トラックターミナルとは?機能・課題と今後求められる大都市物流戦略を紹介

トラックターミナルは物流業務で重要な役割を果たしていて、効率的な配送のために欠かせない施設です。

いわゆる商品の受け渡しをする場所で、届いた荷物を別のトラックターミナルに届けたり集配車で注文主に届けたりします。

Eコマースが急激に成長している中、手分けして配送すれば、各ドライバーの負担を軽減できるでしょう。

そこで本記事では、トラックターミナルの説明と機能・課題、今後求められる大都市物流について解説します。

POINT!ここがポイント
  • トラックターミナルとは、荷主が積んできた貨物を集荷する施設
  • 貨物の配送がスムーズになって全国各地に効率よく届ける仕組みを構築
  • コスト面や高まる物流サービスへの対応が今後の課題

トラックターミナルとは?

まずはトラックターミナルとは何か、基本情報を確認しましょう。

トラックターミナルは消費者へ商品をスムーズに届けるために、重要な役割を果たしています。

配送が効率的になり、物流業務では欠かせない存在です。

トラックターミナルの概要

トラックターミナルとは、荷主が積んできた貨物を集荷する施設です。

流れとしては、主に小型トラックでトラックターミナルに衣服や食料品などの多種多様な貨物が運ばれます。

その後、店舗へ配送するために大型トラックへ積み替えて、届け先地域のトラックターミナルへ運ばれる仕組みです。

後は小回りが利く集配車が届け先に配達するため、分業化して効率よく運べます。

トラックターミナルには、一般トラックターミナルと専用トラックターミナルがあります。

一般トラックターミナルは自動車ターミナル法に基づき、専用トラックターミナルより安全で機能性があるのが特徴です。

一般トラックターミナル専用トラックターミナル
特徴不特定多数の事業者が利用運送会社が自社の事業のために利用する目的で設置したトラックターミナル
国土交通大臣の許可必要不要

参考:国土交通省「トラックターミナルの種別」

関わる施設:荷扱場/配送センター

物流拠点であるトラックターミナルには、荷扱場と配送センターという施設が関わっています。

荷扱場は小型トラックが集荷してきた荷物を地域ごとに仕分けして、大型トラックに積み替えする施設です。

小口貨物を取りまとめてロット貨物に仕立てる混載機能もあり、スムーズな業務ができます。

配送センターでは商品を一時的に保管して、必要なタイミングで発送する施設です。

商品の加工や包装、小分けなども配送センターで行います。

トラックターミナルが発揮している機能

トラックターミナルがあることで、貨物の配送がスムーズになって全国各地に効率よく届ける仕組みができました。

さらにトラックターミナルの役割に踏み込み、どのような機能性を発揮しているのかを見ていきましょう。

都市間輸送で合理的に配送

トラックターミナルは都市間に貨物輸送の拠点を置くことで、合理的に配送できます。

配送元から消費者に届けるまで、トラックターミナルを経由せずに届けると非効率です。

例えば東京から九州まで届ける場合、東京から大阪まで運ぶ業者と、大阪から九州まで届ける業者がいれば効率よく配送できます。

全体的な配送イメージとして、1台のトラックが「配送➡注文主」に届けるのではありません。

分業化して複数のトラックが「配送➡〇〇県➡〇〇市➡注文主」といった販路にすることです。

運行車が大量輸送してきたら仕分けをして集配車で迅速に配送

トラックターミナルは運行車と集配車の関係があることで、注文主へ迅速に運ばれる仕組みができています。

運行車が全国各地から積んできた貨物がトラックターミナルに届き、仕分けをしてから集配車で店舗や施設に届ける流れです。

届けるのは宅配貨物や製造食品、日用品などで、住民の暮らしに直結するものを運びます。

交通網が複雑な都内各地の配送でも、円滑な配送ができるようになります。

※運行車:集配車が集めた荷物を目的地のターミナルまで運ぶ車
※集配車:荷物を集めて配達する車

全国にある中継基地を経由することで長距離輸送を回避

中継基地を経由することで、ドライバーの長距離輸送が防げる機能があります。

ドライバーの労働時間は時間外労働時間が960時間に規制されるため、労働環境の改善に繋がる役割を果たすでしょう。

例えば、大阪から東北の方へ配送するとき、東京を中継基地にして届けます。

大阪から東京はA社が運び、東京から東北までB社が運べば効率的な配送が可能です。

長期輸送が不要になり、1台のトラックで全国各地へ行く手間を省けます。

トラックターミナル事業で抱えるコスト面の課題

トラックターミナル事業ではいくつかのコストがかかり、自社で建てるかどうかを検討している企業が多いことでしょう。

自社でトラックターミナル事業ができれば多種多様な機能性により、物流の効率化が図れます。

どのようなコスト面の課題があるのか、見ていきましょう。

保管庫や荷扱棟などの設備にコストがかかる

トラックターミナルには関わる施設が多く、保管庫や荷扱棟などにコストがかかります。

集荷する荷物の種類、繁忙期に対応できる設備の数などを考慮しておけば、スムーズな物流業務ができるでしょう。

ただし、設備を立てるには工期がかかり、すぐに事業が始められるわけではありません。

設備が大きい、または複雑になっていくほど工期が長くなります。

費用面だけではなく時間のコストもかかるのを念頭に置いて、見積もりをしておきましょう。

※保管庫・荷扱棟:集荷した荷物を配送先に仕分けして、一時的に保管する場所

熱のこもりや光の届きにくさでコストがかかる

トラックターミナル内は熱がこもりやすく、光が届きにくい環境が多いです。

そのため、空調効率を良くしたり、大量の照明を用意したりするためにコストがかかります。

空調を良くしないと従業員は健康的に働けず、夏場になれば熱中症になって業務が止まってしまうでしょう。

照明は業務のミスを防げて、暗い中作業をすると荷物を落としてしまったり、荷積みする荷物を間違えたりするリスクがあります。

空調も照明も作業中は常に付けっぱなしになりますが、作業するために欠かせないコストです。

メンテナンスや維持費としてコストがかかる

施設には定期的なメンテナンスが必要になり、安心安全に使い続けられるように維持費としてコストがかかります。

建物が傷んで耐久性が落ちてしまうと、崩れた時に倉庫の商品に影響が出る可能性があるからです。

商品の発送先だけではなく、中継基地として荷積みを待っているドライバーにも迷惑がかかります。

建てたばかりの場合は問題ありませんが、既にある施設をトラックターミナルとして活用する場合は注意が必要です。

外壁や屋根は剥がれないか、錆が発生していないかなどを事前に確認しておくと良いでしょう。

トラックターミナル事業で抱えるコスト以外の課題

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トラックターミナルではコスト以外にも課題があり、問題視されています。

主に交通の便や環境、人などが絡んでいて、早急に改善しなければなりません。

コスト以外にどのような課題を抱えているのか、見ていきましょう。

都市部の土地不足

地方はトラックターミナルを建てられるほどの土地がありますが、都市部では土地不足で建てられない課題があります。

広い土地の確保が難しく、少なくとも都心から離れないと適切な場所の確保ができないでしょう。

仮に都市部でトラックターミナルが建てられる土地があっても、地方より土地価格が高いです。

都市部にトラックターミナルを構えたい場合は、効率的な設計や運営が必要になります。

交通渋滞

トラックターミナルはトラックや車両が出入りする物流拠点で、交通渋滞が起きやすい課題があります。

荷待ちでトラックが動かなくなると、時間がかかって業務が非効率的です。

トラックターミナルは全国各地からトラックが集まるため、交通量の多い拠点に建っています。

交通渋滞が起きやすいため、交通インフラの整備が必要です。

トラックターミナル事業者は円滑にトラックの出入りや積み替え作業ができるように、管理システムやフォークリフト等を駆使すると良いでしょう。

環境への影響

トラックターミナルでは多くのトラックや車両が出入りするため、環境への影響が大きいです。

例えば機械音が大きすぎて騒音になったり、段差の上を走って振動が起きたりするでしょう。

周囲から苦情が来ないような孤立した土地、または周囲に住民がいても騒音や振動の影響を抑えた施策が必要です。

他にも排出ガスの影響は問題視されていて、気候変動や環境破壊などを引き起こす原因になります。

排出量を最小限に抑える取り組みを実施していくと、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献できます。

参考:日本ユニセフ協会

※SDGs:持続可能な開発目標

労働力確保と労働環境

トラックターミナルはトラックドライバーだけではなく、荷物を取り扱う作業員の労働力も必要です。

しかし、物流業界では労働力不足が課題となっていて、なかなか人材が集まらないという悩みがあるでしょう。

人材が集まらないとトラックターミナルが機能しにくくなり、少ない人材でも稼働できるシステムが必要になります。

もしくは限られた労働環境の中で、いかに効率的な労働ができるかを検討するのも重要です。

トラックターミナルを超える大都市物流戦略「メトロポリタン・ロジスティクス」の強み

ドライバー不足の中でEコマースの急激な成長により、現代は高度な物流サービスが求められています。

そこで注目が集まっているのが「メトロポリタン・ロジスティクス」という事業コンセプトです。

首都である東京の物流危機を解決する概念なので、参考にしてみてください。

リードタイム・アドバンテージ

リードタイム・アドバンテージとは、消費地に近い配送拠点を持つことで、配達時間を短くする優位性です。

Eコマースでは、最短翌日お届けといったサービスの提供が見られます。

物流事業者にとって、どれだけ配達時間を短縮するかが課題です。

そこでアクセスに優れた立地を選べば、配達時間の短縮が実現できるようになります。

※Eコマース:インターネット上で行う電子商取引

レイバー・アドバンテージ

レイバー・アドバンテージとは、人材確保に優れた働きやすい立地に建てる優位性です。

例えば通勤で使う鉄道の近くにトラックターミナルがあれば、アクセスが良くて人材を確保できる可能性が高まります。

他にも働く人側の視点に立ったアメニティ設備の充実や、パート・アルバイトの人も快適に働ける環境を整えるのも1つの要素です。

キャリアリンク・アドバンテージ

キャリアリンク・アドバンテージとは、陸・海・空の各輸送機関とのスムーズな連携が取れる立地の優位性です。

都内だけではなく、日本全国や海外への共同輸配送の構築が実現できます。

効率的かつスムーズな配送ができるため、Eコマースが普及している現代の課題の解決につながるでしょう。

コンティニュイティ・アドバンテージ

コンティニュイティ・アドバンテージとは、災害に備えた環境や設備、24時間365日事業継続が可能な施設を備えた優位性です。

例えば地震が起きても、免震装置によってトラックターミナルの崩壊を防ぎます。

大規模な地震になると電気が止まってしまうため、非常用自家発電装置があれば業務の継続が可能です。

まとめ

トラックターミナルがあることで物流業務が効率的になり、全国各地へ配送できるようになりました。

わざわざ1台のトラックで遠方に行く必要がなく、中継基地で他のトラックに配送を任せられればドライバー1人当たりの負担を軽減できます。

ただし、トラックターミナル事業はコストが多くかかるため、導入を検討している企業は費用対効果の確認が必要です。

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