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創業1950年の東芝テック株式会社は、売上高5,108億円、従業員数18,906名※を誇り、RFIDなどの技術を用いた先進的なソリューションを提供しています。今回は、品川にあるショールーム「TEC 01 SIGHT SHOWROOM」を訪れ、リテール・ソリューション事業部の方々にお時間をいただき、ロジテックの川村がRFIDの活用についてお話を伺いました。
※2022年度実績。
RFIDとは
RFIDは、情報を記録する小型のICチップとアンテナを持つRFタグ、それを読み書きするリーダーライター、そしてそのデータを管理するコンピューターシステムから成る技術です。
2002年に立ち上がったRFID事業
川村 私が初めて東芝テック様の「TEC」のロゴを見たのは、私が人材派遣業を営む綜合キャリアに入社して5年目の頃、東芝テック様の事務所に人を派遣させて頂けることになった時です。「こんなに大きな企業と取引できるんだ」と感動した事を今でも鮮明に覚えています。そうした会社の中で皆様の部署がどのような商品やサービスを扱っているのか教えて頂けますでしょうか。
伊藤 ありがとうございます。私たちのリテール・ソリューション事業部では、POSシステムなどの関連商品を幅広く扱っており、商品の開発から製造、販売、そしてアフターサービスに至るまでワンストップで対応しています。中でも、SCMソリューション商品部はRFIDソリューションを主に取り扱っており、顧客のニーズに合わせたサービスを提供しています。
内海 RFID事業は2002年に立ち上がりました。経済産業省の電子タグ実証実験に参画したのが2006年です。私たちにとって大きな転機は2017年で、RFIDタグの付いた商品をお客様自身で会計する「セルフレジ」を開発した時です。大手アパレル様が導入してくださり、この頃からRFID技術の認知度が高まりました。
川村 この間、RFIDを取り巻く環境に大きな変化はありましたか。
伊藤 2010年に新しい周波数帯を使えるようになりました。海外と同じ周波数になったことで安いタグが入るようになり、RFIDを取り巻く環境が世界標準になりました。
川村 企業がRFIDを導入するに至る主な理由は何でしょうか。
坂本 そこには様々な理由がありますが、一つには作業効率の向上が挙げられます。特にアパレル業界では、「洋服を売りたくて入社したのに在庫管理ばかりで嫌になった」といって離職する人が多いという課題があり、そこで在庫管理の手間を軽減するためにRFIDを導入される企業様もいます。また、人手不足が深刻化する中で、バーコード管理だけでは対応が難しい場面でRFID技術が力を発揮します。
物流業界でも広がるRFID活用
川村 私は、「RFID」という言葉を聞くとどうしても「アパレル業界で使われているもの」というイメージを持ってしまいます。ロジパレジャーナルの読者の多くは物流会社です。そこで、RFIDソリューションを物流業界でどのように活かすことができるのか、その辺を少し掘り下げて解説いただけますでしょうか。
内海 物流業界向けには、2021年に堅牢性を重視した新型ハンディリーダー「UF-3000」を開発しました。元々はアパレルショップ向けのデザイン性に優れた商品を開発していましたが、「物流現場でも使えるよね」という意見が出て、堅牢性を追及した商品を市場に投入しました。
伊藤 ちょうどコロナ禍でアパレル業界が打撃を受けた一方で、物流業界ではECの拡大に伴い新型ハンディリーダーの需要が急増し、知名度が高まりました。
川村 物流業界におけるRFIDの活用は、コロナ禍を経て広がっているのでしょうか。
内海 そう思います。以前は、物流の3PL会社が自らRFIDを導入する事はありませんでした。なぜなら、RFIDを導入してしまうと荷主から「効率化するなら値段を下げてよ」と言われてしまうからです。それが2024年問題もあり、最近になって状況が変わってきたように感じています。RFIDを導入して1時間の作業が20分で終わるようになり、「空いた時間で他の荷主の仕事をやろう」という姿勢がみられるようになりました。
川村 2024年問題に対応するソリューションは世の中に沢山ありますが、根本的な解決に繋がるものが少ないと感じていました。そうした中で貴社のソリューションは直接的に効果をもたらすと感じます。いったい強みはどの辺にあるのでしょうか。
坂本 弊社の強みはハードとソフトとタグを三位一体で提案できることです。例えば、タグは数多くの種類があり、企業様はどれを選べばいいのか迷います。そういう時は、知見のある私どもがタグの性能を分析した上で最適なハードやソフトとの組み合わせを提案します。これにより、直接的な効果を実現して企業様の課題解決に貢献しております。
分かりやすいRFIDのデモンストレーション
川村 RFIDの効果をデモンストレーションして頂けるとのことですが、後ろにある機械がそれでしょうか。
内海 はい、2018年に発売開始した「自動搬送型RFIDトンネル式ゲート」です。梱包したRFIDタグ付きの商品をコンベア上に置くだけで自動搬送して検品することができます。導入企業様では、その当時で3~3.5倍の作業効率化を実現されました。
坂本 この箱には40種類の衣類が入っております。一般的なバーコード読取式の場合、一つ一つのタグを取り出してバーコードを当てなければならず手間がかかります。一方、この「自動搬送型RFIDトンネル式ゲート」を活用すれば、商品を瞬時に在庫確認できます。
坂本 実は、値札の中にRFIDが埋め込まれております。
川村 見た目では分かりませんが、値札を光で透かして見ると確かにRFIDが埋め込まれていることを確認できますね。
川村 一瞬で間違いなく読めるものなのでしょうか。
坂本 正確な読み取りが可能です。例えば、商品を1つだけ省いてみましょう。これで流してみると...、この画面をご覧ください。赤くなっている箇所は、あるはずの商品が1つだけ無いことを検知して知らせています。
川村 本当ですね。
内海 異物混入などのミスも減少します。例えば、作業用のハサミを誤って梱包してしまった場合、RFIDを付けたハサミであれば、出荷する前に発見できます。
川村 それは便利ですね。実は、コロナ禍に大量のマスクを封入して出荷する仕事を受注しました。その時、異物混入が疑われる状況になり、大量のマスクを一つ一つ袋から取り出して確認したことを思い出します。RFIDがあれば効率的に対応できたでしょうね。そうなると、RFID1枚あたりの値段が気になってしまいます(笑)。
内海 タグの値段を気にされるお客様は多いです。しかし、全体最適を目指している私どもからすれば、先に価格だけでタグを決められてしまうと、提案の幅を制限されてしまいます。やりたい事を聞いてみると「そのタグでは実現できないですよ」と言わざるを得ないことも多々あります。
川村 つまり、価格だけでなく全体の効果を考慮する必要があるというわけですね。
RFIDのパイオニアとして
川村 昔は、貴社のようなソリューションがどんどん現場に入ってくると、「人の仕事が奪われるのではないか」と身構えたものです。しかし、本日の話を聞いていますと、ハサミの紛失を解決するなど人を支える技術でもある事がよく分かりました。
坂本 ありがとうございます。例えば、弊社のソリューションの一つである映像検索システムは、「作業者を守る」という意味で有効です。お客様から「商品が入っていなかった」とクレームを受けた時に映像で確認し、作業者がしっかり商品を入れている事を確認できれば、作業者も安心なわけです。
内海 皆さん「省人化」や「自動化」と言ってますが、結局は属人的な仕事が3割くらい残りますよね。
川村 テクノロジーの導入が「無人化」をもたらすのでは無い、という事は重要なポイントだと思います。それでは最後に、ロジパレジャーナルの読者へメッセージを頂けますでしょうか。
坂本 ECのスタートアップ企業や中堅企業でもRFIDを導入しやすいと思います。商品のトレーサビリティや販促への活用などを戦略的に検討することができるからです。
内海 最近、中堅企業でのRFID導入も増えてきたと実感しています。経営者の方々から言われることは「人手不足だから助かった」ということです。
伊藤 私たちはこれからも新しいソリューションを開発し続けます。興味のある方は、ぜひ品川のショールームにお越しください。予約制で1日3組までご案内しております。
川村 本日の対談を通じて貴社がRFIDのパイオニアであることがよく分かりました。また、ショールームを見学させて頂きたいと思います。
<TEC 01 SIGHT SHOWROOM>
◇施設名:TEC 01 SIGHT SHOWROOM(テック・ゼロワン・サイト・ショールーム)
◇利用形態:完全予約制(弊社営業担当までお問い合わせください)
◇所在地:東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟 21階
詳細は下記のリンクから。
<対談参加者>
伊藤様
東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部
ソリューション企画開発センター SCMソリューション商品部
オートIDソリューション担当 グループ長
内海様
東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部
ソリューション企画開発センター SCMソリューション商品部
RFIDソリューション担当 グループ長
坂本様
東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部
東京支社 オートID営業部 オートID営業第二担当 グループ長
金刺様
東芝テック株式会社 経営企画部
コーポレートコミュニケーション室 広報・IR担当
川村
株式会社ロジテック 代表取締役