、作業効率の改善が見込まれます。
さらに、同社のスマートパレットは、アクティブタイプのRFIDタグを利用しており、高い受信精度とデータの取り漏れが少ないため、物流の追跡と管理において非常に信頼性の高いソリューションを提供します。電池寿命は約10年と長く、長期間にわたる高性能が期待されます。
大空間の温度管理に革命をもたらす大型シーリングファン
オーウイル株式会社が展示する大型シーリングファンは、工場や大規模施設向けの冷却ソリューションです。ファンの直径が最大7.3メートルに達し、非常にゆっくりとした速度で回転することで、大量の空気を効率良く動かします。このファンの設置は天井の鉄骨に必要であり、取り付け後の移設や原状回復も容易です。体感温度を約5度下げることができ、大空間の温度管理においてその卓越した性能を発揮します。
革新的な格納効率を実現するストレージソリューション
自動倉庫に特化した ノルウェーのロボティクステクノロジーのリーディングカンパニーであるオートストア システム株式会社は、格納効率の高いストレージソリューションを提供しています。展示されていた自動倉庫システム「AutoStore™」を活用すれば、通常の2.4メートル高の中量棚と比較して、同じ面積で約3倍から4倍の在庫を収納可能です。この効率の向上は、売上増加にも直結します。また、お客様の既存の倉庫環境に柔軟に対応するレイアウト設計を可能とし、最小5メートル高から最大6000平米の敷地面積までのオートストアシステムをカスタマイズできます。高さ220Bin、330Bin、425Binの異なるサイズのモデルは、さまざまな業種のニーズに応じた効率的なソリューションを可能にします。
革新的なAGVと協働ロボットの組み合わせによる物流ソリューション
AGVを専門にする愛知機械テクノシステム株式会社は、「CarryBeeロボットパッケージ」を展示していました。このシステムはAGVと協働ロボットを統合し、より複雑な作業を自動化します。ロボットステーションを構築し、AGVが複数の場所へ移動することにより、稼働率の大幅な向上が期待されます。また、同社はAGVの開発から製造、販売まで一貫して行い、顧客の要望に基づいたオーダーメイドのソリューションを提供することが可能です。
持続可能な緩衝材ソリューション
ストロパックジャパン株式会社は、100%リサイクル素材やバイオマス素材を使用した緩衝材を展示していました。特に「PAPERplus® Papillon」と「PAPERplus® Dragonfly」は、それぞれ軽量梱包と重い物品梱包に適しており、迅速に強度のある緩衝材を提供します。カッターなしの安全設計と、紙の使用量を最小限に抑えることで、廃棄時の容積を減少させ、環境負荷を低減します。
革新的な物流と作業支援マッチングプラットフォーム
新サービス「サバケル」は、単なる荷物保管サービスを超える包括的な物流支援マッチングプラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、ホテル予約サイトに類似したインターフェイスを採用しており、エリアや時間など多様な検索軸で必要なサービスを簡単に見つけることができます。サイト上のマップにピンが打たれており、ユーザーは選択した地点から提供されるサービスを探すことが可能です。
サバケルの最大の強みは、保管だけでなく、具体的な物流作業も依頼できることです。例えば、倉庫内のピッキング作業やダンボールの開梱などの流通加工作業が可能で、これはロジテックが元々人材会社としての豊富な経験を活かしているためです。これらのサービスは従来のマッチングサイトでは提供されておらず、顧客にとっては大きな付加価値となります。
ブースデザインについても特筆すべき点があります。サバケルの展示スペースは円形の天井が特徴的で、これは同社が多様な業務を一手に引き受ける意志を象徴しています。さまざまなパートナーと協力して業務を遂行するというサバケルの姿勢を表し、他のブースとは一線を画す目を引く要素となっており、来場者に強い印象を与えています。
革新は決して単独の努力では成し遂げられない
関西物流展を通じて感じたのは、物流業界の進化が加速しているという実感です。出展された各企業の革新的な取り組みからは、この業界が直面する多くの課題に対する明確な解決策と前向きな姿勢が見て取れました。物流を支える皆さんへのメッセージとして、今後も技術の進化に目を向け、新たなチャレンジを恐れずに取り組んでいただきたいと思います。
引き続き物流業界の最前線を取材していきたいと思います。